Netflixシリーズ『ONI ~ 神々山のおなり』(以下、『ONI』)は、トンコハウスと堤 大介監督が描いた闇と光の物語だ。本作のスタッフに対して、堤監督は「この作品を、自分の夢に近づくための踏み台にしてほしい」とよく語っていたという。実際、多くのスタッフが本作を通して新たな「扉」を開き、これから開くべき「扉」へと歩き始めている。そんな『ONI』の制作過程を深掘りした『CGWORLD』vol.300の特集の中から、若き作り手たちの物語をピックアップし、全3回にわたってお届けする。

稲田雅徳氏と橋爪陽平氏は、共にPixar Animation Studios時代の堤監督のコンセプトアートがきっかけで絵の道を志した。その後、当時トンコハウスに所属していた長砂ヒロ氏(コンセプトアーティスト)との出会いを経て2018年に入社。『ONI』ではビジュアルデベロップメントアーティストを務め、第50回アニー賞 プロダクションデザイン賞をほか3人のアーティストと共に受賞した。「世界に誇る才能」と堤監督が絶賛する両氏に本作での役割を聞いた。

記事の目次
    ※本記事は月刊『CGWORLD + digital video』vol.300(2023年8月号)掲載の「『ONI ~ 神々山のおなり』PART 3 色と光の指針を示す、セットのペイント&カラースクリプト」を再編集したものです。

    関連記事

    堤 大介監督が誇る『ONI』の若き作り手たちの物語(2)Fixアニメーターによるデータのクリーンナップと修正
    堤 大介監督が誇る『ONI』の若き作り手たちの物語(3)若手ライティング&コンポジットアーティストの成長
    『ONI ~ 神々山のおなり』インタビュー No.1/堤 大介監督「この作品を、自分の夢に近づくための踏み台にしてほしい」とよく話していました

    Netflixシリーズ『ONI ~ 神々山のおなり』

    全4話(計154分)
    Netflixにて、世界190の国と地域、31の言語で配信中
    原案・監督: 堤 大介 
    脚本: 岡田麿里 
    制作:トンコハウス
    制作パートナー:Megalis VFX、マーザ・アニメーションプラネット、アニマ
    エグゼクティブ・プロデューサー: Robert Kondo、Kane Lee、堤 大介
    プロデュース:Sara K. Sampson
    ©2022 Netflix
    oni.tonkohouse.jp
    『ONI ~ 神々山のおなり』予告編 - Netflix

    「トンコハウスの世界 ~ダム・キーパーからONIまで~」開催中!

    日程:7月11日(火)〜2024年1月8日(月・祝)
    会場:SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム
    www.skipcity.jp/event/vm/tonkohouse

    プロジェクトの最初から最後まで、常に何かを描いていた

    CGWORLD(以下、CGW):2人がトンコハウスに入社した経緯から教えてください。

    ​​稲田雅徳氏(以下、稲田):僕はきちんと絵を学んだことはなかったのですが、堤さんの絵が大好きで、SCHOOLISMのトンコハウスのオンラインクラスを受講しながら絵を描いて、ネットに載せていました。それを見つけた長砂さんがメッセージを送ってくださり、一緒にスケッチをすることになったんです。その後、長砂さんの個人プロジェクトのお手伝いもさせてもらっていたら、「トンコハウスで人手が必要だ」という話になり、入社することになりました。今は金沢スタジオに所属しています。

    稲田雅徳氏

    ビジュアルデベロップメントアーティスト/トンコハウス

    ​​橋爪陽平氏(以下、橋爪):僕は高等専門学校でグラフィックデザインを専攻し、趣味でマンガやイラストを描いていました。ストーリーづくりに悩んで映画を観る中で堤さんを知り、アニメーションのコンセプトアートに興味をもつようになりました。そこで長砂さんと連絡をとらせてもらい、「絵を送ってくれれば見ますよ」と言ってくださったことをきっかけに、毎週のようにフィードバックをいただくようになったんです。その後、いくつかのプロジェクトのお手伝いを経て、入社が決まったというながれです。僕も金沢スタジオに所属しています。

    橋爪陽平氏

    ビジュアルデベロップメントアーティスト/トンコハウス

    CGW:『ONI』のプロジェクトにはいつから参加したのですか?

