記事の目次

    ここのところ背景デザインの仕事が多かったので、久しぶりに広い景色を作成してみました。古代の遺跡は男の浪漫ですね。改めて作成してみると、数年前より扱える物量も解像度も進化していると実感できます。

    ※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 219(2016年11月号)からの転載記事になります

    TEXT_早野海兵(画龍) / Kaihei Hayano(GARYU)
    EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada



    STEP1:昔話

    ▲四半世紀も前のことですが、筆者が3DCGを始めた頃はマシンのスペックも低く、森をつくるとなると、図のように板ポリゴンを十字に組み合わせてテクスチャを貼り並べるといった、かなりローポリテクニックな作業をしていました。木のモデル1つだけでもレンダリングするのが大変な時代でしたから、昨今の膨大なデータ量を扱える環境には感服しています。

    STEP2:モデル画像

    ▲元モデル画像です。今回は樹木のほとんどをプラグインを使用して配置しました。地形はほとんど 見えなくなるため、比較的シンプルな形状にとどめています。

    STEP3:モデリング

    ▲地面は平面のポリゴンから作成。ディスプレイスなどを使用して凹凸を付け、地形をつくります。

    ▲森はプラグインのForestを使用。とても便利なプラグインです。

    ▲遺跡のモデルはパーティクルでおおまかな形を作成してから、重なっている無駄な部分を削除。最後に細かくディテールアップしていきます。

    3ds MaxでUV展開をしようとしたら固まってしまいました。そこで、ZBrushでUVを展開することに。

    ▲さらに、テクスチャはSubstance Painterのスマートマテリアルで一発作成。今はソフトをまたいで制作していくのが普通になってきましたね。

    次ページ:
    STEP4:シーンの作成

    [[SplitPage]]

    STEP4:シーンの作成

    ▲ライティングはV-Rayのサンライトを使用。背景もV-Rayのスカイを使用しています。

    After Effects(以下、AE)でコンポジットするため、ライトを良さそうな場所に配置

    ▲カメラとライトをステートセットでAEにもっていきます。

    STEP5:合成作業

    ▲After Effectsに読み込みました。そのままのレンダリング画像はかなり暗くなってしまいましたが、32bit画像ですので問題ありません。

    ▲ノイズがかなり激しいので、明るくしながらリダクションをかけます。

    ▲反射素材もエレメントとして保存してあります。

    ▲反射やフレアを足してぐっと明るい印象に。

    ▲お馴染みのZマスクもレンダリング。これらの素材はデフォルトで毎回使用していますね。

    ▲カメラ情報もインポートしているので、背景の雲画像は3Dで配置しました。

    ▲レンズフレアの作成にはOptical Flaresを使用。これも定番ですね。

    ▲最終的にトーンを調整して完成。

    ▲ちなみに、ライティングを変えてもしっくりくるように調整してあります。

    次ページ:
    Basic MAX

    [[SplitPage]]

    Basic MAX

    今回の「Basic MAX」はちょっと趣向を変えて、現在3ds Maxで使用できる景観ソフトのご紹介をしてみます。

    Point1:標準機能による森の作成

    ▲そもそも、3ds Maxで樹木をつくれるのかというと、簡単な機能ですが[AEC機能拡張]があります。

    ▲地形をつくる場合はディスプレイスが有効ですが、[地表]なるツールも存在します。

    ▲また、このスタート画面に[樹木をダウンロード]というボタンがあます。

    ▲種類は多くないですが、natFXの樹木モデルがダウンロードできます。

    ▲3ds Max標準機能で木を配置するとなると、例えばひとつの方法としてオブジェクトペイントで自由に配置するという手法があります。

    ▲こちらはスキャッタでランダムに配置した例。

    ▲パーティクル フローを使用する方法などもありますね。

    Point2:主な景観ソフト

    ▲上記の方法はどれも重いので、やはりプラグインの使用をオススメします。定番は筆者も使用しているForest。とても軽く大量に配置が可能です。

    ▲そのほか、Vueを開発しているe-on softwareからCarbon Scatterというプラグインも発売されています。

    ▲そもそも景観をまるごと作成するとなると有名なのはVueですね。xStream版は3ds Maxと連携しているので、3ds Max内でレンダリングも可能です。

    ▲空や雲だけに特化したプラグイン、Terragen 4もありますね。

    ▲低価格なツールとしてはBryce 7 Proがあります。これはOBJでデータをやりとりするようです。

    [プロフィール]
    早野海兵(はやのかいへい)
    日本大学芸術学部卒業後、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント、(株)リンクス、(株)ソニー・コンピューターエンタテインメントを経て、フリーランスで活動。2007年(株)画龍を設立。
    www.ga-ryu.co.jp
    www.kaihei.net
    @kai_hei