第5位:『ミス・ディスペンサー』 獲得点数:25点
北畑勇一さん(デジタルハリウッド大阪校)
日本だけにとどまらず、世界的に通用する3DCGクリエイターになりたいと考えております。 人々に感動、感銘を与えられる様な作品をつくっていきたい。
●作品解説
女性調剤師の机をイメージして制作しました。 いかに3DCGで生活感、日常感、空気感、世界観を持たせるかにこだわりました。
●使用ツール
Maya, Substance Painter, Photoshop
●審査員コメント 抜粋
【 Kakela Studios 一丸敦生 (代表) 】
全体的な雰囲気がとてもよくできていると思います。調剤師の机ということがひしひしと伝わってきます。細かいところですが、画面中央部分のアセット同士の重なりがほとんどないので、いくつか重なっていればもう少し奥行きが出てくると思います。サブディビジョンがかかっていないところや、画面の端のパースがきついこと、天秤の白い鎖と形状、フレアが少し世界観を崩していること、左上のボトルの液体の粘度や質感が分かりにくいことなどが改善されれば、もっとよくなりそうです。
【 伊藤頼子(ビジュアルデベロップメントアーティスト) 】
とても綺麗に出来ています。綺麗好きの女性調剤師なんでしょうか。もう少し『作業中』感があったらストーリー性が出てくると思います。机の上のオブジェが机いっぱいに、ほぼバラバラで置かれていて綺麗なのですが、いくつかが重なっていたり、オーバーラップしていると良いと思います。まとまりがでてきて、流れができます。蝋燭にもう少し手を入れて、溶けていたりすると良いですね。
【 StealthWorks. 米岡 馨 (代表取締役 FXスーパーバイザー)】
全体的にクオリティが高いが、この手の作品で唯一「室内に漂う埃」を表現していた。志望職種の一つにエフェクトアーティストとあり、なるほどと思わされた。輝度の高いハイライト部分にグロー感やレンズフレアを持たせたり、最後の絵の完成度が非常に高く、モデラーより一つ上の視点を持っているのでディレクター向きだと感じた。
【 神央薬品 】
丁寧に作られていて、一つ一つのオブジェクトに気を使っているのが感じられました。光の入り方や映りこみも良い感じだと思います。
【 ディレクションシーズ】
ライティング、質感、コンポ処理等、とてもよくできています。ここまでよくできていると、逆にポリゴンのカクつきが目立ったり、物の配置の単調さが気になりました。
【コンセプトラボ】
世界観・レイアウトはすごく良いと思います。制作意図の日常感とは違い、グレーディングも相まって、不思議な空間だと感じました。窓際は青味がつよいライティングなのがそのように感じさせている原因かなと思います。テクスチャが、全体的に少し解像度が足りていないようにも見えるので、もう少し詰められればいいと思います。天秤のフレアは無いほうが良かったです。天秤の鎖の質感をきちんとつけて、きちんとしたハイライトでの表現のほうが良い結果になったのではと思います。
【 クロ 】
多くの小物のモデリングと光の演出、ストーリー性があり、よくできていました。小物をたくさん用意するという作業は作り手のやる気がなければできない作業だと思います。欲をいえば、テクスチャーの解像度などに気を付けてもらえれば、さらによくなると思いました。
【 アイロリ・エンタテインメント】
自然光のガラス容器を透過する演出が清々しい印象を与えています。光線の色温度が絶妙でリアリティを上手く醸していると思います。
まさか、自分の作品がっ!と言うのが率直な感想でした。提出してからも、もっと手直し出来たんじゃないかと心残りが沢山あり、5位入賞出来たのは驚きました。 それと同時に審査員の方々からの講評で自分の今の課題を客観的に見れて勉強にもなりました。この結果に満足せずに感動感銘を与えられる作品を制作していきたいです。 この度は、審査・講評、自分に関わってくれた方々に感謝です。ありがとうございました。
第5位:『遭遇』 獲得点数:25点
長浜 晃さん(麻生情報ビジネス専門学校)
モデラーとして背景もキャラもがんばります。
https://twitter.com/alayto0110
●作品解説
エジプトの古代遺跡を探索する探検家が、遺跡に棲み着くクリーチャーと遭遇するシーンを制作しました。クリーチャーを目立たせる為のライティング、遺跡の構造、背景モデルの配置にこだわりました。
●使用ツール
Maya, Zbrush, Substance Painter, Photoshop
●審査員コメント 抜粋
