ZBrushマスターとして独特の存在感を放つVillard・岡田恵太が、ZBrushを用いた勢いのある造形テクニックを毎月紹介していく本連載。今回は中国神話をモチーフに、龍虎の戦いを制作します。
TEXT_岡田恵太 / Keita Okada(Villard Inc.)
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)
龍虎の戦いを迫力のクローズアップで造形
今回は中国の神話の白虎と青龍をモチーフに制作しました。筆者の作品には龍を扱ったものが多いので、今回は虎が劣勢のようなテイストにしました。デザイン画を用意せず、虎が段階を経て成長し、強くなっていくイメージで制作しました。より雰囲気重視での造形になっています。
主要な制作アプリケーション
・ZBrush 2020
・Autodesk Maya 2020
・KeyShot 8
・Substance Painter 2020.1.3
STEP 01:頭部から体の造形(第一形態)
今回は体全体を作る予定はないので、まずは頭部を作成していきます。
【1】粗くて良いのでざっくり作成していきます
【2】角を作成します
【3】ラフな体を作成します
【4】前傾姿勢になるように意識します
【5】角や表情を徐々に彫り込んでいきます
【6】髭などのパーツを作成していきます
【7】体にも手を加えながら、さらに顔をブラッシュアップします
STEP 02:さらに威圧感が出るように造形する(第二形態)
基本的に動物の場合でも人間と同じように眉間に皺を寄せるなど、感情の表現手法には共通したものがあります。そういった部分を意識すると、人間以外のものを制作する場合にもより表現の幅が広がると思います。
【1】角をより手前に出し、白目、表情や毛の量など大人びた表現にしていきます
【2】より攻撃的な角にしました
STEP 03:青龍と絡む部分の制作(最終形態)
青龍と戦わせるために、もう少し大人びて自信のある虎を作成していきます。より大人になり牙で戦えるようになったので、角は攻撃するためのものではなくなりました。これは神話に基づいたイメージなので、実際成長過程でここまで角が著しく変化することはないと思いますが、そういう整合性に関してはあえて触れていません。
【1】まずは青龍のアタリを作成します
【2】アタリを基に少しずつ龍の造形をしていきます
【3】龍の顔も正面からしっかり映ることはないので、ざっくり作成していきます
[[SplitPage]]STEP 04:全体をブラッシュアップ
虎と龍のディテールを全体的に詰めていきます。本来ならネコ科動物の資料など見ながらもう少し丁寧に進めたいですが、雰囲気重視のためざっくりとイメージで作成します。
【1】破壊された角を作成し、角のボリュームを上げていきます
【2】龍を全体的にブラッシュアップします。龍の鱗などざっくり彫っていきます
【3】虎の手の造形を進めていきます
【4】虎の口元の牙を少し誇張してあげます
【5】全体の造形が完了しました
STEP 05:KeyShotで雰囲気を確認する
造形の具合は大丈夫そうか、KeyShotで雰囲気を確かめます。
STEP 06:Irayレンダラでレンダリング
Substance Painterに含まれているIrayレンダラでレンダリングします。まずは、ZBrushでUVをざっくり開き、Mayaでモデル名やマテリアルなどを調整します。終わったらSubstance Painterでペイントしていきます。
【1】Mayaでモデルに不具合がないか確認します
【2】Substance Painterで色味や質感を加えていきます
完成
今回はバストアップメインでしたが、このモデルをもう少しブラッシュアップして全身を含めた作品にもしてみたいなと思いました。その際はもう少し細かく丁寧に制作していきたいですね。
Profile.
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岡田恵太/Keita Okada(Villard Inc.)
デジタルスカルプター、3Dコンセプトアーティスト。1991年7月生まれ、広島県出身。2012年大阪の専門学校を卒業後、大阪のゲーム会社に就職。2013年に退職し上京した後、1年ほど建設現場の作業員(荷揚げ屋)などをしながらZBrushを独学で習得し東京のゲーム会社へ就職。2015年からフリーランスとなり、PS4用ゲームのDLC『Bloodborne The Old Hunters』をはじめ主にクリーチャーなどのコンセプトモデルを手がける。2017年3月、新会社「Villard」を設立
www.artstation.com/artist/yuzuki
www.villard.co.jp