ブルガリア共和国のChaos Software社は1月15日(水)、3Dレンダリングソフトウェア「V-Ray 7 for Cinema 4D」をリリースした。
他3DCGツール向けV-Rayと同様、3D Gaussian Splattingのレンダリング対応、クラウドコラボレーション、OpenPBRのサポート、V-Ray Luminairesによる高速な照明機器のライティング表現、V-Ray Sunの改良されたPRG Skyモデル、VFB(V-Ray Frame Buffer)のクリエイティブコントロール機能強化、Cosmosライブラリの拡張と改良、V-Ray GPUの強化など、多数の新機能と改善が実装されている。
3D Gaussian Splattingのレンダリングに対応
V-Ray 7 for 3ds Maxなどと同様に3D Gaussian Splatting(3DGS)をサポート。V-Ray 7のレイトレーシング機能により、キャプチャされた環境のGaussian SplatsとPCで生成したオブジェクトをシームレスにブレンドできるようになった。
■3D Gaussian Splatting: A new frontier in rendering(公式ブログ記事、英語)
https://www.chaos.com/blog/3d-gaussian-splatting-new-frontier-in-rendering
クラウドコラボレーションとバーチャルツアー
Chaos Cloudに新しいコラボレーションツールが追加。VFBから直接Chaos Cloudへレンダリング画像をアップロードしてクライアントと共有し、マークアップやコメントによりフィードバックを収集できる。これにより、クライアントとのスムーズなコミュニケーションと承認の迅速化が可能となる。
また、V-Rayのインターフェイスから直接バーチャルツアーを作成できるようになった。ホットスポットの自動生成により、インタラクティブなパノラマツアーをシームレスに作成したり、フロアプランやコンテキスト、カスタマイズ可能なトランジションも利用できる。
■Chaos Cloud virtual tours at your fingertips with V-Ray 7(公式ブログ記事、英語)
https://www.chaos.com/blog/chaos-cloud-virtual-tours-at-your-fingertips-with-v-ray-7
OpenPBRのサポート
V-Ray Materialにオープンなサーフェスシェーディングモデル規格「OpenPBR」のモードが追加。複数の3DCGツール間で一貫したシェーディングを実現できるようになった。
■関連記事:OpenPBR 1.0がGitHubでリリース! 物理ベースレンダリングのシェーディングモデル共通化に向けた大きな一歩(CGWORLD.jp)
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V-Ray Luminairesと改良されたV-Ray Sunによるライティングの進化
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Chaos製品のCosmosライブラリに含まれる照明器具のオブジェクトを効率的かつ正確にレンダリングする新しい方法としてV-Ray Luminairesを搭載。これにより、モデルをCosmosライブラリからインポートした際に、ジオメトリと光源に加えて、新しいVRayLuminaireライトという光源が作成され、外から見たときの発光をエミュレートする。
VRayLuminaireライトは、事前に計算されたライトフィールドを参照し、ライトカラーや強度などもコントロールできる。
■V-Ray Luminaires: dramatically faster, more accurate rendering of complex light fixtures(公式ブログ記事、英語)
https://www.chaos.com/blog/v-ray-luminaires
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V-Ray SunのPRG Skyモデルは、海上の薄明かりをサポートするように改良され、Turbidity(水の濁り度合い、濁度)レベルの調整によりシーンの精度とコントロールを向上できるようになった。
VFB(V-Ray Frame Buffer)の強化
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VFB(V-Ray Frame Buffer)で複数のカスタムシェイプの領域を定義し、領域のみをレンダリングできるようになった。
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また、新しくVignette(ビネット)レイヤーが追加。VFB内で範囲や強度を調整できる。
新しいFireFly(明るいピクセル)の除去アルゴリズム
FireFly(明るいピクセルの斑点)を効率的に除去することで高品質なレンダリングを短時間で実現する、新しいFireFly除去アルゴリズムを搭載している。
V-Ray GPUの強化
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V-Ray GPUはレンダリングスピードが大幅に高速化され、コースティクスもサポート。最初のレンダリングピクセルまでの時間を短縮し、テクスチャをより効率的に処理するように最適化された。
その他、全新機能についてはこちら。
■V-Ray 7 for Cinema 4D is here!(新機能紹介の公式ブログ記事、英語)
https://www.chaos.com/blog/v-ray-7-for-cinema-4d
■What's New in V-Ray 7(V-Ray 7 for Cinema 4D、英語)
https://docs.chaos.com/display/VC4D/What%27s+New+in+V-Ray+7
■V-Ray 7 for Cinema 4D Release Note(英語)
https://docs.chaos.com/display/VC4D/V-Ray+7
CGWORLD関連情報
●3ds Max・Cinema 4D用建築ビジュアライゼーション向けのレンダラ「Corona 12 Update 1」リリース! Chaos Vantageライブリンク、コースティクスの改善など
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Chaos Softwareが3ds MaxおよびCinema 4D用の建築ビジュアライゼーションレンダラ「Chaos Corona」の最新バージョン、Chaos Corona 12 Update 1をリリース。ライブリンク(Live Link)の初期実装として、同社リアルタイムレイトレースソリューション「Chaos Vantage」をインタラクティブレンダリングとして利用できるようになったほか、コースティクスの改良、自動露出&ホワイトバランス、新しい画像のアップスケーリングなどが実装されている。
https://cgworld.jp/flashnews/202411-Corona12-1.html
●DreamWorks、オープンソースのプロダクションレンダラ「MoonRay 1.7」リリース! 新しいポータルライトタイプ追加など
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DreamWorks Animationがオープンソースの同社プロダクションレンダラ「MoonRay 1.7」をGitHubで公開。バージョン1.7ではポータルライトが追加されたほか、Hydraレンダーデリゲートの「hdMoonRay」がクリプトマットIDのマット生成システムをサポートした。
https://cgworld.jp/flashnews/202501-MoonRay17.html
●建築ビジュアライゼーション向けリアルタイムレンダラ「D5 Render 2.9」リリース! 地形ツール、AI機能強化、Blender 4.2のジオメトリノードサポートなど
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Dimension 5は、建築ビジュアライゼーション向けのリアルタイムレンダリングソリューション「D5 Render 2.9」をリリース。D5 Render上で直接地形を作成する機能や建築物の構築プロセスをアニメーション化できるフェージングアニメーション機能、ランダム配置機能、アセットの拡充、バージョン2.8のAIエンハンサーツールがアップグレードしたPost-Ai機能など、多数の更新が施されている。
https://cgworld.jp/flashnews/202411-D5Render29.html