ノードベースのコンポジットソフトウェアNukeのユーザーを対象に、求人中の企業を紹介していく本企画。映画やドラマなど高度な機能性とハイエンドな結果が求められるプロジェクトに適しているNukeユーザーを求める企業は多い。本連載では、Nukeユーザーを募集している企業に対して、1.基本情報(ツールやチーム構成)、2.仕事内容(ワークフローやスキル)、3.文化(スタッフの一日の過ごし方や学び方など)の3項目について共通でインタビューを実施。連載を通じて、Nukeユーザーをどんな企業が求めているのか明らかにしていく。

今回、取材にご協力いただいたのは『竜とそばかすの姫』劇場版アニメのCGパート、蜷川実花監督『人間失格 太宰治と3人の女たち』、原田眞人監督『燃えよ剣』等数々の映画VFXなどに参加してきたイメージ・ロジック同社のVFXチームにお話を伺った。

記事の目次

    <1.基本情報> イメージ・ロジックのコンポジターとは?

    イメージ・ロジックとは?


    COMPUTER GENERATED IMAGERY FOR "STORY".3DCG・デジタルの力で「物語」を創るスタジオ。ゲーム・アニメーション・劇場映画におけるCGを使った、3DCGアニメーション、VFX制作に力を入れており、新たなデジタルコンテンツの創出・展開を目標に据えている。

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    手掛けた案件

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    コネクト|予告編|Disney+ (ディズニープラス):イメージロジックが担当したのは、(0:38)(1:04)
    森山未來×さとうほなみ×永山瑛太が出演、GEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポー初監督作 映画『i ai』予告編:イメージ・ロジックが担当したのは(0:49)(1:19)


    メンバー構成

    金元氏、古澤氏、小野氏を中心に、案件に合わせて4~5名で制作を担当しています。

    金元 省吾 Shogo Kanemoto

    VFX Director

    古澤 優真 Yuma Furusawa

    VFX Lead Artist

    小野 裕佑生 Yui Ono

    VFX Artist

    <2.仕事内容> ワークフローや求められるスキル

    Nukeの使用状況と、制作において感じた利点

    FOUNDRY社が提供するNukeに関する情報はこちら

    「私はこれまで、After Effects、FUSION、NUKEを併用しながらそれぞれの良いとこどりをしてきました。しかし、Netflixなどの配信プラットフォームで公開される作品が増えたこと、そしてNukeの機能が大幅に向上したことにより、最近ではほとんどNukeを使用しています。特に、配信系の作品には4Kフィニッシュが求められることが多く、このような高いレギュレーションに対応するためにNukeを選択しました。

    Nukeを用いることで、ほぼ全ての作業を一貫して高品質に仕上げることができます。コンポジットソフトウェアは大きく分けて、ノードベースとレイヤーベースの2つに分類されます。Nukeはノードベースであり、この点が制作過程を理解しやすくする大きな要因となっています。作品制作の各ステップが明確に可視化されるため、複雑な作業も管理しやすくなります。」(金元氏)

    求められるスキル

    ■募集職種
    3DCGアーティスト(エフェクト・コンポジット)

    ■応募資格
    新卒・未経験者採用、学歴不問
    国籍不問(外国籍の方は日本語での日常会話やメールなどが可能であること。)

    今回、インタビューした古澤氏と小野氏は、Nukeの使用経験はない状態で入社。両名ともジャンルや使用ソフトは違えど映像制作を学び自主制作した映像を持ち込み入社に至ったそうです。

    Nukeでのコンポジット経験や、エフェクト制作の技術が強みになるのはもちろんですが、最も重要なのは、チームのメンバーやクライアントなど関係者と積極的にコミュニケーションをとる姿勢です

    「実写VFX制作には特別な技術や経験が必要ですが、チームで楽しくコミュニケーションできることがより重要です。ディスカッションを通じて改善の機会を増やし作品の質を高め。難題があった場合は早めに解決できるようにしたいと考えています。」(金元氏)

    また、技術への興味、関心が重要です。イメージ・ロジックのコンポジットチームメンバーは現在3名(※外部スタッフを含めると4名)。少人数のチームで、業界の変化も速いため、新しい技術のインプットが求められます。

