3月17日(月)から5日間開催されたゲーム開発者向けカンファレンス「GDC 2025」では、NVIDIA社が新たなニューラルレンダリング技術を発表し、マイクロソフト社がDirectX 12でNVIDIAのニューラルシェーダ(RTX Neural Shaders)に対応することを発表した。

これにより、生成AIやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)のアクセラレータであるTensorコアをシェーダ内から直接活用できるようになり、高品質な映像表現と大幅なパフォーマンス向上が期待できる。


マイクロソフトによるDirectXとHLSL(ハイレベルシェーディングランゲージ)へのニューラルシェーダサポートはAgility SDK Previewを通じて4月から行われる。

RTX Mega GeometryなどがUnreal Engine 5で利用可能に

超ハイポリゴンのシーンに対して自動で動的なLOD処理を施し、高速パストレーシングを行うRTX Mega Geometry、ヘアやファーの高速レイトレーシングを行うRTX Hairなどが「NVIDIA RTX Branch of Unreal Engine(NvRTX)」(NVIDIAの最新テクノロジを搭載したNVIDIA版Unreal Engine 5)で利用可能となった。

▲新しいニューラルレンダリング技術をNvRTXで構築したデモ「Zorah」

■NVIDIA RTX Branch of Unreal Engine(NVIDIA Developer)
https://developer.nvidia.com/game-engines/unreal-engine/rtx-branch

■NVIDIA RTX Mega Geometry Now Available with New Vulkan Samples(NVIDIA Developer Technical Blog、英語)
https://developer.nvidia.com/blog/nvidia-rtx-mega-geometry-now-available-with-new-vulkan-samples/

その他の発表内容

GDC 2025ではその他、AIにより低解像度画像から高解像度映像を生成する技術「DLSS 4」の採用状況や、AIによるデジタルヒューマンのアニメーション生成技術「NVIDIA ACE」の活用事例も紹介された。

▲DLSS 4の採用事例:ゲーム『Lost Soul Aside』
▲NVIDIA ACEの採用事例:ゲーム『Black Vultures: Prey of Greed』

また、過去のゲームを最新のグラフィックス技術で再構築できるオープンソースプラットフォーム「RTX Remix」も正式にリリースされた。

▲RTX Remixの紹介動画

RTX Remixでグラフィックスをアップグレードしたゲーム『Half-Life 2』の無料デモ版『Half-Life 2 RTX』は、Steamからダウンロード可能だ。

▲RTX Remixによりフルレイトレーシングで描画された『Half-Life 2 RTX』

■NVIDIA RTX Advances with Neural Rendering and Digital Human Technologies at GDC 2025(NVIDIA Developer Technical Blog、英語)
https://developer.nvidia.com/blog/nvidia-rtx-advances-with-neural-rendering-and-digital-human-technologies-at-gdc-2025/

■Announcing DirectX Raytracing 1.2, PIX, Neural Rendering and more at GDC 2025!(Microsoft Dev Blogs、英語)
https://devblogs.microsoft.com/directx/announcing-directx-raytracing-1-2-pix-neural-rendering-and-more-at-gdc-2025/

■NVIDIA と Microsoft が画期的なニューラル シェーディング テクノロジでゲーミングの新時代を開拓(NVIDIAブログ)
https://blogs.nvidia.co.jp/blog/nvidia-and-microsoft-open-next-era-of-gaming-with-groundbreaking-neural-shading-technology/

CGWORLD関連情報

●NVIDIAらによるAIベースのレンダリング手法「DiffusionRenderer」発表! ジオメトリとマテリアルバッファの正確な推定によりシーンをフォトリアルにリライト

NVIDIA Research・NVIDIA Toronto AI Lab・トロント大学らが、インバースレンダリングとフォワードレンダリングの二重の問題に取り組むニューラルアプローチ「DiffusionRenderer」の研究論文を発表。
https://cgworld.jp/flashnews/202502-NVIDIA-DiffusionRenderer.html

●「NVIDIA RTX Kit」発表! GeForce RTX 50シリーズ時代のリアルなゲームキャラ作成を可能にするニューラル・レンダリング技術群

NVIDIAがゲームキャラクター作成用の新しいニューラル・レンダリング技術群「NVIDIA RTX Kit」を発表。本技術群は、ゲームアセットのAIによるレイトレース、パフォーマンスの向上したパストレーシングの利用、フォトリアルなゲームキャラクターのビジュアル生成などに活用できる。
https://cgworld.jp/flashnews/202501-NVIDIA-RTX-Kit.html

●NVIDIA、メッシュ生成モデル「Meshtron」発表! アーティストが制作するような高品質・実用的なトポロジーを生成可能

NVIDIAが機械学習アルゴリズムを用いた3Dモデルのメッシュ生成モデル「Meshtron」を発表。Meshtronは入力されたポイントクラウドデータから、アーティストが制作するような整理されたトポロジーを持つ3Dメッシュを生成する。1,024レベルの座標解像度・最大64K面のメッシュの生成に対応する、新しい自己回帰モデルとなる。
https://cgworld.jp/flashnews/202412-NVIDIA-Meshtron.html