Adobeは4月4日(金)、ブログ記事「Bringing Zorah to life: How Substance 3D tools powered NVIDIA’s ambitious tech demo」を公開した。NVIDIA内のLightspeed StudiosチームがGeForce RTX 50シリーズの発表に併せて制作・公開した最新の技術デモの制作において、Substance 3D PainterおよびSubstance 3D Designerがどのように活用されたかを解説する記事である。

▲NVIDIAの技術デモ「Zorah」。NVIDIA RTX Branch of Unreal Engine 5(NvRTX)で構築したシーンをGeForce RTX 5090でリアルタイムレンダリングしている

「Zorah」でのテクスチャリングパイプラインは、Substance 3D DesignerとSubstance 3D Painterを中心に構築された。Substance 3D Designerでは、初期段階でマテリアルやデカールを作成してプロジェクト全体に展開。クオリティの統一を図った。Substance 3D Painterでは、各アセットのテクスチャの最終仕上げやUDIM管理を行い、全体のビジュアル品質を底上げした。また、、特に金属細工の装飾品ではPainterの自動UVアンラッピング機能がワークフローの合理化に役立ったという。

香炉とシルク織物のテクスチャリング

NVIDIAの最新技術であるRTX Neural Materialsを活用した高速なPBRテクスチャとBSDFマテリアルの表現にあたっては、時間的制約やRTX Neural Materials自体の日々の技術改良に対応できるよう、HoudiniとSubstance 3Dシリーズを用いたプロシージャルワークフローを採用。

Substance 3D Designerでは、銀や絹などのタイリングするベースマテリアル、宝石の光や木目効果などの特殊なユーティリティマップをプロシージャルで生成した。Substance 3D Painterでの手動ペイントは最小限に留め、プロシージャルなマスク作成やディテール調整を中心に活用したという。

▲左4点はマスク素材、右4点はノーマル素材

壁面の制作でビジュアルベンチマークを実施

チームはテクスチャリングワークフロー構築の最初のビジュアルベンチマークとして、壁面のアセット制作を行った。まずはBlenderでモデリングとスカルプトを行い、Substance 3D Designerで複数のディテールバリエーションをもつ石や金のタイルマテリアルを構築する。これをSubstance 3D Painterのシェルフにエクスポートし、Substance 3D Painterで汚れや風化処理を施したレイヤーを重ねる。完成した6×4KのUDIMテクスチャはUnreal Engine(NvRTX)にエクスポートされ、シーンに適用された。

▲Blenderでのモデリングの様子
▲Substance 3D Painterで汚れなどのレイヤーを重ねている様子

▲Substance 3D Designerで構築した石畳のタイルマテリアル(左)と、Substance 3D Painterで汚れや風化の処理を施した完成テクスチャ(右)

■Bringing Zorah to life: How Substance 3D tools powered NVIDIA’s ambitious tech demo(Adobeブログ、英語)
https://blog.adobe.com/en/publish/2025/04/03/bringing-zorah-to-life-how-substance-3d-tools-powered-nvidias-ambitious-tech-demo

CGWORLD関連情報

●「Substance 3D Painter 11.0.0」リリース! アセットのリアルタイム更新、塗りつぶしパスツールとパスツールの改良、新しいフィルタ、エクスポートワークフローの統一など

AdobeがSubstance 3Dファミリーのテクスチャリング用3Dペイントツール「Substance 3D Painter 11.0.0」をリリース。リアルタイムのアセット更新、塗りつぶしパスツール、パスツールの改良、新しいフィルタ、ベイク用オートケージ生成、エクスポートワークフローの合理化などの新機能を実装している。
https://cgworld.jp/flashnews/202503-Substance-Painter-11.html

●「Substance 3D Modeler V1.19」リリース! 新アセットワークフロー導入、3Dプリミティブの新パラメータ追加など

Adobeがデスクトップ&VR対応モデリングツール「Substance 3D Modeler V1.19」をリリース。エクスポートモードに新しいアセットワークフローとして「Projecct Assets」が導入されたほか、プリミティブのShell(空洞)パラメータ、インポートメッシュのアダプティブなサブディビジョンなどを新たに搭載している。
https://cgworld.jp/flashnews/202502-Substance-Modeler119.html

●「Substance 3D Designer 14.1」リリース! 親スプラインに沿ってスプラインを分配配置できるScatter Splines on Splinesノードや新ツール群が追加

Adobeがノードベースのプロシージャルテクスチャ作成ツール「Substance 3D Designer 14.1」をリリース。スプラインを利用した成長や分布の表現が可能なScatter Splines on Splinesノードの追加やMask to Pathsノードの強化など、スプラインとパス機能が更新された。また、Node Alignment(ノード整列)ツールやColor Sampler(カラーサンプラー)ツールの追加、パラメータのコピー&ペースト、ノード検索ツールの改良なども実装されている。
https://cgworld.jp/flashnews/202501-SubstanceDesigner141.html