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vol.009:フォグ / 「空気」を表現する

vol.009:フォグ / 「空気」を表現する

画にプラス要素を。

画には法則があります。
それは長い年月をかけて、様々な先人たちにより研鑽されてきたものです。CGという分野においても非常に有効な法則で、きっとあなたの知恵と技術になってくれることでしょう。 永く、そして楽しくこの仕事をし続けるために。
そして願わくば貴方の人生に+画を。

今回もWeb連載の強みを活かし、動画チュートリアル『CGWORLD Online Tutorials』と連携してお届けします。



TEXT_早野海兵 / Kaihei Hayano(@Kai_ryu_Kai
EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(@UNIKO_LITTLE



【+画 ONLINE】
vol.009:フォグ / 「空気」を表現する
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見せないことでクオリティを上げる

「Fog(フォグ)」

もし画(CG)を仕上げる上で、最も手っ取り早くクオリティを上げる方法があるとすれば、その1つがこの「Fog(フォグ:霧)」です。CG黎明期からある、偉大な技術だと私は考えています。......あまりにも一般的ですけどね。 フォグはどのソフトにも必ず付いている機能です。CG用語ということで、CGWORLD Entry.jpの「CG用語辞典」から引用させていただきましょう。

フォグ
【よみ】ふぉぐ
【英名】fog
3DCGのシーン内において、視点(カメラ)からの距離に応じて遠くのモデルほどかすませることで、霧の効果を表現する手法。遠近感を出したい場合などに用いられる。

昔は技術的な限界もあり、全てが見えてしまうとどうしてもクオリティに影響が出てしまいました。そこで、フォグのような「見せない手法」が重宝されていたのです。ただ現実世界と照らし合わせてみると、「フォグのない世界」の方があり得ないことですよね。ということで、フォグは「むしろ現実的な手法」と言っても良いでしょう。

「空気を表現する」。それがフォグの表現です。

もちろんフォグと言っても様々な表現方法があります。一般的にはボリューム表現の一種ですが、煙などの表現とはまたちがいますね。大きくは距離感を出すための空気遠近法で、湿気、フレア、ライト系のエフェクトなどです。

一般的には、このような空気遠近法で使用されることが多いですね、「空気の層」を表現することで、距離感と現実感、スケール感を醸し出すことができます。

巨大なモニュメントや建築物などにも有効な方法ですね。大きな建物は、それだけで霞(かすみ)がかかって見えたりします。

また、水中などの視界が不十分な雰囲気を出す場合もフォグはとても効果的です。空気中よりも、より雰囲気のある画を創り出すことができますね。

そういった意味で「雨の日の湿気感」など、フォグのコントロールで空気感を整えることが可能です。

その他、一般的にフレアやボリュームエフェクト系にもとても効果的かと思われます。使う要素が多過ぎるくらいです。

少し応用すれば、暗がりからの雰囲気のある演出にも使用できますね。 このように、フォグ要素はイメージには欠かせません。特にSF系の映画など、例えば映画『ブレードランナー』などは効果的にフォグを利用している代表作と言えます。


さて今回のお話は、そう言った画に関わる大きな仕上げの法則の1つです。雰囲気づくりに欠かせない「フォグ」。そして「隠す」。

「見せないクオリティの上げ方」です。

<画創の法則>
「色の流れ」


Layout

......とその前に、レイアウトのお話を少々。

本来、巨大建築物の見え方としては下から煽った方が良いのですが、煽り過ぎてもCGっぽくなってしまいますよね。また、構造物は並べ過ぎてもせっかくの間がもたなくなってしまいます。これは以前、「vol.004:桜 / 「対比」を究める」で説明した通りです。

そこで、ある程度の「空気が流れる穴」を意識したレイアウトを心がけることが大切になってきます。距離を置くことで、かえってモノの存在感が相互に引き立つようになります。

もう1つは、ビルのような四角い構造物の場合に必ず見られる面は3つ。であればこの3つは最大限見せた方がディテールが多いはずです。平面的なビルの「正面の立体感」はとても難しいので、そこはあえて見せる必要はないでしょう。

