オートデスク株式会社は10月30日(水)、5月に買収したWonder Dynamics社開発の「Wonder Studio」内で利用できる、Video to 3DのAIソリューション「Wonder Animation」のベータ版をリリースした。実写映像から3DCGキャラクターモデルを使ったアニメーションを生成し、カメラやライト、環境などを含む3Dシーンをエクスポートする機能となる。

Kickstart your animated project with groundbreaking Video to 3D Scene technology.

画期的なVideo to 3D Sceneテクノロジーで、アニメーションプロジェクトに弾みをつけましょう。

Convert live footage into 3D scenes with all camera setups, character body and face animation, and fully editable elements in one 3D space.

Wonder Animationは、ライブ映像から、全てのカメラセットアップ、キャラクターのボディ&フェイシャルアニメーション、完全に編集可能な要素を1つの3Dシーンに変換します。

オートデスクは10月30日付のブログ「Introducing Wonder Animation: New AI solution for animated films, powered by cutting-edge Video to 3D Scene technology」でWonder Animationを紹介。発言のいくつかを以下に抜粋する。

Wonder Animation’s beta launch, now available to all Wonder Studio users, aims to bring artists closer to producing fully animated films, while enabling the artist to retain full creative control – unlike other generative AI tools that rely on automated outputs.

Wonder Animationのベータ版は、現在すべてのWonder Studioユーザーが利用可能です。この機能は、アーティストが完全なクリエイティブコントロールを保持できるようにしながら、完全なアニメーション映画の制作にアーティストを近づけることを目的としたものです。自動化された出力に依存する他の生成AIツールとは異なります

The most innovative part of Wonder Animation’s Video to 3D scene technology is its ability to film and edit sequences with multiple cuts and various shots (wide, medium, close-ups). The technology then uses AI to reconstruct the scene in a 3D space and matches the position and movement of each camera’s relationship to the characters and environment.

Wonder Animationの最も革新的な技術は、複数のカットや様々なショット(ワイド、ミディアム、クローズアップ)でシーケンスを撮影・編集できることです。そしてWonder Animationは、AIを活用してシーンを3D空間内に再構築し、各カメラの位置や動きとキャラクターや環境との関係を一致させてくれます。

This essentially creates a virtual representation of an artist’s live-action scene containing all camera setups and character body and face animation in one 3D scene, with fully editable elements (animation, character, environment, lighting, and camera tracking data) in their preferred software, such as Maya, Blender or Unreal.

Wonder Animationは実写シーンを仮想空間内で表現し、全カメラ設定とキャラクターのボディ&フェイシャルアニメーションを1つの3Dシーンに収め、MayaやBlender、Unreal Engineなど、好みのツールで完全に編集可能な要素(アニメーション、キャラクター、環境、照明、カメラトラッキングデータ)を作成します。

Unlike the black-box approach of most generative AI tools currently on the market, we’re empowering artists to shape their vision instead of just relying on automated outputs.

Wonder Animationは現在市場に出回っているほとんどの生成AIツールのブラックボックス的なアプローチとはちがいます。われわれはアーティストに対して、自動化された出力に頼らずにアーティストのビジョンを形にする力を与えています。

Wonder Studioについて

Wonder Studioは、AIを活用して実写映像内の人物キャラクターを3DCGに置き換えることができるプロダクションツール。モーションキャプチャ機材や3Dツール、プロダクションハードウェアは必要なく、カメラさえあれば3DCGによる実写合成を実現できる。キャラクターモデルについては、セットアップ済みのプリセットが執筆時点で17体用意されており、カスタムキャラクターモデルのインポートも可能だ。

Wonder Studioへログインした直後に表示されるHomeページ

Blender用のアドオンも用意されており、Wonder Studioで作成したセットアップ済みのキャラクターモデルやアニメーションデータなどのエクスポートが行える。

■Wonder Studioドキュメント(英語)
https://help.wonderdynamics.com/

■Release Notes(英語)
https://help.wonderdynamics.com/working-with-wonder-studio/release-notes

■Wonder Studio Video Tutorials(英語)
https://help.wonderdynamics.com/intro-to-wonder-studio/introduction/video-tutorials


※上記ページの閲覧にはWonder Studioアカウントの取得およびログインが必要です

プランと価格

アカウント作成時は無料のPreviewプランで、Wonder Studioに用意されたキャラクターを使ったテンプレートプロジェクトのレンダリングのみが可能。有料プランはLITE(年払いで月16ドルから)、PRO(年払いで月84ドルから)、ENTERPRISEの3つが用意されている。

CGWORLD関連情報

●定番Maya用群衆シミュレーションツール「Golaem」の知的財産とチーム人員がオートデスク傘下へ! 時期Mayaの目玉機能となるか

Maya用群衆シミュレーションツールとして定評のある「Goalem」を開発・販売するGoalem開発チームは、AutodeskがGoalemの主要IP(知的財産)とチームを買収したと、Goalem Webサイトで発表した。
https://cgworld.jp/flashnews/202408-Goalem-Autodesk.html

●「Maya 2025.3」リリース! グラフ エディタやブール演算の改善、OpenPBR サーフェスシェーダ、Bifrost 2.11.0.0など

Maya 2025.3 Updateではグラフエディタやブール演算の改善、Arnold for Maya 5.4.5におけるOpenPBRサーフェスシェーダの実装、Bifrost 2.11.0.0、USD for Maya 0.30、LookdevX for Maya 1.6.0などが導入されている。
https://cgworld.jp/flashnews/202410-Maya2025-3.html

●オートデスクのプロジェクト管理ツール「Flow Production Tracking」(旧ShotGrid)がアップデート! AIが納期・予算・チームの稼働状況などを判断し多数のタスクから瞬時にスケジュールを生成

オートデスクは同社プロジェクト管理ツール「Flow Production Tracking」(略称、Flow PT)の最新アップデートとして、タスクからのスケジュール生成機能「Generative Scheduling」をリリース。Autodesk AIが搭載された本機能の活用により、納期や予算、チームの稼働状況といった、常に変化するプロジェクトの変数を考慮した制作スケジュールが高速で生成できるという。
https://cgworld.jp/flashnews/202408-FlowPT-AI.html