【 Kakela Studios 一丸敦生 (代表) 】
今にも襲い掛かりそうなモンスターと人間の構図がよく表現できていると思います。ライティングやカメラの傾きのチョイスも素晴らしいです。ただ、古代遺跡に住み着くモンスターなのに、背景がかなり明るく、外から出てきたように見えます。人間のモデルを作りこんだり、モンスターの質感がもう少し感じられると、より怖くなりそうです。
【 StealthWorks. 米岡 馨 (代表取締役 FXスーパーバイザー)】
レイアウト、ライティングで的確に視線誘導をして寒色、暖色の補色を用いたライティングもリッチに感じられる。この手のゲームを具に観察しているバックボーンが窺える。ここまでできるのであれば、松明から出る火の粉や、シーン全体に漂う埃のような動的なエフェクトを入れて、より完成度を高めたい。
【 コンセプトラボ】
絵作り・構図、かっこ良いと思います。欲を言えば、クリーチャーの顔と胴体の近い部分がかぶってしまっているので、もう少しかぶらない構図のほうが、クリーチャーの形状がパッと見た瞬間により認識できるかなと思います。
【ポイント・ピクチャーズ】
演出効果としてのライティングがとても効果的に使われ、画面に奥行きを感じさせています。ピンポイントに配置された松明が、寒暖の配色の妙と画面にメリハリをきかせていると感じました。惜しいのは、被写界深度の浅さでミニチュア感が出ているところです。人物の持つ松明になびきや火花を加えると、よりドラゴンの息吹を感じさせられるかもしれません。
【 StudioGOONEYS 】
自分が見せたいものをよく表現できていて、素晴らしい作品だと思いました。全体像の構図は良いと思うので、モンスター全体のモデルのシルエットをもう少し分かりやすく見えるようにしてあげたり、襲い掛かってきて激しく動いているブラーのような表現をいれてあげると、より絵の完成度が上がると思います。これからも作品作り頑張ってください!
【 東映 デジタルセンター ツークン研究所 】
逃げる兵士に対し、クリーチャーが今にも襲い掛かろうとする臨場感が良く出ていいます。また、クリーチャーの表情がさらにそれを引き立たせています。ライティングは室内ですが、所々に外からの光を感じさせていて、兵士の持つトーチからの光源もクリーチャーを照らしており、そこに自然と目が行くように感じられます。所々に出ているモヤがこの場の雰囲気、そして少し寒気のするような空気感をグッと増しているのでとても好印象です。
今回の作品のコンセプトはクリーチャーとの対立によって感じる迫力、恐怖です。モデル、レイアウト、ライティングなど全ての面でそれが伝わるように考えながら進め、力を入れるべき所にこだわって制作できたと思います。審査員の方々のコメントで自分の伝えたかった事を感じて貰えた事が分かり、とても嬉しく思いました。この経験を忘れずにこれからも人の心を動かす作品を作れるように努力します。
第5位:『時』 獲得点数:25点
留目貴央さん(日本工学院専門学校)
現在、背景アーティストを目指し日々精進しています。
https://wimper0702.artstation.com
●作品解説
1820年代のアンティーク調の小物をつくりました。自分の苦手とする、テクスチャや近景のモデリングを少しでも克服するために、いろいろな材質のものを選び、質感を表現しました。
●使用ツール
Maya, Photoshop, Substance Painter
●審査員コメント 抜粋
【 Method Studios Montreal 傘木博文 (エフェクトアーティスト) 】
学生作品とは思えない、全てが高い次元でまとまっている作品だと思います。モデリング、テクスチャ、ライティングと背景アーティストに求められる全てのスキルが、現段階でかなりのレベルに到達していると思われます。個々のオブジェクトに目を向けると、それぞれが非常に細かいところまで作りこまれており、作者の観察力と表現力の高さを窺い知ることができます。その一方で、この作品は全てが「きれいに見えすぎている」感があります。このシーンの主役は何でしょうか?燭台ですか、それとも懐中時計ですか? 人間の目には焦点があり、普段脳は焦点が合っていない部分をぼかす(処理を簡略化する)ことで、本当に見たい部分のみに意識を集中させています。この作品の場合、全てがクリアに見えていることで、見る側の視線が、本当に見せたいオブジェクトに上手く誘導出来ていない可能性があります。せっかく作ったテクスチャやモデルが、モーションブラーやデフォーカスでぼやけてしまうのはもったいない気がするのも分かります。ですが、例えデフォーカスがかかったとしても、作りこんだディテールの存在は必ず作品のクオリティを底上げしてくれます。最初にも述べましたが、モデリング、テクスチャ、ライティング、全てがハイレベルです。今は全てのオブジェクトが自分が主役であると主張している状況ですので、まず自分が何を一番に見せたいかの取捨選択ができるようになると、より作品としてのクオリティが上がると思います。
