ZBrushマスターとして独特の存在感を放つVillard・岡田恵太が、ZBrushを用いた勢いのある造形テクニックを毎月紹介していく本連載。今回はVol.39で作成した「クリーチャー」に質感を追加していく。

記事の目次

    モデルに質感を加え完成度を高めていく

    今回はVol.39で作成したクリーチャーに、質感をつけてより雰囲気を出していきます。目指す方向としては、血生臭い狂気をもったクリーチャーとして、筋張った格好良さを表現できればと思います。

    主要な制作アプリケーション
    ZBrush 2022
    Maya 2020
    Substance 3D Painter

    以前の記事で作成したクリーチャー
    関連記事:Vol.39 Creature [クリーチャー]~Concept Model

    STEP 01:ZBrushでのモデルの下処理

    Vol.39で作成したモデルをSubstance 3D Painterに読み込むため、さらにArnoldでレンダリングするために、まずZBrushでUV展開などをしていきます。

    【1】まずはVol.39で作成したモデルを用意します
    【2】モデルがサブディビジョンレベルをもっていることを確認します
    【3】UV展開するために、ざっくりポリグループに分けていきます
    【4】UVマスターの機能を使ってUV展開していきます
    【5】それぞれのパーツにも同様のことを行なっていきます

    STEP 02:Substance 3D Painterでテクスチャを作成

    ZBrsuhでUV展開したモデルをMayaに読み込み、UVの解像度やレイアウト整理を行なっていきます。今回はより解像感を高めるため、UVをUDIM形式にしました。

    【1】Mayaにモデルを読み込みます
    【2】UVをUDIM形式に調整します
    【3】Mayaで整理したデータをSubstance 3D Painterに読み込んで、ZBrushのハイモデルをベイクしテクスチャ作成の準備をします
    【4】皮膚の下を作成するイメージでざっくり色を乗せていきます
    【5】色ムラや血管などを足していきます
    【6】少しずつ皮膚の色味を足していきます
    【7】全体的にコントラストが強くなりすぎないように皮膚を足していきます
    【8】一度モデルの表示を切り替えて見た目を確認していきます
    【9】筋張った部分や固い部分は白っぽくなるように色幅を意識しつつ進めます

    STEP 03:仕上げにより生々しさを追加

    最後に、よりクリーチャーが気持ち悪く見えるよう赤黒い色味を足し、もう少し造形がはっきりするようコントラストの色幅を追加していきます。

    【1】顔周辺に、主に赤色を足していきます
    【2】この顔の部分は他よりテカテカさせるため、ラフネスを下げていきます
    【3】他の場所にも赤を足していきます
    【4】コントラストに少し薄い白っぽい色を被せていきます
    【5】より造形とディテールが視認しやすくなりました
    【6】足元の台座を少し暗くします
    【7】全体的に少し擦れたような色幅を足します
    【8】最後に少し血を被った感じをイメージして赤味を足します
    【9】表示を切り替えて確認し、テクスチャは完了です

    完成

    Arnoldでレンダリングして完成です。

    以前作成したモデルに、より雰囲気が出るようテクスチャを追加しました。色味や質感を加えると、より一層コンセプトモデルとしての説得力が増しますね。

    岡田恵太/Keita Okada(Villard Inc.)

    デジタルスカルプター、3Dコンセプトアーティスト。1991年7月生まれ、広島県出身。2012年大阪の専門学校を卒業後、大阪のゲーム会社に就職。2013年に退職し上京した後、1年ほど建設現場の作業員(荷揚げ屋)などをしながらZBrushを独学で習得し東京のゲーム会社へ就職。2015年からフリーランスとなり、PS4用ゲームのDLC『Bloodborne The Old Hunters』をはじめ主にクリーチャーなどのコンセプトモデルを手がける。2017年3月、新会社「Villard」を設立
    www.artstation.com/artist/yuzuki
    www.villard.co.jp

    TEXT_岡田恵太 / Keita Okada(Villard)
    EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada