今回のテーマは"組み木"。匠の技は男の浪漫です。そしてもうひとつ、男なら細かいことはせずにプリミティブのボックスだけで作成しました。私の講座を受講していただいた方にはお馴染みの手法ですが、簡単なモデリングで複雑なシーンを作成しています。
※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 213(2016年5月号)からの転載記事になります
TEXT_早野海兵(画龍) / Kaihei Hayano(GARYU)
EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
STEP1:プリミティブ
▲おそらく皆さんが3DCGを初めて触ったとき、最初に作成したのがプリミティブではないでしょうか。最も単純でいて、最も便利なモデリング。プリミティブだけを組み合わせて形状をつくるCGソフトもありましたね。そんなプリミティブの中でも最も単純なボックス。モデリングのスタートやパーティクルなど、今でもかなりの頻度で使用しています。今回はそんなボックスのみで作品を制作してみました。
STEP2:モデル画像
▲一見、普通のモデリングをしてるように見えますが、ボックスを並べているだけです。ただのボックスでも大きさや数、バランスを整えることで密度を出すことができます。
STEP3:モデリング
▲このようにパーツのひとつひとつをボックスから変形させて、形状を組んでアタッチします。
▲そしてクローンモディファイヤで横に配置。
▲さらに、パス変形モディファイヤで橋の形にします。
▲次は土台を作成しましょう。まずプリミティブのボックスを細長く変形させます。
▲Xフォームとクローンを使用して円形状に並べていきます。
▲さらに調整し、斜めに並べて独特の形状に整えました。
[[SplitPage]]STEP4:シーンの作成
▲作成したボックスの合成オブジェクトを配置して橋を繋げていきます。
▲シーン奥の方に街の明かりを配置したかったので、ボックスをパーティクルでランダムに配置。
▲また、橋の下にライトを点灯させたかったので、ライトのテクスチャを用意しました。こちらは32bitで作成。
▲ライトマテリアルに適用します。レンダリングすると影響が出ます。
▲シーンができてきたらレイアウト。なかなか悩みましたが、4K横レイアウトで見映えのするものにしました。
STEP5:合成作業
▲レンダリングした素材をAfter Effectsで読み込みました。今回は何種類か多くエレメントを出力しています。
▲エレメントを使用して、ライトや反射を元画像から消すことができます。
▲その後、ノイズなどをマスクにしてライトがチラチラするアニメーションを簡易的に付けました。
▲反射などをエレメントで重ねて強調。
▲フレアなどのレイヤーを何層か重ねて光を演出します。
▲最終的に調整レイヤーでコントラストを締めたら完成です。
[[SplitPage]]Basic MAX
3ds Maxのちょっとした小技を紹介していく「Basic MAX」コーナー。今回はせっかくなのでプリミティブの解説です。
Point1:プリミティブの作成方法
▲まずは基本的なところから。3ds Maxのプリミティブオブジェクト作成は[作成]パネルで行いますが、コマンドラインや右クリックなど、他の方法もあります。
▲最近だとクリエイショングラフで作成することもできますね。
▲たかがボックスですが、後々の用途に合わせて様々な作成方法を選択することができます。これはプレーンからポリゴンを押し出して作成したボックス。
▲こちらはスプラインの四角から押し出しで作成したもの。スプラインはサーフェスでもボックスができますね。
▲これはスプラインのレンダリング表示をONにして、四角柱を短くしたものです。このように、ボックスひとつでも様々な作成方法があります。
Point2:プリミティブの活用
▲3ds Maxお馴染みのプリミティブティーポットです。よくサンプル画面で見ますね。実はランダムなパーティクルの発生源として使用すると良い効果が出ます。
▲同じく円環体。ドーナツ形状ですね。その昔はこのように並べて波紋の作成などに使用していました。
▲アート的で複雑な形状を作成するときに重宝する知恵の輪。なかなか意図通りにはいきませんが、いじっていると面白い形になります。
▲知恵の輪のエッジを抽出して、スプラインにして使用することも可能。
▲また、筆者がよく使用するのが天球体。通常の球とはちがって頂点集約ではなく均等なポリゴンなので、このように爆破させることができます。
▲また、球をベースにしたオブジェクトを作成するときにも重宝します。
[プロフィール]
早野海兵(はやのかいへい)
日本大学芸術学部卒業後、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント、(株)リンクス、(株)ソニー・コンピューターエンタテインメントを経て、フリーランスで活動。2007年(株)画龍を設立。
www.ga-ryu.co.jp
www.kaihei.net
@kai_hei