>   >  学生限定投稿コーナー「WHO'S NEXT?」:2020年第1弾 結果発表!学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」優秀賞&審査員講評コメント一挙公開
2020年第1弾 結果発表!学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

2020年第1弾 結果発表!学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

第15位:『Assasin weapon』 獲得点数:8点

加藤慶典さん(デジタルハリウッド東京本校)

●作品解説
「未来の忍び」をコンセプトに制作しました。ZBrushでハードサーフェスモデリングに挑戦した作品です。人体構造を意識し、装甲のディテールなどにこだわりました。

●使用ツール
ZBrush, KeyShot


●審査員コメント 抜粋

森田悠揮 (デジタルスカルプター・クリーチャーデザイナー)
プロポーションや細部の作り込みなど、作者がとても奮闘して作成したのが伝わってきます。手前側がすこし黒でつぶれてしまっていてもったいないと感じたので、バックライトとフィルライトで前後ろどちら側からも光をあてるともっとシルエットやディティールが強調されてカッコよく見えると思います。

Niantic 行弘 進 (Art Director)
カッコいい和のキャラクターを作りたかったという熱意が感じられた作品です。このプロファイルアングルは、キャラクターのカッコ良さを最大限に引き立てているのではないかと思います。この表面のマテリアルのアイディア自体は悪くないと思いますが、パーツ毎の違いが分かりにくいので、テクスチャーやラフネスなどの質感を調整するとリアリズムが増すでしょう。さらに説得力を出すために、多少の傷が付いていたり、エッジが欠けていたりすると、実戦を勝ち抜いてきた強いキャラクター感が増すのかと思います。全体的なディテールにグリーブル感があるので、もう少し大きくてシンプルな形があったり、機能的に感じられるものがあるといいですね。

StealthWorks. 米岡 馨 (代表取締役 FXスーパーバイザー)
ぱっと見でVitaly氏の作品を思い起こさせる完成度が素晴らしい。ここまで出来ているのであればより絵としての完成度を上げたい。例えば各装甲の材質の違いを際立たせたりミッションの激しさを思わせる傷などのテクスチャを入れる等。また剣のハイライトにグローを入れるなどのコンポ処理も入れるとより「商品クオリティ」に近づくと思う。

コンセプトラボ
細部までこだわられていくられていてかっこ良いと思います。刀のハイライトが一番強く、最初に目線が行ってしまうのは意図的にでしょうか?一番見せたいものに目線が行くようにすることが作品としては正しいと思うので、今回の場合は忍びのほうにもう少し目が行くようにライティングの強弱を調整してもよいのかなと思いました。背景の地面と壁の境界で横にラインが見えてしまうのは、今回のような主体を見せる際には邪魔な情報かなと思うので、壁にアールを作ったりしてラインが見えないようにしたほうが良かったと思います。

DCG Entertainment
形状を見せる部分とディティールを見せる部分のバランスが良く、また見せ方もカッコよく出来ていると思います。刀の反射が全体的に強すぎて2Dっぽく見える部分があるので、陰影を追加するとよりリアルでカッコよくなると思います。

●受賞コメント

この度は、数多くの作品の中から入賞という結果をいただき、誠に有難うございます。今回、初めての応募ということもあり、結果に驚きと喜びを感じています。審査員の方々からの講評を拝読し、課題に気づくことができ、とても貴重な体験になりました。今後も、この結果に満足することなく、より良い作品をつくれるよう精進してまいります。審査員の方々、関係者の皆様、有難う御座いました。

第15位:『Giant』 獲得点数:8点

林 祐希さん(東京工科大学)

●作品解説
長い髭や髪が特徴の巨人です。巨人のスケール感を出すために脚を短くして太くするなど工夫をしました。他にも装備により文化圏を想像させたり、構造による密度感が出るように意識しました。

●使用ツール
Maya, ZBrush, Substance Painter, Photoshop, After Effect


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一 (CGディレクター・取締役副社長)
キャラクターの造形や質感、密度は及第点だと思うし、ディテールも頑張っていると感じる。ただ、文言で巨人と言うワードがないと、巨大さが表現できていないかもしれない。手前のキャラクターとの対比が静止画だと難しいと思うが、カメラの画角とDOFで構図を調整するともっと巨大さは表現出来ると思う。

伊藤頼子(ビジュアルデベロップメントアーティスト)
全体的には良く出来ていますが、顔の表情が動いていないのが残念です。動いているポーズなのにそれが感じないのは髪の毛が動いていないからでしょう。左手が後ろ側になるのにそのように見えないです。

Method Studios Montreal 傘木博文 (エフェクトアーティスト)
応募作品の中でも、頭一つ抜けた素晴らしいクオリティであるのと同時に、非常に「おしい」作品だとも思います。審査に際しツイッター等も参考に拝見したのですが、元々はターンテーブルなどで全方向から見て破綻してない事を前提に作成されたモデルかと思います。フィギュアや彫刻等の立体物の場合はそれで大丈夫なのですが、今回の様にカメラや構図が決まっている場合は、一番見せたい角度に合わせて若干の調整が必要になると思います。特に違和感を覚えたのは、巨人の首の角度と視線が手前の騎士に向いていない点です。また、せっかく作りこんだ巨人の両手が見切れてしまっているのも残念です。先にも述べましたが、モデリングのスキルは非常に高いですし、指摘されればこれらの修正は容易に行えると思います。あとは仕事の内容に合わせて、何を見せて何を隠すのかの取捨選択を適切に行える様になると、より短時間でクオリティの高い物ができるようになると思います。

