今回の記事を執筆したのは8月なので、作業中はまだまだ暑い日が続いていました。気持ちだけでも涼しくなるように、日本庭園をつくってみました。
※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 242(2018年10月号)からの転載記事になります
TEXT_KAI(GARYU)
EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
STEP1:つくり方の幅が広がる3DCG
▲筆者が初めて3DCGに触ったのはひと昔前のこと。といっても四半世紀も前のことなので、当然ながらそのときからワークフローは大きく変わっています。当時は3DCGで作品をつくるのにそれほど手段は多くなく、ただ黙々と頂点とポリゴンをいじって作成するワークフローでした。しかし、ここ近年はスカルプトをはじめ、まるで粘土のように造形をすることもできれば、現実を3D化する(リアリティキャプチャ)アプローチも個人で簡単にできるようになりました。つくり方の幅がどんどん広がっていると感じています。ちなみに、この写真はスキャンする石を散策しながら探していたときに撮影したものです。
STEP2:モデル画像
▲モデル画像です。今回はけっこうシンプルな構成です。形状もシンプルですし、石のモデルは実物を撮影し、フォトグラメトリーを利用してつくったものです。モデルは簡単なものにしておき、レイアウトで凝るように工夫しています。
STEP3:モデリング
▲砂の表現については、手で敷いたような印象を出すためにフリーハンドスプラインで描きました。
▲そのままでは少し使いづらいので、編集可能スプラインで調整。
▲スウィープで厚みを付け、山の部分をつくっていきます。
▲それを段々に重ねて、手作業で砂を敷いたような模様をつくりました。
▲この工程をくり返し、全体の模様を作成していきます。
[[SplitPage]]STEP4:シーンの作成
▲灯篭はシンプルに円柱から作成。
▲ポリゴン編集で模様を作成していきます。
▲最近はモデリングを始める前の考え方も変わってきました。灯篭の下に良い感じの自然な石を置こうと思い散策に出かけたところ、ちょうど山の中にイメージ通りの石を見つけることができました。
▲カメラで撮影。フォトグラメトリーでモデル化します。
▲制作したテクスチャをBitmap2Materialで分解。
▲3ds Maxでアセットの構築をします。手間がかかっているように見えるかもしれませんが、3ds Maxのみで作成するより格段に速くリアルなものがつくれます。
▲先ほどの灯篭の下に配置。
▲砂の波も灯篭を囲むように、全体のシーンに配置します。
STEP5:合成作業
▲レンダリングしたままの画像です。わりと暗くなってしまいました。
▲32bitでレンダリングしているので、露出で明るさを調整していきます。
▲最後に被写界深度などで味付けをしたら完成です。
[[SplitPage]]Extension Column 07
3ds Maxは老舗の3DCGツールのひとつとして、その歴史上、様々な本体以外の機能拡張が施されてきました。かゆいところに手が届くフリーのものから、VFXでメインツールとなるような商用のものまで、様々な分野の機能拡張が存在します。このようなプラグイン文化と呼ばれる構成は、ほかの3DCGソフトにはない3ds Max独自の特徴と言ってもいいでしょう。
アニメーション関連のプラグイン
今回紹介するのはアニメーション関連のプラグイン。この連載ではあまりアニメーションの解説をしていませんが、筆者の仕事の9割以上はムービーのお仕事なので、こういったプラグインにはとても助けられています。
(1)Spring Magic
▲ボーン構造をもったものに適用すると、スプラインが仕込まれたようにしなるアニメーションが付けられます。
▲このような単純に回転させただけのアニメーションに適用すると、鞭のようにしなるアニメーションができます。やわらかい動きにとても便利です。
www.scriptspot.com/3ds-max/scripts/spring-magic
(2)Houdini Ocean
▲その名の通り海や波の動きを再現してくれるプラグイン。
▲単純な平面オブジェクトに適用するだけで、波の形に変形させることができ、さらにアニメーションも付けられます。メッシュで波を作成したいときはとても便利です。
www.guillaumeplourde.com
(3)Craft Director Studio
▲クルマの挙動をシミュレーションしてくれるプラグイン。有償のプラグインですが、フリーでも使用できる項目があります。
▲操作が面白く、ゲームのような操作方法でクルマをコントロールできます。ぜひジョイスティックなどで体験していただきたいです。
▲フリーで使用できるものはシンプルな四輪車とこちらの飛行機のみ。これら2つだけでもとても重宝します。
www.craftanimations.com/products/craft-director-studio
[Information]
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株式会社画龍 早野海兵 監修
3DCGベーシック講座[3ds Max]
3ds Maxを本当にゼロからスタートする方のために作成したオンライン講座。本講座は画づくりと技術アップの両面を重視しています。また、3ds Maxの様々な実践的な機能を動画で収録しているため、後々機能のリファレンスとしても使用可能です。
online.dhw.co.jp/course/3dcg
[プロフィール]
KAI
株式会社画龍 アートディレクター
www.ga-ryu.co.jp
www.kaihei.net
Twitter:@Kai_ryu_Kai