2024年7月にリリースされる『ファイナルファンタジーXIV』の最新拡張パッケージ『黄金のレガシー』のティザートレーラーが公開され、新たな冒険へといざなうハイスペックなビジュアル表現が大きな話題を呼んだ。メイキング第3回は、本誌表紙にも登場した印象的な本作のキービジュアルができるまでに迫る!
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イラストのテイストを加えたダイナミックなアート
キービジュアルは新しい冒険の地と新ジョブ・ヴァイパーのお披露目というテーマが設定され、様々な用途に耐えうるよう縦横のトリミングでも成立する正方形で制作された。まずラフ案にてコンペが行われ、8つの案の中から選出されたのがアートチーム・高宮舞子氏の案である。カメラを傾けたダッチアングルの画角が特徴で、ワクワクするような新たな冒険を感じさせ、遠景に1つのロケーションがフォーカスされている様など、これまでにない表現の仕方だった点が評価されたとのことだ。
「キービジュアルは、プレイヤーはもちろん作品を知らない人の目も引けるような、既視感を与えないキャッチーさや美しさが重要だと考えています。キャッチーさの演出として思いきってイラストのようなダイナミックな動きの構図を考え、冒険の広がりや期待感を感じてもらうため夜明けの情景にしました」(高宮氏)。
ゲームチームからの要望を受けてキャラのポーズなどを調整していき、ラフアートとして完成した後にカラコレのイメージ案を作成したところで、今回は同じアートチームの稲葉水緒氏にバトンタッチすることになる。2名体制でのキービジュアル制作は初だったため、綿密にすり合わせが行われた。
「レンダリング素材を基にレタッチとマットペイントを行い、完成までもっていくのが私の仕事です。完成したラフアートを参考に、ディテールを意識して綺麗な絵をつくることを心がけました」(稲葉氏)。
絵の中景・遠景ではキービジュアル用の新規アセットにレタッチが施され、アップにしても見応えがあるディテールになっている。空についても、ぱっと見で思わず見入ってしまう美しい情景が細部にいたるまでしっかり描き込まれている。
こうして作成されたキービジュアルは、その役割通り、新たな大陸に向かう冒険を示すものとなっている。この見事なアートが完成するまでの過程も合わせて楽しんでいただきたい。
ラフ案とカラコレ案の作成
Photoshop調整レイヤーによるカラコレ
レタッチからフィニッシュまで
キービジュアルは専用に作成されたBG・プロップアセットと、本編用のキャラクターアセットをライティングチームがレンダリングし、出力された素材を稲葉氏がレタッチとカラコレを施して仕上げられる。カラコレは上段で解説したように、Photoshopの調整レイヤーを用いてガンマや露光量を調整し、イラストテイストを加えながら調整が行われた。レタッチについては、キャラクターの目元を調整したり口角を上げるなど、柔らかく豊かな表情にレタッチされている。
CGWORLD 2024年3月号 vol.307
特集:『ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー』ティザートレーラー
判型:A4ワイド
総ページ数:112
発売日:2024年2月9日
価格:1,540 円(税込)
TEXT _渡邊英樹
EDIT_藤井紀明 / Noriaki Fujii(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada