記事の目次

    今回は「少し未来感のある日本ではない都市」をイメージしました。ビル街のような街並みも、とても多い頻度でお仕事があります。現代の街並みは比較的、撮影で済むことが多いですが、未来だったり過去だったりと、風景が大きく変わるときは3DCGの出番です。

    ※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 248(2019年4月号)からの転載となります。

    TEXT_KAI(GARYU)
    EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

    Method 1:街をデザインする


    ▲考えてみれば、ひとつの街をデザインするということは都市計画をするということですから、それは膨大な知識が必要になります。以前は適当にスキャッタのようなものでボックスを並べただけにしていたこともありましたが、よりクオリティを追求するには実際の生活感、インフラなども考える必要がありますね。

    Method 2:広く世界を見聞する


    「Google Earth」「Google Earth Studio」の進化はとても素晴らしく、実際の街並みを様々な角度から検討できます。特に「Google Earth Studio」はカメラワークも付けられるので、撮影やアニメーションのプリビズにも活用できます。なんとなくボックスを並べてつくっていた過去のプリビズより、とても簡単に高度なものができるようになりました。本音を言えば現地に撮影に行きたいところではありますが。
    ©Google

    Method 3:現実のデータを利用する


    ▲都市データなどはネットを探せば市販のものが数多く存在しています。とてもクオリティの高いものもあるので、場合によってはそれで事足りてしまうことも。中には「OpenStreetMap」(openstreetmap.jp) など、フリーの街情報も存在しています。


    ▲街のライティングはV-RayのIPRで。オーソドックスなSunLightにしています。ライティングは本当に便利になりました。

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    Method 4:背景のイメージをつかむ

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    Method 4:背景のイメージをつかむ

    ▲今回は雰囲気を重視し、ローモデルの状態でフォグやライティングアングルを決めてしまいました。

    ▲全体にテクスチャも適用し、おおまかなイメージをつかんでおきます。

    ▲この時点で質感や点灯しているライトなども配置。雰囲気をつくっていきます。

    Method 5:ゼネラリストの強みを活かしたシーン作成

    ▲ビル作成スクリプトの「Building Generator」。詳しくは後述しますが、なかなか便利で、シーン中の2棟のビルをこれで作成しました。

    ▲街路樹などはForest Packを使用。今回はフリーのライト版を使用しましたが、ライト版でもとても便利です。

    ▲ビルの細かいパーツはRailCloneでミックスしていきます。様々なバリエーションを素早く作成。

    ▲RailCloneにRailCloneを重ねます。パーツを複雑に組み合わせて、巨大な建築物をつくっていきます。

    ▲質感を付けて、テストレンダリングしてみました。

    Method 6:レンダリングと画づくり

    ▲今回もV-Ray Frame Buffer上でほとんどのカラー調整をしました。32bitで元の画像を調整できます。

    ▲アップデートで新しくなったグロー効果。レンズフレアがとても良い感じです。

    ▲もちろん、様々なエレメント情報は一緒にレンダリングしておきます。

    ▲実はレンダリングしたそのままの画像はこんなに淡い画像です。

    ▲これにV-Rayと同じLUTを適用し、さらに細かいところはAfter Effectsで調整します。

    ▲ライトの色などは最終的に個別に調整。これで完成です。

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    Generalist Style 02

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    Generalist Style 02

    ゼネラリスト向けの情報を掲載する「Generalist Style」コーナー。3DCGソフト以外の連携で使えるソフトやプラグインなどの情報をご紹介。あらゆる方法で楽しく作品のクオリティアップをしていきましょう!

    ■都市とビル

    およそ背景のお仕事に関わっている方は何度となくつくることになるビル、建物、街並み。以前はひとつひとつのビルをモデリングしていましたが、時間のない現代、なるべく手数は抑えて、その後のデザインやクリエイティブ作業に力を入れたいところです。そういった街並みづくりに役立つソフトやプラグインを考察してみました。

    1.Building Generator

    ▲今回の作品づくりでも使用した「Building Generator」。かなり前からあるスクリプトですが、筆者が確認した限りではVer.2019でも使用できました。

    ▲窓の形をプレビューできたり、フロアをつくれたりと、フリーとは思えないほど高性能です。
    tysonibele.com/Main/BuildingGenerator/buildingGen.htm

    2.Maproom

    ▲OpenStreetMap(OSM)データを3ds Maxに読み込むことができるスクリプトです。
    www.klaasnienhuis.nl/product/maproom
    ©OpenStreetMap contributors

    3.Greeble

    ▲建物を大量につくり出せるフリープラグイン。ひと昔前はこちらで街並みなどを作成していました。簡単な景観をつくるのに便利です。画像は2006年当時の作品。
    max.klanky.com/plugins.htm

    4.CityEngine

    外部ソフトの街ジェネレータとしては最高ではないでしょうか。筆者も試用させていただきましたが、ネットから街のデータを読み込み、自動で道路、ビルを配置テクスチャを適用してくれます。
    www.esrij.com/products/esri-cityengine

    5.Google Earth Studio

    ▲データとしてそのまま利用はできないのですが、「Google Earth Studio」はオススメです。ブラウザで動作するとてもお手軽なソフトで、今回もプリビズに使用しました。

    ▲操作もAfter Effectsを簡単にしたような、わかりやすい構造です。

    ▲ちょっとした空撮のようなことが簡単にできてしまう。本番作成用のプリビズにはもってこいです。
    www.google.com/intl/ja/earth/studio
    ©Google



    [Information]

    • 株式会社画龍 早野海兵 監修
      3DCGベーシック講座[3ds Max]

      3ds Maxを本当にゼロからスタートする方のために作成したオンライン講座です。本講座は画づくりと技術アップの両面を重視しています。また、3ds Maxの様々な実践的な機能を動画で収録しているため、後々機能のリファレンスとしても使用可能です。ぜひ、この機会に3ds Maxを通してCGの世界に!
      online.dhw.co.jp/course/3dcg

    [プロフィール]
    KAI
    株式会社画龍 アートディレクター
    www.ga-ryu.co.jp
    www.kaihei.net
    Twitter:@Kai_ryu_Kai