>   >  Pixel Challengeの作品群に見る可能性と課題~ケベック・シティーのデジタルコンテンツ産業レポート<2>~
Pixel Challengeの作品群に見る可能性と課題~ケベック・シティーのデジタルコンテンツ産業レポート<2>~

Pixel Challengeの作品群に見る可能性と課題~ケベック・シティーのデジタルコンテンツ産業レポート<2>~

前回に続き、ケベック・シティー(カナダ)のデジタルメディア産業について紹介するレポート第2弾。4月5日から7日までケベック・シティーで開催された複合型GameJam「Pixel Challenge2018」は、同一テーマにもとづき48時間でグループ制作を行うもので、成果物にはゲームだけでなく短編アニメーションも含まれる。今回は、この世界的にも珍しいイベントから、同市の現状と課題を考察する。

TEXT_小野憲史 / Kenji Ono
EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada

<1>48時間で開発された入賞作品群


毎年1月末に全世界で実施されるGlobal Game Jamを筆頭に、世界中で開催されているGameJam。IT業界におけるハッカソン(ハック+マラソンの意味の造語)イベントを参考に、2000年代後半から草の根で始まったゲーム開発イベントだ。しかし、Pixel ChallengeにはGameJamと大きく異なる点がある。ゲームだけでなく、短編アニメーション(15秒~2分)も対象にしていること。そして総額15500カナダドル(約131万円)の賞金が用意されていることだ。

2013年にスタートし、今年で6回目となった同イベントには、地元のゲーム開発者や学生をはじめ合計384名が参加し、「パーフェクトストーム」をテーマに、60作品以上が制作された。夕方5時に開発が終了すると、そこから約4時間かけて審査が行われ、夜9時過ぎから受賞式がスタート。会場はスポットライトや音楽でショーアップされ、発表の度に歓声が上がるなど、さながらお祭り騒ぎの様相を呈した。

なお、2018年の入賞作は公式サイトから確認できる。また、佳作を含む全作品の映像はYouTubeで公開されている


入賞作品一覧

■団体部門

ゲーム部門(プロ)
『Wannable Gods』(BEYOND FUN) 賞金5000カナダドル
地元のゲーム開発者3名によるチームで、制限時間内に風圧で、どれだけ相手をステージから吹き飛ばせるかを競うアクションゲーム。相手を吹き飛ばすと得点が加算され、希に登場するボーナスアイテム(トライデント)をゲットすると、さらに得点が加算される。最大8人まで対戦可能。

ゲーム部門(学生)
『BREAKING STORM』(Melonslice) 賞金2500カナダドル
Cégep Limoilou単科大学の学生を中心とした6名のチームで開発。暴風雨に見舞われた都市を舞台に、ヘリコプターを操作して他のヘリコプターを妨害しつつ、様々なミッションを遂行していく。最大4人まで対戦可能。

3Dアニメーション部門(プロ)
『Storm, please』(Pixeliseurs De Challenge) 賞金2500カナダドル
地元のアニメーター3名によるチーム開発で、「アニメーションの脚本部門」を受賞したJean-François Faucher氏が脚本で参加している。宇宙人が銀河ショップで暴風雨アイテムを購入し、ケベック州に雪嵐を発生させるという、シュールな内容だ。

2Dアニメーション部門
『La vie en rose』(AquaDoges) 賞金2500カナダドル
ラヴァル大学の学生を中心とした6名のチームで開発。マッドサイエンティストが自分の発明品で暴風雨を巻き起こし、街中をウサギだらけにしてしまう。ヴォーカロイドを使用したと推測されるエンディングテーマにも注目。

■個人部門
※カッコ内は個人名/チーム名で表記

アニメーションのBGM&サウンドデザイン部門
『Qui Croque le Criquet?』(Philippe Grant/LESquads) 賞金500カナダドル
ラヴァル大学の学生による作品。ハエを補食しようとしたカメレオンが想像を働かせすぎて......? PIXAR/Disney作品を彷彿とさせるシュールでコミカルな内容。

ゲームのサウンドデザイン部門
『Perfect Neighbour』(Dave Gagné/MessengeInABottle) 賞金500カナダドル
Bart College単科大学の学生とプロの混合チームで、オーディオ担当はUBIケベックに所属するプロのクリエイター。送風機を用いて家の前のゴミを、通りを挟んだ反対側の家に押し付け合うアクションゲームだ。ゲーム内容と音楽のミスマッチが評価された。

ゲームBGM部門
『不明』(Xavier-charles Fecteau/Conjure) 賞金500カナダドル
ケベック大学高等工科大学の学生チームによる作品。雲の上のステージを豊体に、4人で対戦するアクションゲームで、雲をまとめて雨をふらし、他のプレイヤーを落下させる回数を競う。ファミコン的なBGMが特徴。

アニメーションのBGM&サウンドデザイン部門(SilverJack賞)
『Got PLANS?』(Marie-France Gilbert​/Flying Fries) 賞金500カナダドル
ラヴァル大学の学生チームによる作品。離れた家に住む女の子の気を惹こうとして、男の子が様々な工夫を重ねるが......? コメディタッチのロマンチックな作品で、アコーディオン風のBGMが印象的。

アニメーションの脚本部門(Spira賞)
『Rien ne sert de pomper』(Pablo Escobar Tuduri/LES AXOLOTLS) 賞金500カナダドル
フランス出身で元モントリオールの映画館勤務、現在はフランスでカフェの店長を務める脚本家と、地元チームの共同作品。タイトルは「走っても無駄(=丁度良いときに出発する必要がある)というフランスのことわざから。ボディビル大会が舞台のコミカルな作品。

アニメーションの脚本部門(Le Clap賞)
『Storm, please』(Jean-François Faucher/​Pixeliseurs De Challenge) 賞金500カナダドル
3Dアニメーション部門の受賞作品で、脚本は子ども向けの書籍執筆やドラマの脚本を手がけるライターによるもの。

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<2>参加者に聞く開発のふりかえり

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