>   >  画龍点睛:Vol.121 豊作
Vol.121 豊作

Vol.121 豊作

日本の秋をイメージしてみると様々なモチーフが思い浮かびます。今回は、本連載でこれまでモチーフにしてこなかったものの中から身近なものを選んでみました。「豊作」です。

※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 267(2020年11月号)からの転載となります。


TEXT_早野海兵 / Kaihei Hayano(画龍)
EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(CGWORLD)


Method 1:記憶

筆者は東北の田舎出身です。子どもだった当時、実家の裏には遥か彼方まで田園風景が広がり、幼少の子どもたちの遊び場になっていました。水田で虫や小魚を捕まえたり、トンボやザリガニ、秋にはワラに寝転んで冬には一面の雪景色......。そういったひとつひとつの体験の思い出が、インスピレーションの源泉になっているのだと考えています。CGで制作したものではありますが、実際に体験することの重要性が活きてきます。そういえば、昔はメイキングなどでデザイナーに実際に体験させる企画などありましたが、最近は見なくなりましたね。さて秋といえば、芸術だったり読書だったりとセンチメンタルな季節ですね。


今回はノスタルジックな気分で昔を思い出すようなモチーフを。「普段食べているお米は、実は稲なんですよね、と当然のことをふと思い出す」→「簡単にイメージできるものの、細部が全然イメージできないと思い知る」→「資料を探すも肝心なものはひとつも見つからず、全体像を掴みにくい」→「特に今回は、何となく......ではなくしっかりと観察する」→「先月にひき続きアウトドアなモチーフを」。こんなご時世ですが、家にこもりすぎず実際に体験することの素晴らしさを伝えたかったのです。


Method 2:ガイド


▲こういった後々密度が上がって重くなりそうなモチーフの場合、最初にラフモデルを作成してバランスをとるのもひとつの方法です。


▲簡単なモデルを作成してテストしていきます。ちなみにGrowFXを使用。


▲完成したモデルはメッシャーで簡易的に増やしてバランスをとりました。


▲モデルが軽いうちに全体の配置等も考えておきます。


▲ゲスト登場のテントウムシ。連載何号からのゲストがわかる人は調べてみてね(笑)


Method 3:ゼネラリストの強みを活かしたシーン作成

1:繊細なシーン作成


▲ここで大切なのはアングルです。密集しているものなので、ちょっとしたバランスが難しい。


▲配置やカメラの位置を何度も変えてバランスを探ります。


▲前後感を感じさせつつ奥行きが詰まりすぎないこのアングルに調整。


▲モデルをここで調整。と言っても米の形に整えています。上部にあるちょっとした出っ張りがポイント。


▲GrowFXでの調整。さらに細かく、そしてとても軽くて嬉しい。いろいろとつくっていると、新しい機能より単純に速度がほしい。


▲バリエーションを自然に付けるために風を吹かせてみました。全体にバリエーションをかけたような感じになりますね。


▲今回は光により透きとおった感じを出したかったので、ベタですがSSSを多用しています。


▲グレアとライティングを調整しながら最終レンダリング。


2:テントウムシは後で載せる


▲LUTを外すと暗い画像になりますね。ここから調整していきます。


▲シーンにテントウムシがいないことに気がついたかと思いますが、実はAfter Effectsのカメラで後載せしています。実写合成ではポピュラーなテクニックです。


次ページ:
Road to Generalist ゼネラリストになりたい! 18