    ​​橋爪:1stパイロットの制作のため、2018年の冬に少しだけ関わったのが最初でした。本格的な開始は2020年の8月で、Robert(Kondo)さんが描いた神々小学校の教室の線画を基にペイントをしていく仕事から始めました。

    CGW:アートブックの『ONIのすべて 〜トンコハウスと堤大介、旅の途中〜』(2023)には、Robertさんが描いた神々山の森や「なりどん」の家などのスケッチが数多く掲載されていました。それらに色を塗る仕事もあったのでしょうか?

    ​​橋爪:はい。途中で入れ替わりもありましたが、アートチームの規模は7〜8人で、大きくはデザイナーとペインターの2タイプに分かれていました。基本的にはアメリカ在住のアーティストがデザインを手がけ、日本在住の稲田さんや僕がペイントをしています。Robertさんたちのデザインを3DCGにしたときに、どんなふうに見えてほしいのか、質感や色をつけて表現してみるのが僕たちの役割でした。

    CGW:『ONI』がアニー賞 プロダクションデザイン賞(Best Production Design - TV/Media)を受賞した際には、Robertさん、 Rachelさん、Liaさん、稲田さん、橋爪さんの5人が個人受賞しましたね。

    授賞式後の​​橋爪氏のツイート

    ​​稲田:『ONI』では本当に様々な経験をさせてもらいました。セットのペイントがひと通り終わったあたりからは、カラースクリプトを描き始めました。それから、メインのキャラクターデザイナーはRebecca Chanさんでしたが、「風太郎」、「天狗」などのキャラクターのデベロップメントもやりました。プロップやグラフィックのデザイン、プロジェクトの終盤ではマットペイントもやっています。逆にアメリカのアーティストがセットのペイントやカラースクリプトを担当するケースもありました。

    CGW:最初から最後まで、常に何かを描くタスクが隣に積まれていた感じですか?

    ​​橋爪:そんな感じです(笑)。『ONI』のプロジェクトはずっと忙しくて、正直、「ちょっと楽になったなぁ」とひと息つけるような瞬間が、あまりなかったような気がします。

    ​​稲田:なかったですね(笑)。2022年の9月くらいまで作業していた記憶があります。

    CGW:Netflixでの配信開始が10月21日なので、わりとギリギリまでつくっていたんですね。セットのペイントとカラースクリプトでは、どちらの作業量が多かったですか?

    ​​稲田:肌感覚になりますが、カラースクリプトが10だとすると、セットのペイントは6〜7くらいでしょうか。カラースクリプトはディテールをそこまで細かく描く必要がない一方で、セットのペイントはディテールまでしっかり描いて、どのような質感にしたいのかを伝えることが大切でした。堤さんやRobertさんが求めてくるハードルは、どちらも同じくらい高かったと思います。

    CGW:堤さんたちが思い描く世界やストーリーを見て、聞いて、解釈して、色と光の指針を示す仕事だったのでしょうか?

    ​​橋爪:まさにそうです。

    トンコハウス・堤大介の「ONI展」(PLAY! MUSEUM)にて、壁面いっぱいに展示されたカラースクリプト(撮影:弘田 充)

    「描くのを止め、本物を観察しに行った方が良い」と言われた

    CGW:稲田さんと橋爪さんの間で、担当範囲や得意分野の棲み分けはありましたか?

    ​​稲田:「いろいろなことができるようになってほしい」というのが堤さんの意向だったので、むしろ棲み分けをさせない仕事のふり方をしてもらっていたように思います。

    ​​橋爪:そうですね。堤さんは常日頃から「フィルムメーカーとして育ってほしい」と言っていて、「自分の役割を限定せず、全てに対して興味をもってほしいし、できるようにもなってほしい」と考えているんです。例えば「なりどん」の家のシーンのカラースクリプトを描くなら、担当をひとりに絞った方がスムーズだし、効率的に進むと考える場合が多いと思います。でも『ONI』では、「なりどん」の家のシーンのカラースクリプトを僕が担当する場合もあれば、稲田さんが担当する場合もあって、担当範囲を偏らせない仕事のふり方をしてくださっていました。

    CGW:セットのペイントのワークフローはどんな感じだったのでしょうか?

