ZBrushマスターとして独特の存在感を放つVillard・岡田恵太が、ZBrushを用いた勢いのある造形テクニックを毎月紹介していく本連載。今回は、2020年の記事で制作した「虎」をブラッシュアップしていきます。
既存モデルにディテールを追加し、より格好良い仕上がりを目指す
今回は以前制作した「虎」をブラッシュアップしていこうと思います。前回の虎をより迫力ある形や構図で格好良くしていきましょう。
大まかな造形はすでにできていますが、バランスや細かなニュアンスの変化、ディテールを追加していきました。レンダリングは「3Dプリントで立体出力するとこんな感じかな?」というイメージで行いました。また、作品タイトルに「龍虎」とあるように、虎がメインではあるものの龍の雰囲気も混ぜたようなデザイン、ニュアンスを表現しています。
主要な制作アプリケーション
・ZBrush 2021
・KeyShot 8
・Substance 3D Painter
・Photoshop 2022
・Maya 2020
STEP 01:形状の見直し
すでに大まかな形状はできていますが大雑把な部分も多いので、より格好良くなるように形状の見直しを行いながらブラッシュアップしていきます。
STEP 02:身体のブラッシュアップ
顔の調整を進めた後は、身体や角のブラッシュアップも行なっていきます。角は大きく、目に入りやすいので身体よりもディテールをしっかりと足していきます。うねっている大きな角の迫力が出せると良いかなと思います。
STEP 03:Substance 3D Painterでペイントしてレンダリング
雰囲気をいったんKeyShotで確認します。その後、ZBrushで大まかにUV展開し、MayaでモデルやUVの整理を行います。毎回のことですが、この連載はコンセプトがメインなので、UVなども大まかで問題ありません。その後、Arnoldでレンダリングを行います。
完成
Arnoldでレンダリングして完成です。
今回はより自分好みの造形物として、作品の雰囲気を重要視しながら制作していきました。
虎は好きなモチーフです。ドラゴンや龍ももちろん良いと思うのですが、個人的には虎の方がより格好良いと思っています。
岡田恵太/Keita Okada(Villard Inc.)
デジタルスカルプター、3Dコンセプトアーティスト。1991年7月生まれ、広島県出身。2012年大阪の専門学校を卒業後、大阪のゲーム会社に就職。2013年に退職し上京した後、1年ほど建設現場の作業員(荷揚げ屋)などをしながらZBrushを独学で習得し東京のゲーム会社へ就職。2015年からフリーランスとなり、PS4用ゲームのDLC『Bloodborne The Old Hunters』をはじめ主にクリーチャーなどのコンセプトモデルを手がける。2017年3月、新会社「Villard」を設立
www.artstation.com/artist/yuzuki
www.villard.co.jp
TEXT_岡田恵太 / Keita Okada
EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada