ZBrushマスターとして独特の存在感を放つVillard・岡田恵太が、ZBrushを用いた勢いのある造形テクニックを毎月紹介していく本連載。今回は、凛々しく力強い「ライオン」をモチーフに造形していきました。

TEXT_岡田恵太 / Keita Okada(Villard Inc.
EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(@UNIKO_LITTLE



凛々しく力強い「ライオン」をモチーフにした造形

あけましておめでとうございます。今年一発目の作例は、筆者の大好きな動物の1つでもあるライオンです。コロナ禍で暗いニュースが多いですが、ライオンのように凛々しく前を向いて行きたいという気持ちを込めて作成しました。本年も何卒よろしくお願いします。

主要な制作アプリケーション
・ZBrush 2021
・KeyShot 8
・Maya 2020
・Substance Painter 2020.2.0



STEP 01:顔の造形

今回は、全体からではなく顔からの造形で進めていきます。基本的に、顔の印象がその他の造形部分に大きく影響してくるため、まずは顔から入っていくことにしました。ライオンの表情と言っても、吠えて威嚇しているような顔や物静かな顔など表情は様々ですので、今回はどれでいこうかと考えながら進めました。

【1】まずは顔の形を定めていきます。目を追加して造形を整えます


【2】正面からもざっくりと整えていきます


  • 【3】ヒゲを追加します

  • 【4】堂々とした風格になってきました



STEP 02:身体の造形

身体、足、尻尾、たてがみを追加していきます。最初から骨格やバランスを決めるのではなく、造形しながら雰囲気を見つつ全体を整えていきます。今回制作する生物は現実のライオンより頭部が小さく、身体を筋骨隆々の強そうな印象にしていきたいと思います。


  • 【1】ざっくりと身体を作成していきます

  • 【2】ざっくりと骨格なども意識しましょう


【3】肩甲骨のあたりは目が行くところでもあり特徴的なので、意識しながらつくっていきます


【4】たてがみを追加していきます


【5】さらにたてがみを加えつつ肘の被毛なども作成していきます


【6】たてがみの追加に合わせて、体格も逞しくしていきます



STEP 03:ポーズを付け、全体の造形を進める

歩みを進めている感じを意識しつつポーズを付けていきます。これくらいの変化であれば、シンメトリーで進めていき後々ポーズを付けられますが、襲いかかっているポーズや躍動感のある動きにしたい場合は、シンメトリーではなく最初からポーズありきで造形していった方が、活き活きとした作品になると思います。


  • 【1】歩みを進めているような印象でポーズを付けていきます

  • 【2】様々な角度から観察


  • 【3】たてがみの印象をもう少し長く。ボリュームを足しました

  • 【4】ボリューム感はだいぶ整ってきたようです


【5】前足や後足の印象を調整します


【6】たてがみの細部を追加しました



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STEP 04:全体の造形を仕上げる

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STEP 04:全体の造形を仕上げる

今回のモチーフの象徴となる角を追加してより強く抽象的な印象を与え、さらにたてがみをはじめ全体のブラッシュアップをしていきます。造形が完成したら、仕上げに向けて準備をしていきましょう。


  • 【1】角を作成していきます。この角は草食動物系の角ですが、格好良いのでこの形を採用しました

  • 【2】角は目がいくポイントなので、細部までディテールを加えていきます。たてがみのディテールも追加しました


  • 【3】螺旋状の角の造形に沿うように追加しました

  • 【4】全てをディテールで埋め尽くすとうるさいだけの作品になってしまうため、緩急を意識します


【5】造形はほぼ完成です


【6】ZRemesherを使用しながらローポリゴンモデルを作成します


【7】ディテールを精査して造形は完了です


【ポイント】たてがみは特に情報量が多いですが、あえてディテールを潰すことで緩急を生んでいます

【8】KeyShotでの確認画面



STEP 05:レンダリング

ZBrushでの造形が終わったらMayaでUVの整理を行い、Substance Painterでテクスチャを作成してIrayでレンダリングします。今回は、生き物としてではなく「造形物」であることをイメージしているので、風化した感じやダメージ表現が必要です。高解像度での作業ができるように、UVはUDIM形式で作成しました。Substance PainterもUDIMに対応しているので、特に問題なく作業を進めることができます。


  • 【1】Arnoldでのレンダリング等ではなくディスプレイスメントマップを使用しないので、ローポリゴンモデルでもポリゴン多めで進めます。ゲームなどで使用するキャラクターモデルではないので、神経質になる必要はありません

  • 【2】ディテールの詰まったたてがみや目の行きやすい頭部周辺は、ポリゴンを多めにしています


【3】ローモデルでもそこそこディテールがありますね


【4】ZBrushのUV Masterで開いたUV。UDIM形式にしています。今回は4Kで進めていきます

【5】Substance Painterでのベイク用モデル。ディテールをしっかりと確保しています


【6】造形物のような風合いを目指して、Substance Painterでテクスチャを仕上げていきます


【7】色数が少ないと魅力が半減してしまうので、ある程度の色数になるように意識します



完成

▲Irayでレンダリングしたら完成です!

今回は造形物のようなイメージに仕上がるよう進めましたが、筆者の作風的にもこういったスタイルが心地良いと感じています。

Profile.

  • 岡田恵太/Keita Okada(Villard Inc.)
    デジタルスカルプター、3Dコンセプトアーティスト。1991年7月生まれ、広島県出身。2012年大阪の専門学校を卒業後、大阪のゲーム会社に就職。2013年に退職し上京した後、1年ほど建設現場の作業員(荷揚げ屋)などをしながらZBrushを独学で習得し東京のゲーム会社へ就職。2015年からフリーランスとなり、PS4用ゲームのDLC『Bloodborne The Old Hunters』をはじめ主にクリーチャーなどのコンセプトモデルを手がける。2017年3月、新会社「Villard」を設立
    www.artstation.com/artist/yuzuki
    www.villard.co.jp