今回のテーマは「東京以外で働く」です。CG・映像制作会社が東京に集中していますが、東京以外に拠点を構えるプロダクションも多く存在します。東京以外で働く魅力と実態について探ってみました。
※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 263(2020年7月号)からの転載となります。
Illustration_カヤヒロヤ
求職側:東京で働く人
Q1.卒業後の就職活動の際、検討した勤務地は?
「東京のみで検討」が50.7%を占めていますが、映像・CG制作会社が東京に集中していることを鑑みると、意外にも地元での就職や東京で働くことにこだわりがない人が多いようです。ちなみに、大学や専門学校に進学する段階で上京する割合は70%という結果に。
Q2.将来的に東京以外で働きたい?
「思わない」が31.5%を占めているものの、「出身県以外の地域で働きたい(=Iターン)」が24.7%、「その他(働く場所にはこだわらない)」も同じく24.7%との回答を得ており、条件を重視して将来的に東京以外での就職を視野に入れている方も多いようです。
Q3.東京以外で働く場合、希望する条件は?
※複数回答可(最大3つまで)
半数は東京以外への就職の条件として、現在の収入と同程度の額が得られることを重視しています。また、オンライン業務が成立するのであれば東京でなくても良いと考える人は多く、東京で働く場合と変わりなく大型案件に携わりたいという希望があるようです。
Q4.現在、家賃は給料の何%?
東京勤務の場合、「家賃は収入の21~30%」がCG・映像業界のボリュームゾーンと言えそうです。Q3で東京以外で働く場合も現在の収入と同程度の給料を条件とするとの回答を得ましたが、生活にかかる費用が地域によって異なるのも事実です。
求職側:東京以外で働く人
Q1.現在の勤務地を選んだ理由は?
現在の勤務地を選んだ理由として「地元」、「仕事内容」、「プライベート」を重視しているとの回答を得ました。また、現在の勤務地が「神奈川県」、「埼玉県」、「千葉県」との回答が上位を占めています。東京にアクセスしやすいというのもポイントでしょうか。
Q2.就職活動の際、検討した勤務地は?
半数近くの回答者が、就職先を決める際に出身地で働くことを考慮しているようです。通勤ストレスの緩和やプライベートを充実させたいという言葉が多く寄せられていることから、東京の人の多さや通勤ストレスが懸念点となっている様子が伺えます。
Q3.将来的に東京で働きたい?
「将来的に東京で働きたい」が25.8%、「東京で働きたいと思わない」が45.2%との回答を得ました。映像・CG制作会社が東京に集中している反面、現状に満足している方が比較的多いようです。
Q4.現在、家賃は給料の何%?
収入に対する家賃の割合に関して、16%の回答者が「収入の10%以下」で生活していると答えており、東京と比較して家賃の安さが伺えます。また実家暮らしの割合も多く、東京以外での暮らしは固定費の削減につながりやすいのが大きなメリットとして挙げられます。
[[SplitPage]]企業側:東京の企業
Q1.本拠地スタジオの規模は?
東京に本拠地を置くプロダクションの従業員数については「6~15人」が最も多く、続いて「51~100人」の比較的大規模なプロダクションが多いとの結果を得ました。100名以上の大規模プロダクションも多く、東京に一極集中している様子が伺えます。
Q2.東京以外の拠点を検討する理由は?
※東京に拠点があり、他地域への進出を考えている企業のみが回答
※複数回答可(最大3つ)
東京に本拠地を置くプロダクションが他地域に拠点を設ける理由として、「新規人材の確保」や「制作コストの削減」を目的としているとの回答が多かったです。また、「新規案件の獲得」や「スタッフの希望」という、時代とニーズに合わせた柔軟な対応を目的とする企業も。
Q3.東京以外に拠点を置くとき、重視するのは?
※東京に拠点があり、他地域への進出を考えている企業のみが回答
※複数回答可(最大3つ)
東京以外に拠点を設ける際、「オフィス賃料」が最も重視されるポイントとなるようです。また、「人材確保のしやすさ」との回答が僅差で続いているところから、人口の多い地域が選ばれるひとつの理由でもあると考えられます。
Q4.行政に期待する支援は?
東京以外の地域に拠点を設ける際、地方創生の一環として行政の支援が期待できる場合があります。拠点設立にあたり「補助金制度」が最も期待されています。続いて「税の優遇」、「人材確保支援」との回答を得ており、経済的支援はやはり力強い支援となるようです。
企業側:東京以外の企業
Q1.本拠点スタジオの所在地は?
「神奈川」、「北海道」、「愛知」に本拠地を設けているとの結果が上位を占めました。続いて「福岡」「秋田」「京都」との回答がありました。大手企業が本拠地を構えている背景が伺えます。
Q2.本拠点スタジオの規模は?
東京以外に本拠地を構えるプロダクションの規模は「1~5人」が最も多く、続いて「6~15人」との回答を得ました。100人以上のスタッフを抱えるプロダクションも存在しており、必ずしも東京でなければ人が集まらない、というわけでもなさそうです。
Q3.実施した人材確保施策は?
人材確保が難しい中、「自社サイトで採用の告知をする」との回答が多く、続いて「知人の紹介」「求人サイトへの出稿」との回答を得ています。人材確保においては、企業の知名度や人とのつながりが転職先を見つける際のきっかけになりそうですね。
Q4.設立時、行政による施策は?
東京以外の地域に本拠地を構えるプロダクションが会社設立時に受けた行政支援について、「特になし」との回答が最も多く、続いて「補助金制度」、「融資制度」、「税の優遇」との回答を得ました。地域によって支援内容は異なりますが、支援がなかったケースが多いようです。
次回のテーマは「エンタメ産業のエンジ二ア」!
本企画への感想や、取り上げてほしいテーマがあれば「cgw@cgworld」までメールください! さて、次回のテーマは「エンタメ産業のエンジ二ア」です。映像・ゲーム業界で働くエンジニアの方のキャリアや働き方についてお伺いしたいと考えています。お楽しみに!
アンケート方法について
※本記事は下記の要領にて実施したアンケートの結果に基づいて構成しています。
調査方法:Webアンケート
調査期間:2020年5月13日(水)~18日(月)
調査対象:〈求職者〉CGWORLDメールマガジン登録者ほか、〈採用側〉「CGプロダクション年鑑」掲載企業ほか
有効回答数:〈求職側〉104(東京:73、東京以外:31)、〈採用側〉67(東京:42、東京以外25)