【 ディレクションシーズ 】
純粋に絵としての完成度が高いです。構図、ライティング、光と影のバランスなどとても良いです。モデルやテクスチャなども、物をよく観察しているのが伺えます。蜘蛛の巣や形がいびつなネジなど、細部にこだわりを感じました。
【 イナズマアニメーションスタジオ 】
全体の質感・コントラスト、ひとつひとつのオブジェクトのデザインがうまくまとめられており、心に訴えかけてくるとても良い作品になっていると思います。
【コンセプトラボ 】
細かなディティールまで詰められていてリアルな空間を感じました。懐中時計本体や3冊の本が重なったあたりは、もう少し黒がしまった部分があると重厚感がましてより良いのかなと思いました。
【 東映 デジタルセンター ツークン研究所 】
アンティークが好きと言うことで、しっかり細部まで作りこんでいる作品だと思います。木の質感が金属のようにギラっとしているので、もう少し抑えてあげると、机の上に乗っている金属類と差がつけられると思います。蜘蛛の巣や植物が無機質な部屋を生きている感じにさせているのも良いです。窓からの光は、少しフォグやほこりっぽさをを感じさせるライティングやエフェクトを入れると、さらにこの画に説得力がでてくるので試してみて下さい。私個人としては、こういうノスタルジーを感じる作品はとても好きです。
【 exsa 】
とても丁寧に形状と質感を詰めており、モノとしての存在感がしっかり出ていると思いました。植物も細かく表現されているのが好印象です。これからのご活躍に期待したいと思います。
【 クリープ 】
小物の作り込み、質感も大変良いと思います。ライティングも良く物語性を感じました。色味が同系色でまとまり過ぎの印象があるのでもっと色数増やして全体に色どりを与えると情報量も増えてメリハリが出るのではと思いました。
この度は第5位に選んでいただき、誠にありがとうございます。審査してくださった方々、この作品を作るにあたってお世話になった方々には本当に感謝しています。まだまだ至らない点も多いので、今後も精進していきたいです。
第8位:『Warrior』 獲得点数:20点
近藤 諒さん(デジタルハリウッド大学)
今回はUE4をレンダラとして使い、リアルタイムでクオリティを高めるためにはどうすれば良いのか考えながら制作しました。スカルプトでは厚みや硬さ等の材質のちがいに気をつけました。
●使用ツール
Unreal Engine 4, Maya, ZBrush, Photoshop, Substance Painter, Marvelous Designer
●審査員コメント 抜粋
【 Kakela Studios 一丸敦生 (代表) 】
本コンテストの作品のなかでキャラクター作品としてよくできていると思います。服の質感もよくでていると思いますが、インナーが黒すぎて少し浮いていること、顔にフォーカスしたいのに剣の柄頭が顔より明るくなってしまっていること、何かと戦うキャラクターなのに皮の禿げた部分がないこと、髪の生え際部分をもう少し丁寧に作ることなどの点が改善されると、もっと良くなると思います。
【 伊藤頼子(ビジュアルデベロップメントアーティスト)】
良く出来ています。表情も柔らかくそこに彼女がいる様です。顔全体が明るく、正面からのライトのようです。このままでもいいのですが、少し影を入れるようにデザインして、ライテイングデザインにもう少しメリハリをつけ、光の部分の形を工夫すると、違ったストーリーテリングもできると思います。背景がワントーンで短調なので、そこにも気を配り、何かを入れるともっとストーリー性と遠近感が出ると思います。左上のメタルが明るすぎるのが気になります。
【 Niantic 行弘 進 (Art Director)】
肌、髪、革、金属などの様々な質感の違いがはっきりと表現されていて、大変よく出来ています。髪型、鎧などの細部まで丁寧に作りこまれている、素晴らしい作品です。キャラクターの表情に吸い込まれ、次はこのキャラクターがどの様に動いてくれるのか見てみたくなりました。リアルタイムモデルでここまで表現できているのは素晴らしいですね!
