アドビは7月15日(水)、Substance 3D公式YouTubeで動画「Tapestry x Adobe Substance 3D: Scaling Fashion Design with Digital Twins | Adobe Substance 3D」を公開した。CoachやKate Spadeといった世界的ブランドを傘下に持つTapestry社が、製品の物理的な試作をデジタルツインで代替し、製品開発からマーケティングに至るまでのデザインプロセスを、いかに効率化・スケールさせているかについて解説している。
3Dモデルを用いたフロントエンドでのコンセプト検証
Tapestry社のデジタルプロダクトクリエイションチームは、物理的な製品開発をデジタルで精巧に再現するデジタルツインの構築を推進している。従来、デザインの意思決定は2DのベクターCADに依存していたが、3Dモデルを導入することでワークフローが劇的に加速。手描きのスケッチやデザインカードを起点としてベースとなる3Dモデルを作成し、プロセスの初期段階でコンセプト検証を行うことが可能になった。これにより、製品開発者、デザイナー、製造業者、マーチャンダイザー間のコミュニケーションギャップを埋め、グローバルな共同制作における製品形状の早期の可視化を実現したとのこと。
Substance 3D Painterによる緻密なディテールと質感のプロシージャルな再現
ベースとなる3Dモデルの承認後は、ビジュアライゼーションの工程に移る。動画内では、バッグに対して、Substance 3D Painterを用いて刺繍やパッチ、デボス(空押し)やエンボスといった物理的なスタンプ加工を施す様子を紹介している。
リサイクルレザーを使用した制作事例では、素材のベースレイヤーから構築を始め、各種ブラシやアルファスタンプを駆使して、長年使い込まれたような摩耗効果やロゴのディテールを非破壊でプロシージャルに再現。また、パスに沿ってペイント(Paint Along Path)ツールを利用することで、バッグの縫い目を個別にモデリングすることなく極めてリアルに描画できる点を強みと感じているという。さらに、同社は社内のマテリアルスキャナやSubstance 3D Samplerを併用し、ブランド独自のマテリアルおよびハードウェアのカスタムライブラリを構築。誰もが標準化されたアセットを引き出せる環境を整えているそうだ。
アドビエコシステムとの連携とStagerによるレンダリング
ビジュアライゼーションを終えたアセットは、Substance 3D Stagerへと送られ、静止画または360度アニメーションとしてレンダリングされる。顧客向けのプロモーションに直結するため、ここでは実物の商品写真と見紛うほどのフォトリアルな結果が求められる。その点、Tapestry社では社内の写真スタジオと協業し、ライティングやカメラアングルを物理的な撮影環境と完全に一致させることで、レンダリングプロセスを標準化している。
3Dプリントと連携したプロトタイピングのコスト削減
3Dパイプラインの導入は、開発におけるリードタイムの短縮とプロトタイピングの大幅なコスト削減に直結。サプライヤーレベルでの金型開発と物理サンプルのイテレーションに多大なコストがかかっていたバッグの開発を、3Dビジュアライゼーションと3Dプリントを組み合わせたワークフローに置き換えることで、高解像度のプロトタイプの直接出力から商業化まで、プロセスを大幅に加速させた。こうした極めて写実的なデジタルサンプルの作成は、物理サンプルの削減によるサステナビリティの推進にも貢献しており、アップサイクルや素材のリサイクルを掲げるCoachの「循環性(Circularity)」というミッションを後押しする。
「create once, use many」の哲学によるアセットの多角的な展開
構築されたデジタルツインは、製品開発だけでなく、マーチャンダイジングやマーケティング、小売業の顧客体験に至るまで、エンタープライズ全体で横断的に活用。Tapestry社はこれを「create once, use many」アプローチと呼ぶ。Coachの主力モデル「Quilted Tabby 26」の3Dモデルは、製品のビジュアルチェック用にとどまらず、Eコマース用の画像、ポップアップストア、ノベルティ用のケーキの型やアイスキャンディ、イベント用バウンスハウス、さらにはフードトラックの装飾に至るまで、単一の3Dデータを基盤として多様なマーケティングアセットへと多様に展開されている。
■Tapestry x Adobe Substance 3D: Scaling Fashion Design with Digital Twins | Adobe Substance 3D(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=G6tCbY9-EHQ
■How Tapestry is scaling fashion design with digital twins and Substance 3D(Adobe Blog)
https://blog.adobe.com/en/publish/2025/10/03/how-tapestry-scaling-fashion-design-digital-twins-substance-3d
CGWORLD関連情報
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ProductionCrateが動画「Anchor Points in Adobe Substance Painter - Beginner Tutorial」を公開。Substance 3D Painterにおいて、あるレイヤーの情報を別のレイヤーへと動的に伝達するアンカーポイント(Anchor Points)機能の活用法を解説。基本的な機能解説からプロシージャルな汚れの自動生成、ハイパスフィルタを応用した立体的でリアルな塗料の剥がれ表現、生々しい傷跡などのオーガニックな表現まで、実務的なテクスチャリング手法を紹介している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202607-Sp-Anchor.html
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AdobeがGDCにおけるid Softwareの講演動画「Building the Dark Fantasy Materials of DOOM: The Dark Ages | Adobe Substance 3D」を公開。ゲーム『DOOM:The Dark Ages』の開発において、少人数のテクニカルアートチームがいかにして膨大なテクスチャアセットを効率的に制作・管理したか、Substance 3D Designerを活用したプロシージャルなアプローチや独自のDamage Revealシステム、そして巨大マップ向けのコンポジットマテリアルの構築手法について解説している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202607-Substance-DOOM.html
●にゃんねこ氏、Substance 3D Painter用ジェネレータ「Nyanneco Position Mask」リリース Positionマップから帯状シェイプを作成、髪の毛のテクスチャリングなどに利用可能
にゃんねこ氏がSubstance 3D Painter向けジェネレータ「Nyanneco Position Mask」をBOOTHにてリリース。3Dモデルの空間的な位置情報を利用して帯状シェイプを作成し、髪の毛のハイライト表現などに用いる表示・非表示マスクを手軽に生成できるツール。髪の毛のほか縞模様の生成などにも応用可能。価格は300円。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202607-NyannecoPosMask.html