お正月のような雰囲気の漂うビジュアルが2ヶ月続いてしまいましたが、今年の『画龍点睛』のコンセプトは「和クリエイティブ」です。「3DCG」と言うと欧米的なビジュアルを創作しがちですが、日本の素敵な文化を3DCGで表現していきたいと思います!
※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 259(2020年03月号)からの転載となります。
TEXT_早野海兵(画龍)
EDIT_三村ゆにこ(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
Method 1:謹賀新年
筆者が四半世紀にわたって「3DCGひとすじ」で生きてきたのは、単に仕事としてこなしているわけではなく、3DCGでの創作が楽しくてワクワクするからに相違ありません。バリエーションに富んだ仕事のオファーはどれも新鮮でドキドキするのですが、それ以上に日進月歩で開発が進む「3DCG」というツールは、技術を極める前に新しい機能やツールが次々とリリースされます。......これはどうも、老後まで飽きそうにありませんね。さて、今回は筆者の夢に現れた「狐面」がモチーフです。新しいことは積極的に! ということで、試してみたかった「tyFlow」を使ってみたいと思います。パーティクル系のソフトには珍しい「スプライン系」のツールが特に充実しているので、これを使わない手はありません。2020年は筆者による連載合計200回を記念する年でもあり、日本の伝統文化と3DCGを融合させた作品をつくっていこうと思います。若い世代の3DCGクリエイターの皆さんに、日本人として日本で3DCGの制作に携わることを誇りに思ってもらえたら嬉しいです。
Method 2:モデリング
▲モデリングに入る前に、最近筆者の中で流行っている「3Dスケッチ」を行いました。全体の感覚をつかむのにちょうど良いのです。
▲頭の中で全体のイメージがつかめたら、3DCGのソフトで形状を再現していきます。久しぶりにサーフェスを使用しましたが、このツールは難易度が高かったですね。
▲その他のお面はAIでオート作成してみました。手直しは必要ですが、面白さがありますね(笑)。
▲作成したモデルは、そのままでは面が偏っているのでZBrushをでリメッシュします。
▲ついでにUVを展開します。最近はZBrushを使用するのはこれくらいです。
▲セオリー通りにSubstance Painterでペイントするも、どうも納得がいかない......。もっと新しい表現手法はないものか?
Method 3:ゼネラリストの強みを活かしたシーン作成
1:ライティングとレイアウト
▲モデルを作成した後は、テクスチャや質感、細部のつくり込みが主流ですが、筆者の場合はその前にライティングとレイアウトを行います。
▲ゼネラリストはシーン全体を把握しながら作成していくので、ライティングやレイアウトはとても重要な要素です。
▲V-RayもRTXに対応して、ますますライティングのプレビューがしやすくなりました。早くリアルタイムの時代が来てほしい!
2:tyFlow
▲いつもはここでRailCloneなどのプラグインを使用するところですが、今回は「tyFlow」のみ使用してみました。これがなかなか軽い!
▲パーティクルとしての使用だけではなく、装飾など様々な用途に使えそうです。
▲こちらも今まで別のプラグインを使用して作成していた「パーティクルスプライン」。普通にできるのは手間が省けて素敵です。
▲表面に沿って出現するものをアニメーションして、良いところを最終画像にします。
3:コンポジット
▲レンダリングしたままの画像をAfter Effectsにもってきました。
▲被写界深度やカラコレを施して雰囲気をつくり上げます。