    ​​橋爪:2Dの線画を基にペイントしていく場合があった一方で、先行してプリビジュアライゼーション(以下、プリビズ)担当者がラフなモデルをつくり、そのレンダリング画像をレイアウトとして使いつつ、ペイントしていく場合もありました。セットデザインの初期段階から、2Dと3Dが入り乱れているワークフローだったと思います。

    CGW:ペイントの仕事をする中で、難航したものはありましたか?

    ​​橋爪:神々山の森のセットはすごく難航しました。プロジェクトの序盤に担当したので僕の技術も足りなくて、自然のオーガニックな雰囲気がなかなか出せなかったんです。ペイントに対するRobertさんからのノート(修正指示)の中に、「一度絵を描くのを止めて、本物を観察しに行った方が良い」という指摘があって、稲田さんに「どうしましょう......」と相談しました。

    CGW:つまり「本質的なことがわかっていないから、本物の森に行って、よく観察してください」ってことですよね。ヒヤッとするコメントです。

    ​​橋爪:そうなんですよ(笑)。「仕事中に行って良いんですか?」ってびっくりしましたが、「絵を描くのを止めてください」とまで言われたので、「根本的にちがうんだろうな」とも思いました。そのノートをもらったのが金曜日だったので、「行かなくては!」という危機感でもって、週末に近所の卯辰山に登りました。兼六園で苔を観察したりもしましたね。そうして山の雰囲気や森の温度感などを観察した上で描き直したセットだから思い出に残っています。トンコハウスでは「観察すること」をとても大事にしていて、「トン活」と題したスケッチ会も定期的に実施しています。その観察が、当時は全然足りていなかったんだと思います。

    神々山の森のセットのペイント(橋爪氏担当)


    ▲プリビズモデルのレンダリング画像をレイアウトとして使い、苔やキノコなどの要素や質感を橋爪氏がペイントしている。Robert氏のノートを受けて、途中で描くのを止めて卯辰山まで森の観察に行き、その上で描き直したとのこと。「キノコがどういった場所に生えているのか、魅力的に見えるレイアウトはどういうものなのかなど、考える要素が大量にあって難しかったです」(橋爪氏)

    「もっと全体を見て描いてね」と指摘され、身が引き締まった

    CGW:稲田さんの仕事の中で難航したものも教えてください。

    ​​稲田:第2話の「おなり」が太鼓の練習をするシークエンスのカラースクリプトは難しかったです。シーンがどんどん移り変わっていくモンタージュのシークエンスをまとめてアサインされたので、「どうしよう......。大丈夫かな?」と最初は不安でした。シークエンス全体を俯瞰しないと判断のしようがなかったので、1枚ずつ丁寧に描くのではなく、全部同時並行で、ババッと早く仕上げることを心がけました。

    CGW:「なりどん」が川のせせらぎに耳を傾けたり、「おなり」と一緒に天気雨の中で踊ったりと、美しくエモーショナルなシーンが詰まっていましたね。途中に挟まる「おなり」や「風太郎」が陰の中にいるシーンとのコントラストが象徴的で、とても印象に残っています。

    ​​稲田:基本的には隣り合うシーンはちがうライティングにして、バリエーションを出すことを意識しました。シークエンスが進むにつれて「風太郎」のフラストレーションが溜まっていく場面でもあるので、空一面を雲が覆うオーバーキャストの天気などを使って、徐々に「風太郎」が陰の中に入っていくようにしています。

    第2話のカラースクリプト(稲田氏担当)

    ▲3分弱の尺の中で、シーンがどんどん移り変わっていくモンタージュのシークエンスのカラースクリプトなので、全体を俯瞰しながら仕上げる必要があった。終盤では「なりどん」と「おなり」が天気雨の中で仲良く踊る明るいシーンの直後に、雨雲の陰の中にいる「風太郎」のシーンを配置することで、両者の感情のコントラストを際立たせ、その後のストーリー展開を暗示している

    CGW:全部を描くのに、どのくらいの時間を使ったのでしょうか?

