筆者は旅行も趣味のひとつなのですが、日本の風景はとても素晴らしいですよね。今回は秋の絵ハガキのような作品を目指してみました。地方からの講演のご依頼お待ちしております♪
※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 244(2018年12月号)からの転載記事になります
TEXT_KAI(GARYU)
EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
STEP1:日本文化と3DCG
▲今回で連載回数が99回となりました。様々な作品を掲載させていただきましたが、和風な作品がやはりとてもしっくりきます。最近は日本文化と3DCGのコラボレーションを考え、様々なジャンルの和の芸能活動をしている方のお話を伺ってまわったりしています。聞けば聞くほど、日本文化は素晴らしいと思う次第で、そういった自国の文化に貢献できたらと考えています。
STEP2:元画像
▲元画像です。クラウド表示なのでワイヤーフレームもシェーディングもあまり変化がないですが、これだけの量を配置、表示できるのはやはり優秀なプラグインForest Pack Pro(後述)のおかげだと思います。
STEP3:地形や城のモデリング
▲今回、地形モデルの制作にはBryce(www.daz3d.com/bryce-7-pro)というソフトを使用しました、実は筆者が学生のときから愛用している老舗ソフトです。
▲作成した地形を3ds Maxで読み込み、配置していきます。重なったところも後で隠れるので、あまり気にせずに配置します。
▲並べた地形にフォグを適用。これだけでとたんに雰囲気のある背景になります。空気遠近法はとても大切ですね。
▲城のモデルは木材の直方体が重ね合わさったシンプルなものにしました。
▲これを配置しやすいようにコンテナに収容し、本シーンにもっていきます。
[[SplitPage]]STEP4:木の配置と朝霧のシミュレーション
▲プラグインのForest Pack Proを使用して、一気に森を作成します。まずは木のライブラリからいくつかを選択。
▲地形にそれぞれ適用します。自動でカメラの範囲に配置してくれるので、シーンが重くならずに済みます。
▲さらに、朝霧を表現したくて、Phoenix FDで木々の間を霧が流れていく様子をシミュレーションしました。
▲エフェクトは重いのでなるべく別シーンで作成するようにしています。それを本シーンに配置。
▲シーン内に全部収めました。結構な物量になってきましたね。
STEP5:合成作業
▲レンダリングした画像をそのままAfter Effectsに読み込みます。やや暗めですが、今回は32bit。Rec.709にしています。
▲レンダーエレメントでグローなどのエフェクトを追加していたので、それらを有効にします。
▲湿気を出すために霧の部分をぼかしてフレアにし、重ねます。
▲続いて背景にも手を加え、色を合わせていきます。
▲朝方の雰囲気にしたかったので、カラコレしてトーンを下げます。
▲さらにメリハリを付け、ノイズを加えたら完成です。
[[SplitPage]]Extension Column 09
3ds Maxは老舗の3DCGツールのひとつとして、その歴史上、様々な本体以外の機能拡張が施されてきました。かゆいところに手が届くフリーのものから、VFXでメインツールとなるような商用のものまで、様々な分野の機能拡張が存在します。このようなプラグイン文化と呼ばれる構成は、ほかの3DCGソフトにはない3ds Max独自の特徴と言ってもいいでしょう。
配置作業プラグイン
連載内でもたびたび登場するので今さらかもしれませんが、今回は配置を行うプラグインを紹介したいと思います。3ds Maxには標準でスキャッタという配置機能がありますが、簡単な配置とひと通りのランダム機能しか付いていません。また、配置する量が増えると当然ながらとても重くなってきます。特に背景制作では大量に素早く配置できることがとても重要で、商用のプラグインには標準機能以上の速さや軽さ、柔軟性が求められています。
(1)Forest Pack Pro
▲以前にもフリープラグインとして取り上げたことがありますが、今回紹介するのはその有償版。古くからあるプラグインのひとつで、すでに利用している人も多いのではないでしょうか。フリー版との大きなちがいはZ方向、高さに対応していること。そして、ライブラリです。
Forest Pack Pro
www.itoosoft.com/forestpack
▲標準で付属しているライブラリがとても豊富で、プリセットだけで簡単に素晴らしいシーンが作成できてしまいます。
▲追加のライブラリも販売されており、様々な自然モデルを適用することができます。もちろん自分で作成したモデルも使用可能。
▲ポイントクラウド表示ができるので、ビューポートの表示が大幅に軽減されます。
▲こういった森の表現には本当に適しています。
▲少し変わった使い方ですが、この作品では表面にびっしり付いている模様の配置に使用しました。
(2)RailClone Pro
▲こちらもフリープラグインとして解説したことがありますが、今回はその有償版を紹介します。スプラインをベースにした配置機能が非常に強力なプラグインです。3ds Maxにも標準で間隔ツールなどがあり、スプラインを使った配置ができますが、編集できないなど使いづらい面もあるため、やはりプラグインの利用がオススメです。
RailClone Pro
www.itoosoft.com/railclone
▲本棚や本なども簡単に配置ができます。作成した後の修正レスポンスもとても良いので仕事向けですね。
▲道路や街灯など、ライン上の配置は特に優れています。
(2)そのほかのツール
MultiScatter
こちらも古くからある配置ツールのひとつです。配置ツールといえば、大抵は前述のForest Pack Proかこれのどちらかといった印象です。若干、価格がお求めやすいのが特徴でしょうか。
rendering.ru/multiscatter.html
PhysX Painte
シーンに直接ペイントをしながらシミュレーションで配置するという、少し変わった配置ツール。自然なモデルの重なりや、乱雑にものを置いたような配置ができます。
hocuspocus-studio.fr/tools/product/physx-painter
AutoModeller Pro
パーツを壁などにランダムに配置してディテールアップをしてくれるツールです。
www.automodeller.com
[Information]
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3ds MAX 画龍点睛
『NEXTWORK2019Ver.』
デジタルハリウッドの「CGヒーローズ」が2019年1月から再びスタート。今回は3ds Max 2019ならではの新機能の詳解と、ソフトウェアを連携させてより効率的にクオリティを高める知識を学びます。詳しくはオフィシャルWebサイトをご覧ください。
school.dhw.co.jp/p/cgheroes/#max
[プロフィール]
KAI
株式会社画龍 アートディレクター
www.ga-ryu.co.jp
www.kaihei.net
Twitter:@Kai_ryu_Kai