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第8回:バーチャル世界(3DCG)の環境を統一する

第8回:バーチャル世界(3DCG)の環境を統一する

カラマネ設定が適切であるか判定する方法

カラマネの設定をしている時に不安に思うのは、「これで合ってるの?」ということですよね。定規がないと長さが測れないように、色が合っているかどうか判定する方法がないといけません。
ここでは、ベストな方法を紹介します。ポイントは、基準となる 色見本 と比較することです。

代表的な色見本「ColorChecker」

カラーマネジメントの導入が進んでいる写真・印刷業界では、米 x-riteの色見本「Color Checker」シリーズが広く活用されています。

「ColorChecker クラシック」

「ColorChecker パスポート」

「ColorChecker クラシック」

「ColorChecker クラシック」。厳密に管理して作成された現物と、それを測定した測定値が記録された印刷物が付いてくる
 

これらは厳密に管理された「色材」を使って制作された商品で、それぞれの色を正確に測定した「測定データ」が付属してきます。そのため、この色見本と同じ色でモニタで見ることができればカラーマネジメント環境が正しいことが確認できます。この製品は簡単にネット等で購入できるのでお勧めです。ちなみに私はビックカメラの店頭で購入しました。

STEP 1:測定値を入力してデジタル色見本を作る

それでは、具体的な設定方法を、順を追って紹介していきましょう。

1-1:画像モードを Lab 形式に

画像モードを「Lab」形式に設定

色見本の測色値は絶対値である Lab 形式で記録されている。新規ファイルを作成し、メニューバー[イメージ(I) →モード(M) →Lab カラー(L) ]を選択して画像モードを合わせる
 

1-2:各色を測定値で塗りつぶす

カラーピッカーを使い測定値を入力して塗りつぶす

Photoshop のカラーピッカーを開くと Lab の数値が入力可能。全ての色を入力して塗りつぶす
 

1-3:自分のパイプラインで利用するカラープロファイルに変換

プロファイルの選び方は、「第3回:カラーマネジメントに適した機材とは?」 を参照してください。

カラープロファイルを変換する

カラーモードが「Lab」のままでは、3DCG ソフトで読み込むことができない。[プロファイル変換]を使い、自分の制作環境で使用しているカラープロファイルに変換する
 

1-4:画像ファイルを書き出す

STEP 2:3DCG ソフトに取り込む

標準環境データに、色見本と同じ大きさの「平面オブジェクト」を制作し、STEP 1 で作成した画像データをマテリアルとして貼り込みます。

平面オブジェクトにマテリアルを設定した標準環境シーン

制作した標準環境に平面オブジェクトを作り、観察用のオブジェクトと入れ替える
 

STEP 3:色見本と比較する

実際の色見本とレンダリング画像を比較してください。色が食い違えば、ハードウェア/ソフトウェアの設定か、標準環境、実際の色見本を観察している照明のいずれかが間違っている可能性があります。私はカラマネの導入や設定変更を行う際や、色が合っているか不安な時に必ずこの方法でチェックしています。人間の感覚は良い意味でいい加減なところがあるので、このような正確な定規があると安心ですね。

今回は、標準環境 の制作方法について解説しましたが、バーチャル世界の色管理は理解できましたか。次回は、実際の色見本などを観察するための 「現実世界の照明環境」 について解説していこうと思いますので、ご期待ください。

TEXT_長尾健作(パーチ)

▼Profile


長尾健作(ながおけんさく)

広告写真制作会社(株)アマナにて、3DCG 制作などの事業立ち上げを行なった後、(株)パーチ を設立。広告業界・製造メーカーに向けて、3DCG による新しい広告制作手法の導入/制作サポートを手がける。各種セミナーでは、制作業務の効率化・コスト削減を実現するためのノウハウを提供。「3DCGのためのカラーマネジメントセミナー」も実施している
 
 

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