    ​​橋爪:2週間くらいじゃないでしょうか。基本的にカラースクリプトは1日1枚くらいのペースで描くんですが、稲田さんは筆のスピードがすごく早いんです。

    CGW:全部で18枚ありますから、2週間だったとしても1日1枚以上のハイペースですね。

    ​​稲田:描いている途中で、「もう少しできそうだ」となったのか、枚数が追加されたんです。それでも2週間かからなかったような気がします。どんなライティングにするかを先に決めて、一気に仕上げました。

    CGW:いろいろすごいですね。堤さんからはどんなノートを受け取りましたか?

    ​​稲田:「もう少し暗くしよう」、「光の方向をちょっと変えよう」といった細かい指示はありましたが、大きな変更はなかったと思います。本格的に描き始める前に、「ここはこういうライティングにしたい」というリファレンスを堤さんに見せていたので、その段階で大筋のOKはもらっていました。

    ▲第2話の完成映像

    ​​橋爪:第1話のカラースクリプトでは、僕も神々小学校の子供たちがクシの修行をするモンタージュのシークエンスをやらせてもらいました。そのときに堤さんから「もっと全体を見て描いてね」と指摘され、身が引き締まりましたね。カラースクリプトを描くときには、1枚の絵として捉えるのではなく、全体を俯瞰して、映像として捉えることが大切だと実感した瞬間だったと思います。

    CGW:観客を飽きさせることなく、ストーリーのながれを伝えるためには、各シーンのつながりを意識した画づくりが必要なんでしょうね。ほかに、印象に残っているカラースクリプトはありますか?

    ​​橋爪:第2話の終盤で、「おなり」が自分のクシの力を皆に披露しようとして太鼓を叩くシークエンスもすごく印象に残っています。「予算とスケジュールの都合で、ひとつのセットにつき、ひとつのライティングしか設定できない」と事前に堤さんから聞かされてはいたのですが、このシークエンスでは、あえて途中でライティングを変えるカラースクリプトを描きました。

    CGW:明るい夕日に照らされた晴れ舞台で「おなり」が太鼓を叩き、でも何も起こらず、自分にクシの力がないことを思い知らされる......。その心中を表すように、太鼓を連打する中で無情に日が沈んでいく切ないシークエンスでしたね。

    ​​橋爪:はい。「ライティングをチェンジできれば、よりエモーショナルなシークエンスになるんじゃないでしょうか?」という提案をしながら描きました。堤さんは「そのときにできる、最大級に良いものをつくった方が良い」と常々言っていて、このときも「3Dでの再現は難しいかもしれない」と思いつつ、僕たちがベストだと思うカラースクリプトを描きました。それをMegalis VFXが見事に再現してくれて、僕の期待以上の結果になったので滅茶苦茶嬉しかったです。

    CGW:「かっぱ」のクシの力が暗闇の中で印象的に光る画につなげている点も素晴らしいですね。「おなり」の傷ついた手が癒される一方で、心はさらに打ちのめされるコントラストが見事に描かれていました。

    第2話のカラースクリプト(橋爪氏担当)

    ▲「なりどん」、「風太郎」、神々小学校の面々が見守る中で、「おなり」が太鼓を叩くシークエンスのカラースクリプト。全員の位置関係と場面の状況を伝えるエスタブリッシング・ショットを2枚目と6枚目に挿入し、ガラッとライティングを変えることで、「おなり」の心の動きを表現している。さらに日が落ちてから「かっぱ」のクシの力を発光させることで、観客の視線を「かっぱ」の手元に誘導している

    ​​橋爪:反対に、第4話の鬼月が出現するシークエンスは、カラースクリプトとは異なるライティングにしたことで、さらに良くなったと思います。僕が描いたカラースクリプトでは、「おなり」と「カルビン」がピーナッツバターとジャムを瓶からすくって食べている最中に夕日が沈み、赤い鬼月が出現するながれになっていました。でもそれだとライティングが小刻みに変わって慌ただしかったので、夕日が沈んでいる状態からシークエンスを開始して、途中で鬼月が出現するながれに変更されたのだと思います。