    「新しい技術は常に出てきます。それらに興味を持って自分で学習できる人であれば非常にありがたいです。少人数で運営しているので、一人の提案がチーム全体のワークフローやルールを変える余地は大いにあります。技術への興味が強く、裁量を持って働きたいと考えている人はぜひ応募してみてほしいです。」(金元氏)

    ワークフロー

    ① 素材の確認 (ver0の作成)
    VFXチームに届く撮影された映像素材や3DエレメントをNuke内で一度レンダリングし、初期バージョン(ver0)を作成する。解像度、アスペクト比、フレームレート、カラーパイプラインなどの基本的なフォーマット設定が正しいかチェックするステップ。ここで使用される素材はEXR形式の連番ファイルで高いダイナミックレンジと色深度を持ち、細かい色の調整や合成に適している。

    ②合成箇所の洗い出し
    VFXスーパーバイザーや監督と協力して、合成が必要な箇所を洗い出す。これには特定のエフェクトの追加、背景の置き換え、不要な要素の削除などが含まれる。

    ③合成作業
    具体的な合成作業を行う。Nukeを使用して、必要なエフェクトを合成し、色調整やその他のビジュアルエンハンスメントを施す。

    ④最終出力
    最終レンダリングと出力: 映像を最終レンダリングし、OKがとれたカットをグレーディングへ持ち込む。グレーディングで最終調整を経て、配信フォーマットに合わせて出力する。これには映画館での上映用のDCP(Digital Cinema Package)、テレビ放送、オンライン配信などが含まれる。

    制作体制の特徴

    エフェクト制作とコンポジットの2つの領域を1チームで担当している点が大きな特徴です。また、モデル(テクスチャ等)の微調整やライティング・レンダリングも行っており、エフェクト制作、コンポジット領域はもちろんのこと、その他CG制作の分野にも対応していく予定です。


    「コンポジットを行うことが多いですが、私たちのチームはその前段階で行われるエフェクトの制作も可能です。コンポジットとエフェクト制作は非常に接続性が高い工程です。

    コンポジットとエフェクト制作を別のチームで制作する場合、コンポジットの工程でエフェクトに修正が必要な場合、チーム間でのコミュニケーションが必要となります。それぞれのチームの認識、つまり“カットは最終的にどんなものに仕上げるのか?”という部分のすり合わせができていないと、最終的に最高とは言えないクオリティに帰結してしまいます。エフェクト制作、コンポジットを一貫して行うことで、効率性と完成度を高められると考えています。

    このような考えに基づいて、今後も最終的な絵作りをしていく上で3DCG素材の制作やレンダリング、ライティングの調整まで自社で可能な状態を目指しています。」(古澤氏)

    <3.企業文化>スタッフたちの働き方や価値観

    スタッフの働き方

    イメージロジックではフレックス制を採用しており、決まった時間に出社するということはないです。スケジュールとしては、午前9時〜11時始業、好きなタイミングで昼休憩1時間を取り、午後20時終業という流れが標準的です。基本的に出社勤務となっており、コミュニケーションを密にとりながら仕事を進めていきます。

    カルチャー

    いくつかのプロダクションを経験後、独立、その後イメージ・ロジックのディレクターとして活躍する金元氏と近い距離感でコミュニケーションが取れるため若手にとっては特に学ぶ機会が多いです。また、世代も経験も違うメンバーで構成されたチームですが制作となればフラットに意見を出し合える関係性であることも良い特徴です。

    「豊富な制作経験を持つ金元さんと近い距離で働けているのは大きいです。制作物の技術的なアドバイスはもちろんですが、制作時のコミュニケーションの取り方なども学びになっています。より正確にイメージを伝えるためにどんな資料を用意すれば良いのかなど、指示を受けながら自然と学ばせてもらっていますね。」(小野氏)


    古澤氏と小野氏は入社時にNukeの使用経験がなかったものの、入社後に案件で実際に使用しているノードの構造を分析し、応用していくことでNukeを習得したそうです。

    「Nukeが現段階で使用できなくても問題ありません。チームでものづくりをしたい、エンターテイメント作品またその制作技術に興味がある、といった方々のご応募お待ちしております。一緒にいいものを作りましょう!」(金元氏)

    求人情報

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