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Scene.3 海底基地

Scene.3 海底基地

AnimationCafeにて活動中の今川真史氏が解説する本誌の連載と連動して、メイキング動画とコラムをお届けする。

TEXT_今川真史 / Masashi Imagawa(AnimationCafe
EDIT_斉藤美絵 / Mie Saito(CGWORLD)、小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)

光の原理を知り、コンポジットで再現する

今回の作品は「海底基地」です。僕は以前、海底を舞台にした作品をつくったことがあるのですが、そのときはフルCGの作品でした。実写の海に合成するのは今回が初めてです。海の中では、遠くにあるものが見えないことは知っていましたが、どのように見えなくなるか考えて、それをコンポジットで再現するのは結構大変でした。地上と海の中ではどのように見え方が変わってくるのか、そしてそれはなぜなのかということを、自分なりに考えました。

そもそも"もの"が"見える"というのは光が見えているということで、光が物体に反射して、その光を見ていると考えます。つまり、海の中で奥のものが見えないのは、光が届いていないということになります。当たり前といえば当たり前ですが、"ものを見ている"="光を見ている"といった考え方は、自分が大学4回生のときに夕焼け空を見て実感しました。

大学からいつも通り家に帰ろうと思ったときに、太陽自体は色が変化していないのに、時間帯(太陽の位置)によって色が変わるのはなぜだろう? と、そしてなぜ夕焼けは赤いのだろうか? と疑問に感じたのです。調べてみると太陽光の波長が関係していました。青の波長は短く、赤の波長は長いので、昼は青い波長の光が空気中のゴミにぶつかり空が青く見え、逆に日が沈むときは青の波長が目まで届きにくくなり赤くなる、という原理です。このときに、光とは波長で、空気中のゴミとぶつかるんだな、と感じました。

大学の屋上から撮影した写真

話が逸れましたが、つまり海の中は空気中より光を邪魔するものが多く、奥まで光が届かないのではないか、と考えたのです。光を邪魔するものとは、海水、海の中のホコリ、プランクトンなどがあり、水中でライトを光らせると、主にこれらのものが目立つのではないかと考え、今回の作品にはホコリなどを多用しました。

自分はここ最近、光について調べることが楽しいです。地球上の現象を調べることも楽しいですが、宇宙の星の光が光速で移動して地球に届いて、何光年も遠くの星は何年か前の光が届いて、地球からは昔の姿が見えているという感じが何とも不思議で好きです。

ただ、東京は夜も明るすぎて星が見えないのは残念ですね。光について調べていたとき、星が見たくなって星空についても調べたのですが、東京は世界的に見ても明るい都市で、星が見にくいと知って絶望したことを覚えています。そのときに初めて"光害"という言葉を知りました。

岡山県の美星町には光害防止条例があり、街灯には光が水平以上に漏れない照明を使用し、看板を照らす照明なども含めて全ての上向きの明かりを禁止し、さらに屋外照明は午後10時以降消灯することを奨励しています。主要道路も通っていないため、町は星空と同化するほど真っ暗闇に包まれるそうです。町全体で星空を守っている素敵な場所だと思いました。時間ができたら美星町に行ってみたいです。

Submarine Base from Masashi Imagawa on Vimeo.

Profile.


  • 今川真史/Masashi Imagawa(AnimationCafe)
    AnimationCafe VFX/ゼネラリスト

    京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科卒業。大学1年次に受けた授業をきっかけに、ほぼ独学で3DCGを学ぶ。自主制作作品『THE SEABED』でKLab Creative Fes'17動画部門グランプリ受賞
    www.artstation.com/masashivfx321



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