    CGW:カラースクリプトでは「夕日→日没→鬼月」だったものが、Megalis VFXによるライティングの段階で「日没→鬼月」に変わったわけですね。

    ​​橋爪:そうです。複雑だったライティングをシンプルにした結果、鬼月の夜が迫ってくる怖さや、「おなり」の焦りが伝わりやすくなったと思います。

    第4話のカラースクリプト(橋爪氏担当)

    ▲このシークエンスのライティングは、カラースクリプトの段階では「赤(夕日)」→「青(日没)」→「赤(鬼月)」だった。しかしMegalis VFXによるライティングの段階で、よりシンプルな「青(日没)」→「赤(鬼月)」の構成に変更された

    最新作では、デザインやストーリーボードまでやっている

    CGW:ロサンゼルスで行われた第50回アニー賞の授賞式に参加した際に、Guillermo del Toro監督と握手ができて、一緒に写真を撮ってもらえたことは「一生の思い出になりました」と橋爪さんがTwitterに投稿していましたね。何かお話しできましたか?

    ​​橋爪『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』(2022。以下、『ピノッキオ』)は大好きな作品だったので、ファンとして滅茶苦茶嬉しかったし、同じ年に受賞できたことは思わぬサプライズでした。『ONI』の制作中はただただ必死に描いていたので、感慨深いものがありましたね。Guillermo監督から「おめでとう」と言ってもらえて、「『ピノッキオ』は5部門受賞ですから、あなたの方がおめでとうじゃないですか!」と思ったんですが、緊張のあまり「Thank You!」くらいしか言えなかったです。

    第50回アニー賞の授賞式後の記念写真

    ▲『ONI』のスタッフと、Guillermo監督(後列右から4人目)の記念写真。稲田氏(前列左から2人目)と橋爪氏(前列左から4人目)も授賞式のために渡米した。第50回アニー賞において、Guillermo監督の『ピノッキオ』は作品賞(Best Feature)を含む5部門を受賞している。「『ピノッキオ』は素晴らしい作品で、すごく僕の心に刺さりました」(橋爪氏)

    CGW:『ONI』に参加したことで、稲田さんも橋爪さんも、フィルムメーカーとしてさらに成長できたと思います。今後はどんな「扉」を開きたいと考えていますか?

    ​​稲田:僕は堤さんの絵を見て「ペイントができるようになりたい」と思い、絵を描き始めました。実際に一緒に仕事をする中で、堤さんのすごさを何度も感じて、「僕はまだまだだ」と痛感しています。それと同時にRobertさんをはじめとするデザインチームの仕事を間近で見て、これまではあまり勉強してこなかったキャラクターやセットのデザインと、それを表現するドローイングの分野でも、もっと向上していきたいと思うようになりました。現在進行中の『ボトルジョージ』のプロジェクトでは、ペイントに加え、キャラクターやセットのデザイン、ストーリーボードまでやらせてもらっています。

    ​​橋爪:僕もまだまだ未熟なので、ペイントの技術をもっと培いたいと思いました。同時に、ひとつのことだけに関わるのではなく、仕事の幅を広げたいと強く思うようになりました。『ONI』は「絵を描いている」のではなく、「フィルムをつくっている」と感じることができたプロジェクトでした。それが印象的だったし、今後もそういう気持ちでプロジェクトに参加したいです。『ボトルジョージ』では、僕も稲田さんと同様にデザインやストーリーボードも手がけています。少人数だからこそ、何でもやらせてもらえて、フィルムメーカーとして成長できる。それがトンコハウスの大きな魅力だと思います。僕もいつかは自分の作品をつくりたいので、そのための勉強を続けていきたいです。

    ©2022 Netflix
    <次回>
    (2)Fixアニメーターによる
    データのクリーンナップと修正

    Information

    月刊『CGWORLD +digitalvideo』vol.300(2023年8月号)

    特集:『ONI ~ 神々山のおなり』
    定価:1,540円(税込)
    判型:A4ワイド
    総ページ数:112
    発売日:2023年7月10日

    詳細・ご購入はこちら

    TEXT_尾形美幸/Miyuki Ogata(CGWORLD)
    EDIT_李 承眞/Seungjin Lee(CGWORLD)
    文字起こし_遠藤大礎/Hiroki Endo