今回のモチーフは金魚。けれど、ただの魚では浪漫がないので、まさに黄金の魚。釣れたら嬉しい感じに制作しました。
※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 221(2017年1月号)からの転載記事になります
TEXT_早野海兵(画龍) / Kaihei Hayano(GARYU)
EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
STEP1:クロスシミュレーション
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/A01.jpg)
▲筆者はシミュレーションを活用してシーンを構築することが多々あります。特にクロスシミュレーションは一度覚えておくと、様々なシチュエーションや用途に応用でき、表現の幅が広がります。また、制作時間の短縮にもつながっていきます。
STEP2:モデル画像
▲元モデル画像です。布は綺麗なシワを出すためにどうしてもメッシュが細かくなってしまいますね。
STEP3:モデリング
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/C01.jpg)
▲胴体はシンプルにサーフェスで作成。こういった作業はポリゴンより速いですね。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/C02.jpg)
▲ヒレなどのヒラヒラするパーツはシミュレーションをかけるので布地を使用。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/C03.jpg)
▲それぞれ全てのヒレをスプラインで輪郭をとり、布地を適用します。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/C04.jpg)
▲胴体表面のディテールをZBrushを使用して作成していきます。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/C05.jpg)
▲リトポロジーをして、3ds Maxに読み込みました。あまり重くならないように注意が必要です。
[[SplitPage]]STEP4:シーンの構築
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/D01.jpg)
▲シミュレーションの動きを付けるため、胴体を簡単に回転させるアニメーションを付けます。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/D02.jpg)
▲布のシミュレーション自体は、綺麗なシワが入りやすいようにいくつかのプリセットを試してみます。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/D03.jpg)
▲シミュレーションは一度に全部を試すとかなりの重さになるので、ひとつのヒレごとにかけていきました。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/D04.jpg)
▲マテリアルはV-Rayの標準マテリアル。ゴールドっぽく下地をつくりました。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/D05.jpg)
▲シワを強調するためにテクスチャで補強します。
STEP5:合成作業
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/E01.jpg)
▲レンダリング画像そのままの状態です。32bit画像。いつも通りAfter Effectsで合成していきます。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/E02.jpg)
▲今回もエレメント素材を用意します。まずは反射。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/E03.jpg)
▲合成には欠かせないZマスク。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/E04.jpg)
▲そして、RAW反射です。これはめずらしいですね。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/E05.jpg)
▲それぞれの素材を加算で合成していきます。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/E06.jpg)
▲最後に画像処理でコントラストと色味を調整したら完成です。
[[SplitPage]]Basic MAX
今回の「Basic MAX」は標準シーンとV-Rayシーンのコンバートです。
Point1:V-Rayへのコンバート方法
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/F01_a.jpg)
▲昔のファイルやうっかり標準で作成したものなど、V-Rayでレンダリングしようとするとかなり手間がかかりますが、[V-Ray scene converter]を使用すれば簡単です。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/F01_b.jpg)
▲まずは標準のマテリアルからV-Rayへの変換。それぞれ用途に合わせてチェックします。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/F01_c.jpg)
▲こちらがその結果。基の標準マテリアルも残り、かつ新しいV-Rayマテリアルもできるので安心ですね。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/F01_d.jpg)
▲なお、テクスチャによってはコンバートできるものとできないものがあります。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/F01_e.jpg)
▲基は全てにテクスチャが付いていましたが、図のように4つのテクスチャしかコンバートできていません。対応してないものもあるので注意が必要です。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/F01_f.jpg)
▲その他、標準カメラからフィジカルカメラへのコンバートも[V-Rayscene converter]で可能。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/F01_g.jpg)
▲また、TIFFなどの形式で作成したテクスチャをOpenEXRにしてVrayHDRテクスチャに変換することもできます。
Point2:コンバートに関連する機能
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/F02_a.jpg)
▲おまけの解説になりますが、V-Rayのマテリアルは他ソフトともやりとりが可能です。これにはVrmatという形式に変換する必要があります。
![](/regular/images/garyu/201612-garyu-077/F02_b.jpg)
▲作業中にうっかりV-Ray標準のVrayimageファイルでレンダリング保存してしまい、がっかりすることもあるのではないでしょうか? そんなときは、V-Rayツールの中にOpenEXRに変換してくれる[VRImage to EXR converter]があるので便利です。
[Information]
「画龍・早野海兵監修 3ds Maxクリエイター専攻」
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2017年4月より、デジタルハリウッドにて1年間の3ds Max本格講座を開講いたします。長い時間をかけて本格的に新世代の3DCGアーティストを育てることが目的です。3DCGは初めの一歩がとても大切。ぜひこのコースで魅力的な3DCGの世界に飛び込んできてください。詳しくは、下記Webサイトまで。
開講日:2017年4月開講
通学曜日:毎週土曜日
時間:10:30~16:30
期間:1年間
サポート:動画教材学習・ストリーミング補講・フリータイム教室利用・画龍インターンシップ
school.dhw.co.jp/school/tokyo/event/event087.html -
[プロフィール]
早野海兵(はやのかいへい)
日本大学芸術学部卒業後、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント、(株)リンクス、(株)ソニー・コンピューターエンタテインメントを経て、フリーランスで活動。2007年(株)画龍を設立。
www.ga-ryu.co.jp
www.kaihei.net
@kai_hei