>   >  はじめよう!踏み出そう!VFX!:第2回:DaVinci Resolve Fusionで踏み込むコンポジット!【ステイホームVFX連動企画】
第2回:DaVinci Resolve Fusionで踏み込むコンポジット!【ステイホームVFX連動企画】

第2回:DaVinci Resolve Fusionで踏み込むコンポジット!【ステイホームVFX連動企画】

「ステイホームだし自宅で映像をつくってみようかな?」「でも3DCGは作ったことあるけど、実写合成は難しそう」......そんなあなたのために、現役大学生の映像作家・三宅智之氏が実写合成のイロハを集中講義! 無償版DaVinci Resolveとダウンロード素材で今すぐ始めよう!!

TEXT_三宅智之 / Tomoyuki Miyake(@38912_DIGITAL
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)

  • Dell Presents ステイホームVFX コンテスト エントリー受付中!

    ●審査基準
    01:自宅での撮影素材を活かした面白い表現ができているか
    02:CG・VFX技術を駆使した作品であるかどうか

    ●部門
    プロフェッショナル部門/学生部門

    ●応募方法
    ・エントリー:〜5月15日
    ・審査同意書記入:〜5月21日
    ・作品提出:〜5月24日

    www.info-event.jp/dell/lp/ws_vfx



はじめに

こんにちは! 古い柱上変圧器が大好きな38912 DIGITALこと、三宅智之です。

前回はBlenderを使い、実写とCGの動きを合わせる「マッチムーブ」をメインに紹介し、素材と素材を合成する「コンポジット」についても少し触れてみました。

今回は無料でほとんどの機能が使える映像編集ソフトDaVinci Resolveを使い、VFXの醍醐味「コンポジット(合成)」の工程にさらに一歩踏み込んでいきます。前回より少しレベルアップしますが、わかりやすく説明していきますので、おやつと飲み物片手にのんびりやっていきましょう! さぁ悩むより手を動かせ! はじめよう! VFX!!!

今回作る映像

第2回では、この映像を作ります。グリーンバックの人物と背景CGを合成する、ちょっと本格的なVFXカットです。

今回のカットは、おおまかに以下のながれで進行していきます。前回同様、何を言っているのかわからなくても大丈夫です。

各種ダウンロード

以下の3つのソフト・設定ファイル・素材データを使用します。※印のあるものは下記の注意事項を読んだ上で、ダウンロードしてください。

●使用ソフト
DaVinci Resolve 17(※)
www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve/

●使用する色空間のConfigファイル
OpenColorIO-Configs(※)
github.com/colour-science/OpenColorIO-Configs/tree/feature/aces-1.2-config

●使用映像素材
ライセンス:CC-BY-NC 4.0
CGW_38912VFX_02.zip

※ダウンロード時の注意事項

<DaVinci Resolve 17 について>
リンク先の「今すぐダウンロード」からダウンロードしてください。サイズはおよそ3GBです。「DaVinci Resolve Studio 17」と"Studio"と名前のついているものは有料版で、今回は無印の「DaVinci Resolve 17」(無償版)を使います。すでにDaVinci Resolve Studio 17を購入されている方は、Studio版を使っても操作にちがいはありません。

<OpenColorIO-Configsについて>
OpenColorIO-Configsのダウンロードは以下の2種類の方法のどちらかで行なってください。どちらか一方だけで良いです。

方法1:Webブラウザで取得
リンク先のページの緑のボタン[Code→Download ZIP]からダウンロードしてください。GitHubの仕様上、Webブラウザからは必要なフォルダだけをダウンロードすることはできません。そのためOpenColorIO-Configsのリポジトリ全体およそ1.88GBをまるごとダウンロードすることになってしまいますが、今回はその中の[aces_1.0.3]のみ使います。全て展開してしまうと6GB超になってしまうので、ZIPファイル内の[aces_1.0.3]フォルダのみを取り出して展開するようにしてください。

方法2:Gitで取得
Gitが使える方は保存したいフォルダにcdで移動した後、以下のコマンドで[aces_1.0.3]のみを直接pullできます。1行で実行できるよう複数のコマンドをつないでいるので、最初のmkdirから最後のmasterまでをまるごとコピーすればそのまま実行できます。

mkdir aces && cd aces && git init && git remote add origin https://github.com/colour-science/OpenColorIO-Configs/ && git config core.sparsecheckout true && echo /aces_1.0.3 > .git/info/sparse-checkout && git pull origin master

Practice:はじめてのノードベースコンポジット!

まずは簡単なCG素材でノードベースのコンポジット(合成)の練習をしてみましょう。


【実践】よくわからなくてもOK!まずは手順通り触ってみよう!

