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第1回:カラーマネジメントを始めよう

第1回:カラーマネジメントを始めよう

カラマネ導入に必要なこと

では、カラマネを導入するには何をしたらいいのか? 大きく3つのポイントがあります。

第1回:チャートC

カラーマネジメントシステム導入を成功させる3つのポイントは、「1.ハード・ソフトの調整」「2.ワークフロー(パイプライン)作り」「3.スタッフ教育」である
 

1つ目の「ハード・ソフトの調整」とは、制作に使っているツールを「データを正しい色に表示する」ように調整したり設定したりすることです。
「R=255、G=255、B=255」というのは白ですが、モニタによって赤や青みがかって見えたり、ソフトによって彩度(鮮やかさ)が変わったりしませんか? 同様に「R=128、G=128、B=128」はニュートラルなグレー(色に偏りがない純粋な無彩色)になりますが、緑や紫がかったグレーで表示されていないでしょうか? これらはハードの性能や調整が狂っていることで起こる現象なので、良好な状態に調整する必要があります。

第1回:チャートD

コンテンツ制作に必要な全てのハード・ソフトの色設定を正しく調整する必要がある
 

ハード・ソフトの調整が終われば、次はワークフロー(パイプライン)作りです。制作の始めから終わりまで、全ての行程に関わるのがカラマネなので、データのやりとりを中心に制作ルールを決めましょう。そして最後に、これらのルールを、制作に関連するスタッフに教育して終了となります。

これらの3つの中でどれが一番重要かと言うと、「どれも大切です」となってしまいます。プラモデルのパーツが3つあったら、どれがかけても完成しないのと同じで、3つ揃って初めてカラマネが完成するのです。3つ目の「スタッフ教育」は、軽視されがちなんですが、これまで多くのカラマネを導入した制作会社を見てきて気づいたのは、スタッフ教育に力を入れている会社はいずれも導入に成功しているんですよ。面白いですねえ。

コンテンツの種類ごとに見た活用例

「うちはCMの仕事が多いけど具体的にどんなメリットがあるの?」「うちは建築だけど......」と、具体的に自分の仕事でメリットを想像してみてください。カラマネは《色が合う》というごく当たり前な機能です。だからどのタイプの仕事にもメリットがあります。DTPの世界では、「カラマネはデジタル化の最後の問題」と言われていましたが、3DCG制作でも最後ではないけど「解決されるべき当たり前な問題」なのではないでしょうか? それでは最後に、カラマネ導入を果たした制作会社が挙げられているメリットを、業種ごとにいくつか紹介しましょう。自分たちのメリットを考える参考にしてみてください。
 

▼ エンターテインメント系

【制作者・会社間のミスコミュニケーションの削減】

これまでは数名の制作グループ間で違う色を見ていたので、指示と食い違うデータが出来上がることが多く、データをやりとりする都度に確認して、問題があれば色を修正していました。外注先は遠隔地にあるため、この問題はより顕著に起こっていました。それが、カラマネ導入後はそうした問題が起こらなくなり、ミスコミュニケーションが減ったので仕事がスムーズになりました。色修正にかけていた時間もなくなりました。

【イメージ通りのものづくり】

これまではキャラクター、背景素材、撮影素材との合成など、各制作工程でイメージを確定しても後工程で印象(色)が変わるので苦労していました。カラマネ導入後は、やりとりがスムーズになり、制作者からは「最終成果物まで自分のイメージが伝わる」と喜ばれています。
 
 

▼ 建築系

【現物との一致】

壁面、床面など建築物に使われる素材を預かり、撮影やスキャンでデジタル化して3DCGにテクスチャとして利用していましたが、色が合わず修正が頻繁にありました。また建築のシミュレーションに使われるにも関わらず、3DCGの仕上がりに確証が持てませんでした。カラマネ導入後は素材の色が確実にデータ化され、確証を持って3DCG制作が行えるようになりました。

【照明のシミュレーション】

照明のシミュレーションは多くの3DCGソフトに搭載されているものなので、分析なども行えるようになりましたが、レンダリング画像での色は不正確でした。しかし、カラマネを導入することで正しい色が再現できるようになり、見た目のシミュレーションも行えるようになりました。
 
 

▼ プロダクトデザイン系

【事業所間での確認作業の効率化】

デザインと販売を行う部署が複数あるため、製品デザインの決定は複数箇所で行なっていますが、色が不正確なために、その都度モックアップを送って確認しなければなりませんでした。カラマネを導入することで正確な色の確認ができ、モニタやプロジェクタでの確認に加え、プリント確認も精度が上がりました。確認時間の短縮と、モックアップの数を減らすことができました。

【マテリアルのデータベース化】

製品に使う素材は何度でも使い回します。しかし、素材を確認しながらモニタで色を決めるため、モニタが変わると色が変わってしまい、その都度マテリアルを修正したり、作り直したりしていました。そこでカラマネを導入した結果、素材の正しい色がマテリアルで数値化できるようになったので、データベース化してマテリアル制作の時間を削減できました。

さて次回は、カラマネの仕組みについて詳しく解説していこうと思います。ご期待ください。

TEXT_長尾健作(パーチ)

▼Profile


長尾健作(ながおけんさく)
広告写真制作会社(株)アマナにて、3DCG制作などの事業立ち上げを行なった後、(株)パーチ を設立。広告業界・製造メーカーに向けて、3DCGによる新しい広告制作手法の導入/制作サポートを手がける。各種セミナーでは、制作業務の効率化・コスト削減を実現するためのノウハウを提供。「3DCGのためのカラーマネジメントセミナー」も定期的に開催している
 
 

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