第10位:『Hit a lull』 獲得点数:14点
石川遥平さん(ヒューマンアカデミー秋葉原校)
●作品解説
荒廃した都市での戦闘が終わり一段落した瞬間をイメージしました。CGを始めて1年と6ヶ月目に制作した作品です。 車輌、キャラクター共に10万ポリゴン以下を目安に制作しました。
●使用ツール
Maya, ZBrush, Substance Painter, Marmoset Toolbag3, Unity 2018
●審査員コメント 抜粋
【SAFEHOUSE inc. 鈴木卓矢 (取締役/背景モデリングSV)】
ストーリーが伝わってくる一枚に仕上がっていますね。デザインもかっこよくモデリングも丁寧に作られていてクオリティーは高いと思います。10万ポリゴン以下で作るというのをテーマにしているという事でポリゴンがすこし足りない部分が見受けられますが、ゲームモデルとしてはいい感じじゃないでしょうか?タイヤ部分が少し気になります。濡れていてももう少し泥っぽさが出ていたほうが状況説明になるので気を付けてみてください。
【イナズマアニメーションスタジオ】
映像作品やゲームのイベントムービーの一コマのようで、静止画で見るのがもったいない作品ですね。とはいえ、この一枚でもストーリーが垣間見え、空気感がしっかりと伝わってきました。キャラクターのポーズにしても、特にカミテ奥の二人に関しては、今にも会話が聞こえてきそうで、とても良いと思います。
【DCG Entertainment 】
ライティング、空気感がリアルで、車に乗っている人が動きだしたり奥の2人が話をしているのを容易にイメージできる絵に仕上がっていると思います。タイヤの質感を表面と溝で変えたりすると、よりリアルになじむかと思います。
【東映 デジタルセンター ツークン研究所】
とても空気感が伝わる作品です。手前の兵士が降りようとしてるのもよく伝わります。全体的に出ている土埃の感じが、戦争が起こっていたと言う事を感じさせて良いです。ここまで寄っているので、車の下の石のディティールアップや、草の配置が現状直立しているので曲がっているものを追加する等して、もう少し工夫すると良いです。また、ライティングを暖色にしているので全体の雰囲気が穏やかに感じます。
この作品は専門学校2年間の総決算的な作品です。私はデザイン系専門学校を7年前に卒業し、自分に合った表現の場を模索しながら、紆余曲折の末に3DCGに出会いました。今回11位という評価を頂き、今までの苦労が少し報われとても嬉しいです。今後も常に向上心を持ち鍛錬を怠る事なく3DCG力を高めていきたい思います。ご講評していただいた方々、本当にありがとうございました。
第10位:『いっしょにごはん!』 獲得点数:14点
藤本悠誠さん(デジタルハリウッド大学)
●作品解説
仲良し4人組の少年たちが談笑しながら一緒にごはんを食べているワンシーンです。Unityでレンダリングしており、ゲームCGとイラストの中間のような質感を目指しました。
●使用ツール
Maya, Unity, Photoshop, CLIP STUDIO PAINT, ZBrush
●審査員コメント 抜粋
【 ディレクションシーズ 】
雰囲気がよく出ていますね。キャラクターの表情も豊かで、個性を感じます。全体的に色が茶色~黄色よりになりすぎているので、テーブルクロスを敷いてみるとか、服の色を変えてみて、もう少し色数を増やしてみても良いかも知れません。
【アスコープ 】
360度どこから見ても隙のない詰め方が成されており、非常に活き活きとして楽しく感じられました。様々なソフトウェアに手を出している探求心もまた素晴らしいですね。
【ポイント・ピクチャーズ】
作品の世界観がとてもよく出ていると思います。あえて日常シーンを切り取ったところも、作品に対する作者の思いが感じられます。テクスチャの処理も丁寧で、色彩の配色もとても良いと思いました。ノンフォトリアルなテイストでも、細かい色収差等などの処理が入っており、絵作りへのこだわりを感じます。
【StudioGOONEYS】
キャラクター性・世界観がよく伝わり、ワクワクする作品だと思いました。キャラクター1体1体の表情やポーズ・目線で性格や関係性がよく分かり、ストーリーを感じさせる絵作りが素晴らしいと思います。キャラクターや小物のバランスやシルエットの崩し方がうまいので、影や線が汚く出てしまっている部分や、細かいモデルのシルエットや、関節部分の曲がり方やポージングをより自然にできると、さらに絵の質が上がると思います。作品作り頑張ってください!
