記事の目次

    最近、大好きだった漫画が映画化されるなどして、SFやロボットメカものを数多く目にするようになりました。今回はそれらに刺激され、メカものの作品です。いくつになっても刺激を受けて3DCGをつくるのはとてもドキドキして楽しいものですね!

    ※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 249(2019年5月号)からの転載となります。

    TEXT_KAI(GARYU)
    EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

    Method 1:デザインを探す・考える


    ▲こういったキャラクターものは最初のコンセプトデザインやイメージがとても大切です。どんなものにするか、イメージを固めていきます。参考にするため様々な資料を集めますが、私はこの時間をとても大切にしています。主だったツールはPinterestArtStationConcept Art Worldなど。今の世の中は本当に資料探しには事欠きませんね。著作権もあるので、ここでお見せできないのが残念です。

    Method 2:ここに一番時間をかける


    ▲今回のイメージを固めるまでのながれを解説します。といっても頭の中の考えを文章化してみたものなので、たどたどしくなってしまいますが......。こういった考察を経て、今回の作品のデザインが決まりました。

    Method 3:制作方法を選ぶ


    1:ベースの形
    ベースは人間の骨格からつくることに。学生時代から愛用しているPoserを使用し、簡単なポーズをとります。


    2:ディテール
    今回は前から一度やってみたかったキットバッシュの手法を取り入れてみたいと思います。古くは映画『スター・ウォーズ』のプラモデルの頃からある、由緒ある技法ですね。


    3:和テイスト
    模様やパターンの資料を集めます。こうしたパターンづくりには3ds Maxは非常に向いています。


    4:シーン作成
    シーン作成に必要なプラグインを組み合わせて、最終的には3ds MaxのV-Rayでレンダリングすることを前提に構成を考えました。

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    Method 4:ゼネラリストの強みを活かしたシーン作成

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    Method 4:ゼネラリストの強みを活かしたシーン作成

    1:ベースの形

    ▲Poserを使用してスケルトンのモデルを作成。ポーズを付けていきます。Poserは本当に便利で使いやすいソフトです。

    ▲Poserで作成したデータを3ds Maxにインポート。これがメインなので、シーンの真ん中に配置します。

    ▲この最初の時点からライティングも少し加えて、最終的な画の感じをつかみながら進行していきます。

    2:ディテール

    ▲メカ部分のディテールのアップには計画通りキットバッシュを利用して、どんどんパーツを組み合わせていきます。

    ▲もともとあったスケルトンのモデルをガイドにして、合うパーツを探して組み合わせます。

    3:和テイスト

    ▲模様のパターンはクローンを併用して作成していきます。この手の手法は3ds Maxは得意ですね。

    4:シーン作成

    ▲それぞれキットバッシュでディテールアップしたモデルをシーン内に配置していきます。

    ▲V-RayのIPRビューポートでレンダリングの結果を見ながら配置。最近はとても便利になりました。

    ▲今回はカラーの検討にかなり時間を使いました。赤にしたり青にしたり......。最終的にはメカが目立つようにモノトーン系に落ち着きました。

    Method 5:画づくりと仕上げ

    ▲今回もほとんどのカラコレをV-Ray Frame Buffer上で行なってます。これはLUTでもっていくか、そのまま保存しても処理がされた画像をつくることができます。

    ▲コンポジットで、エレメントを使用して画像調整をしていきます。実際のレンダリングは甘くなりがちなので、トーンカーブなどで画像を締めるとちょうど良い感じになりますね。

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    Generalist Style 03

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    Generalist Style 03

    ゼネラリスト向けの情報を掲載する「Generalist Style」コーナー。3DCGソフト以外の連携で使えるソフトやプラグインなどの情報をご紹介します。ゼネラリストは様々な仕事ができないといけません。あらゆる方法で楽しく作品のクオリティアップをしていきましょう!

    キットバッシュ

    今回は古くからアナログでも映画のミニチュアやセットで使われてきたキットバッシュをご紹介します。ゼネラリストのメインの仕事はシーン作成が多いので、できるかぎり細かい作業には時間をかけたくないのが本音。最も速いモデリング方法は? それは購入してしまうことでしょう。

    1.キットバッシュ実際の手順

    ▲購入したり作ったりしていた様々なパーツを画面に全部集めて、どのパーツがふさわしいか考えながら配置していきます。

    ▲最近のキットバッシュのパーツは本当に出来が良く、そのままでも使用できるものがほとんど。形式もZBrushやOBJなど、様々なものがあります。

    ▲このところビューポートでレンダリングできるIPR方式が流行っているので、パーツを組み合わせてつくる楽しさがさらに増しています。

    2.モデルの販売・検索サイト

    ここからはキットバッシュなどに使えるモデルの販売や検索サイトを紹介します。

    ▲「TurboSquid」。老舗のモデルサイトのひとつで、かなりの量とクオリティを揃えています。
    www.turbosquid.com

    ▲「Evermotion」。クオリティではかなりのレベルのサイト。パーツのほか、インテリア、エクステリアなどが充実しています。
    evermotion.org

    ▲「KitBash3d」。背景で使えるビルなどの建築物のモデルが多い。アジア的なデザインのものもあります。
    kitbash3d.com

    ▲「3dMdb」。モデルの縦断検索サイト。登録された数多いモデル販売サイトからまとめて検索できます。
    3dmdb.com

    ▲「Vitaly Bulgarov」。とてもセンスの良いメカキットバッシュのパーツが揃っています。こちらを主に使用しているアーティストも多いようです。
    vitalybulgarov.com

    ▲メカパーツのセットです。かなり重宝していて、様々な組み合わせに使えます。
    gumroad.com/l/uMSoy



    [Information]

    • 株式会社画龍 早野海兵 監修
      3DCGベーシック講座[3ds Max]

      3ds Maxを本当にゼロからスタートする方のために作成したオンライン講座です。本講座は画づくりと技術アップの両面を重視しています。また、3ds Maxの様々な実践的な機能を動画で収録しているため、後々機能のリファレンスとしても使用可能です。ぜひ、この機会に3ds Maxを通してCGの世界に!
      online.dhw.co.jp/course/3dcg

    [プロフィール]
    KAI
    株式会社画龍 アートディレクター
    www.ga-ryu.co.jp
    www.kaihei.net
    Twitter:@Kai_ryu_Kai