【 アイロリ・エンタテインメント】
細部へのこだわりに対象への愛を感じます。絵の説得力はディティールの積み上げという事をよく理解されておられると思います。
【 クロ 】
パッと見の印象が好きな作品で、もう少し手を入れて行くとぐっと良くなる印象でした。残念に思った部分ですが、剣帯の革の素材感は色を変えていただくと、鎧と剣は別の職人が作ったかもという背景のストーリーを感じさせる事ができたのではないかと思いました。他にも意見として出たのは、髪の生え際の処理です。左肩のリムの色と髪のリムの色にも統一感が欲しいと思いました。
【 exsa 】
形状、質感共に丁寧に作られており、作品としてまとまっていると思いました。髪の生え際の処理が少し気になったくらいです。ネット上の作品も拝見させて頂きましたが、同じようなカメラのものが多いので、違う構図や表情、ポーズなどを付ける事でより良い作品になるのではないかと思います。
この度は「WHO'S NEXT?」9位を頂けましてスタッフ、審査員の皆様誠にありがとうございます。作品製作をする中でこのようなコンテストに出ると、貰えるコメントや順位等の結果で自分がより客観的に見ることができ、自分の妥協した点や頑張ったところ考えていなかったところ等沢山の気づきがありました。この反省を活かし今後も頑張っていきたいと思います。
第9位:『2面』 獲得点数:17点
平田 翼さん(デジタルハリウッド大学 )
●作品解説
海岸沿い、商店街をテーマに制作しました。
●使用ツール
Maya, Substance Painter, Mega scan, Photoshop, After Effects, Redshift, Marvelous Designer
●審査員コメント 抜粋
【 トランジスタ・スタジオ 秋元純一 (CGディレクター・取締役副社長)】
まず感じるのは、露光の上手さだと思う。一枚の絵としてリアルさがある。意外とCGだけでは難しいが、きちんとポスト処理が入っていて説得力がある。その分、逆に細部が気になってしまうのは、もはや称賛だと思う。
【SAFEHOUSE inc. 鈴木卓矢 (取締役/背景モデリングSV)】
凄く写実的な作品ですね。街の雰囲気が良く出ていると思います。モデルもライティングも丁寧に作られています。壁のノーマルマッピングをもう少し弱めると、スケール感がもっと出ると思います。それと全体的にモデルが固いですね。素直というかCGっぽいというか。面取りの幅などに気を付けるとCG感の硬さが抜けていくと思います。
【 Niantic 行弘 進 (Art Director)】
よく細かい所までモデリングされてると思います。セット自体は良く出来ているのですが、ライティングがその良さを活かしきれてない感じがします。奥に見える明るい太陽の光が手前の道路まで伸びていれば、その分様々な影が生まれ、もっと魅力的な絵になるかもしれません。また太陽がこの位置にあるのに、上空の白い霧の様な空に矛盾を感じます。ライティングに統一感を出し多少コンポジットで調整するだけでも、劇的にフォトリアルな絵になると思います。モデルのベースはいいのでレベルアップ要素として、真っ直ぐなラインを出来るだけブレイクアップさせたり、もっと歪みを付けたりするだけで、さらに説得力のある物になると思います。
【 StealthWorks. 米岡 馨 (代表取締役 FXスーパーバイザー)】
ぱっと見の何気ない古い商店街の一瞬を切り取ったリアリティが素晴らしい。ただ古い商店街は経年劣化が激しいので、もっとシルエットがノイジーになるはずだが、モデルがやや直線的なのがもったいない。電線のたわみが無いのも気になる。また焼き鳥屋の換気口から煙を出すなどのエフェクトがあれば、絵の完成度がより増すであろう。
【神央薬品】
レイアウトが自然で素晴らしいと思います。ただちょっと綺麗すぎるのが惜しいと思いました。テクスチャや物の配置の仕方等で使用感が出せればもっと良くなると思いました。
【ディレクションシーズ】
とてもリアルで、明暗のバランスが良いですね。コーンの隣の植物が発光しているように見えたり、ポリバケツの反射が強すぎたり、気になるところもありますが、色使いや雰囲気づくりのセンスを感じました。奥が海というより、何も作っていないように見えるのも残念。
【スマートエンジニア】
どこにでもある街角のワンシーン。明け方でしょうか、朝帰りの人が出てきそうです。というくらい想像をかきたてさせる作品です。作りこみもよくできていていますが、下手の路地抜けにも何かあればもっと良くなるのでは。。。
【DCG Entertainment 】
古びた商店街がうまく表現されて、絵として纏まっていると思います。錆の表現や汚れなど、細部まで作り込まれていてとてもリアルに感じます。細かいところですが、道路標識が他と比べて綺麗なのと、カメラを向いているように見えるので、もう少し調整するとより良くなりそうです。雰囲気が出ていて良いですね。
講評コメントをくださった皆様ありがとうございました。今回の反省点を今後の作品制作に活かしていきたいと思います。