【exsa】
雰囲気が出ていて良いです。表現したい事が明確な分、見る側に伝わります。形状やテクスチャ等、まだ詰められる部分はありますが、トータルとして上手く落とし込めている作品だと思いました。
この度は沢山の方にご講評いただけて大変ありがたい限りです。好きなものを好きなように作った作品だったので、審査員の方々のご講評は色々な意味で糧となりました。もっと好きを突き詰めていこうと思います。
今回応募した作品は、動画作品の一部を抜き出したものです、よければ動画の方も見て頂けたら嬉しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=Zye41CvEBpQ
第10位:『アマゾンに生きるミユビナマケモノ』 獲得点数:14点
森野弘崇さん(デジタルハリウッド大阪校)
●作品解説
ナショナルジオグラフィックなどで見るアマゾンに生きているナマケモノを、できる限り生き生きとリアルに見えるようMaya XGenを使用し、それぞれにテクスチャリングを施した毛の調整、表情、HDRIを使用したライティング、背景の植物の植生、Photoshopでの澄んだ空気感にこだわりました。
●使用ツール
Maya, ZBrush, Substance Painter, Photoshop
●審査員コメント 抜粋
【 Kakela Studios 一丸敦生 (代表) 】
私が学生の時は髪の毛を作るのは技術的にも難しく、まだXGen等もなく、毛のあるモデルを作るのは極力避けていましたが、それにあえて挑戦するという、強い意志が感じられる作品だと思います。毛がカールしすぎていることや、その流れ、頭と腕の毛の違い、捕まっている木に影が落ちていないこと、周りに葉があるならそこから緑色の反射があるなど、モデルそのものや背景を考えられるともっと説得力が出てくると思います。
【伊藤頼子(ビジュアルデベロップメントアーティスト)】
愛らしいナマケモノくん、色と雰囲気いい感じです。手前の腕の毛が近いので、もう少し柔らかさが出た方がいいと思います。
【 StealthWorks. 米岡 馨 (代表取締役 FXスーパーバイザー)】
モチーフの着眼点が素晴らしい。難易度の高い動物のファーに挑戦しているところも好感が持てる。また、野生のナマケモノは毛に生えたコケを食べたりすることもあるのだが、毛先の緑がかった部分がそういったマニアックな視聴者にお!っと思わせるディティールになっているのがいい。より絵のリアリティを持たせるのなら、奥の背景の輝度の高い部分が一眼レフで撮ったような球ボケになるとよりいいのではないだろうか。
【クロ】
一枚絵としての構図や色使いが今回一番よくできていたと思います。被写界深度やカラコレを効果的に使い、シンプルな題材ながら主題をきちんとみせるための視線誘導ができていて、アーティストとしてのセンスが高い方だというのが伝わってきました。学生作品で避けられがちのファーの表現にチャレンジした部分も評価できます。あえて厳しいことを言わせてもらえれば、モデリングや絵作りのクオリティ自体はアマチアの域をでていないので、ナショナルジオグラフィックスなど芸術性の高い作品などから日々キャッチアップを行い、自分の作品づくりの引き出しを増やしていってもらいたいです。
第13位:『ビックバンの種』 獲得点数:11点
島貫瑞希さん(東北芸術工科大学)
●作品解説
デザインには全て意味があります。この作品では、小さなものから世界観の様々な事柄を読み取ることが出来るようイメージしました。CGの枠に縛られないような絵作りがこだわりのポイントです。
●使用ツール
Blender, ZBrush, Substance Painter, Cycles Redner, Photoshop
●審査員コメント 抜粋
【Method Studios Montreal 傘木博文 (エフェクトアーティスト)】