SAFEHOUSE inc. 鈴木卓矢 (取締役/背景モデリングSV)
モデル自体はよくできていますし、デザインもかっこいいですね。ですが肝心の巨大感はあまり感じません。手前のキャラが小人のように感じるのは主役のパーツ一つ一つのスケールがないからだと思います。ベルトの皮の巻き方や肩のパーツなどスケールを感じさせるアイテムにもう少し気を使うともっとスケールが出ると思います。

森田悠揮 (デジタルスカルプター・クリーチャーデザイナー)
構図やプロップの質感などが特に素晴らしいと感じました。こういった作り込みの多い作品はどうしても全体を見せたくなってしまいがちなのですが、画面内に収めようとせずしっかりトリミングしてダイナミックに見せられていると感じました。

アスコープ
鎧などの外側だけでなく、内側の布にまで詳細に詰められており、キャラクターのバックボーンがよく見える感じがしました。

●受賞コメント

今回は入賞させていただきありがとうございます。「巨人」をコンセプトに制作し、他の人が見ても巨人と分かるように試行錯誤したのですが、うまく表現できていなかったのが反省点です。ですが、モデル自体のこだわりは評価していただけたので良か

第17位:『赤い扉』 獲得点数:7点

鹿俣丈優さん(日本電子専門学校)

●作品解説
その先が気にはなるが何処かしら恐怖感のある扉をコンセプトに制作しました。扉や配線、パイプなどの配置や網目状の影がでるライティングなどにこだわっています。

●使用ツール
Maya, Substance Painter, Photoshop


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一 (CGディレクター・取締役副社長)
構図やレイアウトは面白いと思うし、うまいと思う。シンプルな構造ながらも情報量が多く、全体的にモダンな雰囲気が良い。リアリスティックさの中に、抽象的な印象をうまく取り入れており、完成している。

神央薬品
パッと見たときにあの扉の先に何があるんだろう?って思ってしまいました。螺旋階段やその他のオブジェクトも丁寧に作られていて良い密度感だと感じました。目を引くレイアウトが巧いですね。

ポイント・ピクチャーズ
1枚の作品として、色彩の配置・画面構成がデザインとして素晴らしく、ディティールの作りこみにもこだわりを感じました。また、画面に見えているもの以外の空間を感じられる作品だと思います。画面奥の白い壁面のみ、ややテクスチャーの解像感が低い印象を受けました。

StudioGOONEYS
パイプの配線や細かいコードの絡み具合などにこだわりを感じました。赤い扉のドアノブ部分に螺旋階段の手すりがかぶってしまっていたり、手前の螺旋階段が絵の半分にかぶせてしまっていて、何を見せたいのかが分かりづらくなってしまっている部分が惜しいなと思いました。これからも頑張ってください!

東映 デジタルセンター ツークン研究所
意図の通り、しっかり扉に目が行くように工夫されています。この扉に何か意図があるのも理解できますし、手前との距離が出るように被写界深度を使っているのも良いです。恐怖感を感じるには少し整って綺麗すぎるので、少し扉を開いてみたり、扉の上の配線が千切れていたり、螺旋階段の一部が腐っていたりしていても、良いかと思います。

●受賞コメント

正直受賞できると思ってなかったのでとても嬉しいです。また審査員の方々のコメントを拝見し、まだまだ工夫が必要だと実感しました。時間の都合で新しく作品を作るのではなく、すでに完成してある作品を応募したので、しっかりとコンテスト用に作品を制作しておけばよかったと少しだけ後悔しています。

第17位:『SUMMER HOUSE』 獲得点数:7点

東 光稀さん(東京電機大学)

●作品解説
海外の避暑地の別荘をイメージして制作しました。数年ぶりに従軍から帰宅した父親と、再会を喜ぶ小さな息子たちとの別荘への家族旅行を思い描きながら制作しました。水面の景色の映り込み、さざ波で風を表現し涼しさを感じることなども意識しました。

●使用ツール
Maya, Substance Painter, Substance Designer, After Effects, Photoshop


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一 (CGディレクター・取締役副社長)
ストーリーがしっかりと根底にあるのは作品作りに対して必要な事だと思う。構図も素晴らしく、ディテールにも気を抜いていない所は評価したい。

Niantic 行弘 進 (Art Director)
被写界深度が効果的に利用されていて、手前の窓から奥の建物に視線を誘導させ、はっきりとレイヤーを感じる構図は素晴らしいです。全体的に綺麗につくられているのですが、一番目を引く中央の屋根にプリミティブな安さを感じます。シンプルな屋根だからこそ、パネルをあえて一枚一枚作り多少歪みを入れたり、沢山の木々に囲まれている家ならではの落葉を屋根に散らすことで、この「とてもCGっぽい」印象の綺麗すぎる線をブレイクアップさせることになり、更にリアリズムが増すと思います。せっかく視線の誘導が素晴らしくできているので、そこにもっと作者の意図するテーマと物語を感じられる様にすると、素晴らしい作品に仕上がると思います。

神央薬品
表現したいような雰囲気が出ていると思います。何か懐かし気な感じもして素晴らしいと思いました。もう少し建物に使用感がでると良くなると思いました。

アスコープ
背景奥の森林の物量、極めて自然な配置バランス、特に太陽の温かみを感じるライティングが素晴らしいです。

イナズマアニメーションスタジオ
全体の雰囲気もそうですが、構図がとても面白いと感じました。脳内カメラにトラックバックをいれて楽しませてもらいました。夏というシチュエーション故に日差しを強くしがちですが、ご自身がイメージされている設定をしっかり反映させていて、涼しさを感じることができる作品だと思います。

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第19位 優秀作品講評結果

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