CGアーティストのケロロケ CG Anatomy氏は5月23日(木)から27日(月)にかけて「トポロジーtips」と題した4つの投稿をXにポスト。Blenderを中心としたトポロジー(ポリゴンメッシュの構成)のルールやリダクションの方法などをわかりやすく画像にまとめて好評を博し、国内のみならず海外からもアクセスを集めている。ここでは、本人のコメントを交えて各投稿を紹介する。

「頂点の名称がわかりにくいものばかりだったので、自分で勝手に名前をつけたのですが(笑)、直感的でわかりやすいと思っています。これが普及すればモデリングのやり取りが円滑になるかなと」(ケロロケ氏)
「これは体の曲線など、『ここを滑らかにしたい!』というところでよく使います。カーブのつくり方はいろいろあるのですが、この手順が一番わかりやすいと思います」(ケロロケ氏)
「これはポリゴンの減らし方ですね。逆手順でポリゴンを増やすこともできます。三角形をつくらずにポリゴン数を増減できるので気持ちが良いです」(ケロロケ氏)
「五角形は三角形と四角形に分けられるということを表したものです。五角形をどう処理するかはよく悩んでいたので、簡単な処理法としてまとめました」(ケロロケ氏)

トポロジーTips⑤はBOOTHで販売中の「krrk素体 15体+トポロジー解説書」の購入者特典となっている。

ケロロケ氏はBlenderでのモデル制作を生業とする傍ら、自身のハンドルネーム内に「Anatomy」とあるように、京都芸術大学イラストレーションコースにて美術解剖学の非常勤講師も務める。

美術解剖学に傾倒したきっかけは「イラストが上手く描けなくてイライラしたからです。美術解剖学を勉強したら勝手に上手くなるだろ! くらいの気持ちで勉強を始めました(笑)。Blenderを触り始めたきっかけも、イラストで小物を描くのが面倒だったからで、どちらも動機が不純ですね(笑)」とケロロケ氏。

同氏はそのスキルを活かして、X上で美術解剖学に準拠した素体のトポロジー解説を展開。素体モデルとのセットや、美術解剖学モデルなどのBOOTHでの販売も行っている。その積極的な情報発信についてケロロケ氏は、「『バズったらいいなぁ』くらいの感覚で、気高い動機とかはないです(笑)。見てくれてる方は、イラストレーターやモデラ―の方が多い気がします。特に反響が多いのは、人体の複雑な形状を単純化したコンテンツですね」と話す。

トポロジーについては「パズルみたいで面白い。三角形をできるだけ使用せずに綺麗な形状をつくるのが楽しくてやってます。あとは、解剖学的要素をどうやってトポロジーで表現できるかを考えるのも楽しいです。あまり役に立たない技術というのがまた面白いなと(笑)」と、楽しむことを第一に取り組んでいる。

※画像内、「鎖骨上窩」について、正しくは「後頸三角」

クリエイターとしてはwanoco4D氏Ixy(いくしー)氏双葉陽氏から特に影響を受けたというケロロケ氏。「特にwanoco4Dさんの作品を初めて見たときは、あまりの衝撃に椅子から転げ落ちて隣町まで転がりました(笑)。CGを本格的に始めることになったきっかけのひとつですね」。

BOOTH
https://krrk.booth.pm/

ココナラ
https://coconala.com/users/2259498

※掲載画像は全てケロロケ CG Anatomy氏のX投稿より引用

CGWORLD関連情報

●Blenderでキラキラ輝く女性のメイクを表現したChris Jones氏にインタビュー! 制作経緯から苦労したポイント、今後の展望まで

「Glitter」と題した見事なメイクアップのアニメーション動画をYouTubeに投稿したChris Jones氏へのインタビュー記事。
https://cgworld.jp/flashnews/202405-CJones-Glitter.html

●独特の空気感をBlenderとAfter Effectsで表現 映画『クラユカバ』『クラメルカガリ』

Blenderの劇場長編アニメーション映画での活用の様子がわかるメイキング記事。
https://cgworld.jp/article/309hs1-kurayukaba.html

●Blenderで広がったキャラクター創作の世界~VRChat用アバター頒布で活躍する かめ山・キツネツキ両氏に訊く(MC:和牛先生)~Blender Fes 2024レポート

2024年3月末に開催されたBlenderユーザー限定の技術交流イベント「Blender Fes 2024」のセッションレポート。VRChat用アバターの制作・販売のいきさつからBlenderでの制作ノウハウまで、活躍中の3DCGモデラー2名に伺っている。
https://cgworld.jp/special-feature/blendefes2024report.html

●デジタル・ドメインのリード・リガーJeremy YeoKhoo氏がHoudini 20のMuscles & Skinをテスト 解剖学的に正確な肩周りの人体リグを構築

Houdini 20の新機能を使って高品質な解剖学的リグを構築したJeremy YeoKhoo氏のテスト投稿について、氏の解説を翻訳しレポート。
https://cgworld.jp/flashnews/202405-DD-Houdini.html

●BlenderでCGをはじめよう!ゼロから学ぶ3DCG教室

株式会社ブルームスキームの實方佑介氏によるBlenderのチュートリアル。
https://cgworld.jp/course/online/blender/