今回審査させて頂いた作品の中において一際輝きを放つ作品でした。学生コンテストと言う事もあり、既存の作品からインスピレーションを受けたと思われる作品が多くある中、唯一非常に高いクオリティと独創性を併せ持つ作品だと感じられます。一見すると球やボックスといった、CG作品にありがちなシンプルな形状の集合体ですが、決して「CGっぽさ」を感じさせない見事な有機的モデリング、年数経過や摩耗劣化に伴う本物のGrunge(汚し)が感じられるテクスチャ、単色の背景ながら存在その物を引き立てるライティングの上手さなど、全てが高い次元でまとまっており、作品全体から作者の圧倒的なセンスとスキルの高さが伺えます。ゲーム業界希望とありましたが、より多くの時間と予算をかけてクオリティアップが行える、海外の映像業界も視野に入れてはいかがでしょうか?いつかご一緒にお仕事ができるのを楽しみにしています。
【 神央薬品 】
デザインが面白いと思いました。テクスチャやディティールも丁寧に作られていて素晴らしいと思います。
この度は受賞いただきありがとうございます。今回の応募が初めてだったので、同じCGを扱う学生の中で自分の実力を確認するいい機会になりました。審査いただいたコメントが自信にも繋がりますし、審査員の方々の指摘が的確でしたので、新しく沢山の気づきを得ることができました。現状で満足せずに、通用する独創性を持つ作品を目指して今後さらに追求していきます。
第14位:『昭和の甘味処』 獲得点数:9点
宮本将太さん(HAL東京)
●作品解説
かつて東京都大田区大森にあった老舗の甘味処をつくりました。どこか懐かしい雰囲気を感じれるよう、リアルな質感を再現する事とコンポジットに力を入れ制作しました。
●使用ツール
Maya, Photoshop, Substance Painter
●審査員コメント 抜粋
【トランジスタ・スタジオ 秋元純一 (CGディレクター・取締役副社長)】
ノスタルジックな雰囲気を表現する際に、アンバーに寄せてしまいがちだが、夏の演出として少しクールな印象をうまく表現しており、グレーディングが巧みだと感じた。モデルのディテールもよく詰められており、納得の絵作りになっている。ラムネの結露まで表現しており、細部まで非常に丁寧だと思う。
【Niantic 行弘 進 (Art Director)】
これぞ、ザ昭和の店!ですね。レンダーそのままのCGっぽさが他の作品に比べてあまり感じられないのは、コンポジットに力を入れた結果でしょう。室内に露出を合わせているので、光が当たっている箇所の白飛びが写実的でいいです。それぞれのエレメントの質感もよく表現されていて、ラムネのビンの下が少しだけ濡れている表現がすばらしいです。貼られているメニューやカレンダーも一枚一枚丁寧に作り込んでいる様子が感じられます。少し曲っていたり、ズレていたりする所にリアリズムを感じます。ライティングは基本的に良いと思いますが、客席全体がフラットに見えてしまっていますので、手前の椅子周辺は若干暗くする事で、もっと締まった絵になると思います。のれんの「氷」から、見る人は夏の氷屋さんを期待すると思います。しかし、かき氷を食べた後の様子が窺われないのは勿体ないですね。例えばガラスの丸い器がテーブルにあり、その器の底には食後に残るわずかなシロップの色が残っていたりすると、より物語を演出できたかと思います。
【神央薬品】
レトロな雰囲気が出ていてとても良いと思います。机はもう少し汚したり、配置をずらしてみても面白いかもしれません。
【クリープ】
昭和の懐かしい雰囲気が良く出ていると思います。奥の調理場?の情報量がもっとあると、より説得力が出る(個人的にかき氷機などあると良いな)と思いました。
受賞頂きまして大変光栄です!WHO'S NEXT?には 学生最後で2回目の応募になりましたが、結果を残せて嬉しいれしいです。就活をしつつ苦労しながら作ったので思い出深い作品です。審査員の方々には多くのコメントを頂き、私の作品をよく見てくれたんだなと感じました。アドバイスはこれからの作品作りに生かし、さらにレベルアップできるよう頑張っていきます。