〈Step 0〉プロジェクト作成

【1】DaVinci Resolveを起動するとこのような「プロジェクトマネージャー」が開くので、左上の[名称未設定のプロジェクト]をダブルクリックして新しいプロジェクトを起ち上げます

【2】このような画面が開くはずです

【3】画面最下部にはいくつかタブアイコンがあります。[Fusion]と書いてあるアイコンをクリックし、[Fusion]タブを開いてください

下のタブは左から順に一般的な映像制作のワークフローで並んでいます。[メディア]は映像の読み込みと整理、[カット]と[エディット]は映像編集、[Fusion]はVFX、[カラー]はカラーグレーディング、[Fairlight]は音声編集、[デリバー]は映像の書き出しです。今回はコンポジット(合成)を行うため、VFXの機能をもつ[Fusion]タブを使います。

  • 【4】画面右下の歯車アイコンから[プロジェクト設定]を開きます

【5】[プロジェクト設定]を開いたら、①[マスター設定→タイムラインフレームレート]を②[24]に設定しておきます。最後に右下の③[保存]を押します

ここでいったん[Ctrl+S]でプロジェクトに名前をつけ保存しておきましょう。

今回は撮影時に毎秒24フレームの設定で撮影しているので、プロジェクト設定のフレームレートは24を選択しました。最近はスマホのカメラでもフレームレートを指定できることが多くなりましたが、最も一般的な30fpsや29.97fps(アナログ時代の名残です)、設定によっては60fpsなどがあります。映画はフィルム時代から24fpsがよく使われます。あらかじめ、この作品はどのfpsで作る、などを決めておく必要があります。


〈Step 1〉メディアの読み込み

  • 【6】[Fusion]タブが開けたら、画面左上のメディアプールの空欄(画像のマウスカーソルのあたり)で右クリック→[メディアの読み込み]を選択します

【7】配布素材の[Practice]フォルダから練習画像3枚を選択し、開きます


〈Step 2〉コンポジットノードの作成

  • 【8】左上のメディアプールに画像が3枚読み込まれました。[Practice_BG.png]を画面下のノードグラフにドラッグ&ドロップし、配置します

  • 【9】このようなノードが作成されました。ノードグラフは中ドラッグで前後左右の移動、[Ctrl]キー+マウスホイールでズームできます

【10】右上にピンク色の背景(Practice_BG.png)が表示されているはずです

  • 【11】続いて[Practive_V.png]を先ほどと同じようにノードグラフにドラッグ&ドロップします。今度は[MediaIn2]ノードのみが追加されたはずです

【12】ノードの位置はノードをドラッグすれば自由に動かすことができます。[MediaOut1]ノードをドラッグして右に動かし、少し離れたところに置いておきます

  • 【13】ノードの出力ソケット(ノード右側の白い四角)をドラッグすると、線が伸びます。矢印の通りに、下の[MediaIn2]ノードから伸ばした線を、上の[MediaIn1]ノードの出力ソケット(白い四角)に繋げてみましょう

【14】すると、[Merge1]ノードが間に追加され、2つの画像が合成されました。ノードを画像の位置に動かします。右上のビューに「V」のCG画像が合成されたはずです

  • 【15】同様に、[Practice_Suzanne.png]を左上のメディアプールから下のノードグラフにドラッグ&ドロップし配置します。矢印の方向に、追加された[MediaIn3]ノードの出力ソケット(白い四角)と[Merge1]ノードの出力ソケット(白い四角)を繋げてみましょう

【16】このように、全ての画像が合成されました。ノードを画像の位置に動かします

  • 【17】すでに線で繋がっている入力ソケット(三角形)をドラッグすると、線を取り外すことができます

【18】[Merge1]ノードの「緑色」の入力ソケット(foregroundソケット)と、[Merge2]ノードの「緑色」の入力ソケット(foregroundソケット)を入れ替えてみます。このとき、間違って「青色」の入力ソケット(Effect Maskソケット)に繋がないよう気をつけてください。ソケットの色がわかりづらいときは、入力ソケットの上にカーソルを置くとソケット名がホバー表示されます

【19】線を入れ替えると、CG画像の前後が入れ替わりました

ここまできたら、[Ctrl+S]で保存しておきましょう。


【理論】なぜこうするの?

このように、「ノードベース」のUIには様々な機能をもった「ノード」という箱がソフトウェア側で用意されており、それらの箱と箱を繋げることで何かしらの処理を行います。

「ノードベースのコンポジット(合成)」では実写素材やCG素材を読み込む「入口のノード」(今回はMediaInノードで読み込みました)から始まり、「処理を行うノード」(今回はMergeノードで合成しました)を通じて、最終的に映像を出力する「出口のノード」(今回はMediaOutノードでした)へ処理が進みます。そのため、線のつなぎ方=ノードの順番によって処理の順番が変わり、出力される画が変わります。川が合流しながら太くなり海に出ていくように、AとBが合わさり、それにCが合わさって......と処理が順々に進んでいくイメージです。

PhotoshopやAfter Effectsやペイントソフトなどの「レイヤーベースのコンポジット」に慣れている方は「ノードはむしろ面倒では...?」と感じるかもしれません(筆者も昔はそう思ってました)。確かに「ノード」は「レイヤー」に比べ直感的ではないため、難しそうに見えますよね。

しかし合成が複雑になればなるほど「ノード」の方が効率良く合成できるようになるほか、複雑な処理を視覚的にわかりやすく整理できるといったメリットがあります。そのため、複雑な合成処理が必要なVFXの現場ではFoundryの「Nuke」というノードベースのコンポジットソフトが広く使われていたりします。最初は大変だと感じるかもしれませんが、実践を通して少しずつ慣れていきましょう!

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01:最初に「色空間」を定めよう!

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