ということで、レイアウトを少し斜めに構えます。

また、ある一定の距離感を考えたら、パースがかかり過ぎることはとてもわざとらしくなり、画が落ち着かなくなる可能性が高くなります。もちろん、迫力を出すときは別ですが。ここは「レイアウト」について考えるステップです。画角に沿ったラインの配置で建築のような洗練さを出していきましょう。

ちょっとしたライトの配置も大切ですが、まずはレンダリングして感じを見てみましょう。良い感じに収まってはいますが......、このままだと大きさ、距離、空気、どれも希薄です。

これにフォグをただ載せてみます。 いかがでしょう? ただ載せただけですが、グッと雰囲気が出ましたね。奥行き、湿気、空気フレアなど、いくつもの要素が追加されました。機能的には「FOGボタン」1つなんですが、こんなものなのです(笑)。

さらにいえば、最大限「フォグの効力」と「光の効力」を引き出すために、見えるディテールを過剰に入れておきます。

そうすることで、本来見えないであろう場所にも想像力が働き、あたかもディテールがあるような錯覚を生み出します。

......フォグ。
侮れません(笑)。



Composite

王道テクニックを臨機応変に 採り入れる

フォグなどのおおまかな要素はレンダリングで済ませてしまっているので、ここではフォグの効果や色のお話をしていきましょう。

レンダリングである程度できていると言っても、演出的にはまだまだ弱いですね。もちろんレンダリングである程度詰めてしまうことも可能ですが、そのあたりは時間や修正との折り合いを付けていかなければならないところです。

見えないからといって、逆に細かいエッジや反射などはより一層気を遣わなければなりません。見える範囲が狭いので、その場所に集中させるためです。

できる限りの素材などを載せてディテールを上げておきます。特に、反射などの素材は少しおおげさなくらいに強めでも良いですね。

ここで大きくフレアを乗せていきます。ここでフレアの強さに関してですが、32ビットの場合もともとのライトの強さにも影響されるので注意が必要です。「少し弱いな」と思ったら、もう一度レンダリングしてみるのも良いでしょう。

フレアの色の載せ方に関しては、画創の法則「色の流れ」です。

画創の法則「色の流れ」

色には流れがあります。1つ光を見ても、赤から青へ、滞留、白から黒へ、冷たいものから暖かいものへ......。

こういった特性を理解しておくと、例えば、光は淡色だととても単調になりやすいもので、光の色域に幅をもたせてあげることで、複雑で魅力ある光の演出や流れを作り出すことができます。

同じ画像ですが、単色だったら? とても単調ですね。フレアですがどこか絵で描いたような、古いような。

これに色が入って流れることで、魅力が生まれます。

こちらも綺麗ですが、やはり単色。良いところは冷たさなど、わかりやすさは醸し出せるかもしれません。

ここに色の流れを組み込むと、複雑な質感や部屋感、高級感が生まれてきます。

星雲なども良い例ですね。よく見かけるNASAの画像などはモノトーンだったりしますよね。それはそれで格好良いのですが......、

後から想像やデータで着色された「宇宙の神秘」はとても魅力的です。単純にグラディエントですが、光の演出に少し色を流してみてはいかがでしょうか? 感覚は流れ。流れたものに意思が表れ、見る人はそこに表現を感じます。 今回お話しした「フォグ」は昔からある手法の1つなので、きっとこの先も残り続けるでしょう。

こういった「王道テクニック」をちょっと使うなど、格好良く見える手法をどんどん採り入れていきたいですね。それだけで画のクオリティが少しでも上がるのであれば、それに越したことはありませんから。



【チュートリアル収録内容】

<画創の法則>
・色の流れ

<実際の制作過程メイキング>
モデリングからコンポジットまで
使用ソフト:3ds Max、After Effects

長年、セミナーや授業でお話ししてきた生の感覚をぜひご体感いただけたら嬉しいです。

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Information

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