オートデスク株式会社は7月31日(水)、Maya 2025.2 Updateをリリースした。新機能としてMLデフォーマが搭載され、USD for Maya 0.29、LookdevX for Maya 1.5.0、Arnold for Maya 5.4.2.1などの更新、いくつかのバグフィックスが実装されている。

MLデフォーマ(Machine Learning Deformer)

機械学習に基づき複雑な変形を近似することで、迅速かつインタラクティブなアニメーションを生成できる新デフォーマ。群衆シーンや背景など、精度を重視しないキャラクターアニメーションを素早く制作するツールとして利用することを想定している。

先日開催されたSIGGRAPH 2024においてオートデスクは、MLデフォーマの搭載はWonder Dynamics社の吸収合併に伴うものだと述べている。

参考:Autodesk announces AI workflows for artists and producers at SIGGRAPH 2024(Autodesk)
https://adsknews.autodesk.com/ja/news/siggraph-2024/

同記事でオートデスクのM&E部門VP  Content Creation、Eric Bourque氏は、

“Artist’s time is the most valuable resource for our customers. Being able to bring them AI tools to augment their creative process unlocks a host of new possibilities. They can spend more time iterating on their creative ideas, and less time on repetitive tasks.”



「アーティストの時間は、お客様にとって最も貴重な資源です。彼らの創造的なプロセスを補強するAIツールを提供することで、新たな可能性が広がります。彼らは創造的なアイデアの反復により多くの時間を費やすことができ、反復的な作業に費やす時間を減らすことができます」(DeepL翻訳

と語っている。

●参考:オートデスク、Wonder Dynamics社の吸収合併を発表 クラウドベース・AI活用のCG実写合成ソリューション「Wonder Studio」の開発元(CGWORLD.jp)
https://cgworld.jp/flashnews/202405%E2%88%92Autodesk%E2%88%92WD.html

USD for Maya 0.29

USD(Universal Scene Description)プラグインがアップデートされ、USDブレンド シェイプの読み込みが可能となった。全アトリビュートを保持したまま、USDブレンド シェイプをMayaブレンド シェイプに読み込むことができる。

LookdevX for Maya 1.5.0

シェーディングネットワークをグラフ化してUSDオブジェクトのマテリアルを作成できるルックデブシステムLookdevXもアップデート。ランプノードが導入され、グラフ内でグラデーションが作成できるようになった。その他、異なるタイプのノード接続の自動調整、コンバータユーティリティノードを使った手動でのノードタイプの変換も可能となった。なお、Maya 2025.1からはMaterialXデータモデル使用時、ビューポートにArnoldマテリアルが表示できるようになったが、今回新たにShuffle、Bump2d、Rangeノードもその対象となった。

Arnold for Maya 5.4.2.1 プラグイン

Arnoldプラグインには、トゥーンのトーンマッピング、ボリュームのノイズ除去の改善、ライトリンクのグローバル ライト サンプリングのサポート、OSLの相互運用性の改善、OpenVDB 11の更新などが実装された。





全更新内容は下記オートデスクのリソースを参照してほしい。

●Maya 2025.2 リリース(AREA Japan)
https://area.autodesk.jp/product/maya/features/2025-2/

●Maya 2025.2 Update の新機能(Maya ヘルプ)
https://help.autodesk.com/view/MAYAUL/2025/JPN/?guid=GUID-8F2F2F6D-3BC7-438A-A4E9-0796488B84F1

CGWORLD関連情報

●ジェットスタジオ赤崎氏によるBifrostチュートリアルがAREA Japanで連載開始! 8月にはCEDECにも登壇

ジェットスタジオのCGディレクター赤崎弘幸氏が7月からチュートリアル記事「Bifrost for Maya Rigging Challenge~一歩先のリグ・アニメーションに挑戦~」の連載をスタート。
https://cgworld.jp/flashnews/202407-Bifrost-Jet.html

●Maya 2025.1 リリース! LookdevX・Bifrost・USD for Maya・Substanceなど広範囲に更新

2024年5月にリリースされたMaya 2025.1 Updateの更新内容からポイントをピックアップして紹介。
https://cgworld.jp/flashnews/202405-Maya2025-1.html

●プロダクションにおけるチーム、ワークフロー、データ連携を実現する「Autodesk Flow」とは何か?

オートデスク M&E部門 EVP、ダイアナ・コレラ氏のインタビュー記事。当時のWonder Dynamics社との協業についても触れている。
https://cgworld.jp/article/autodesk-flow.html

●Maya、3ds Maxの最新開発事情は?オートデスク バイスプレジデントに聞く、 コロナ禍で激変する世界のユーザー環境とメディア&エンターテインメント製品開発の最前線

オートデスク M&E部門 VP(Vice President)を務めるモーリス・パテル氏(Maurice Patel)に、グローバルのユーザー動向や最新の開発事情を聞いたインタビュー記事。
https://cgworld.jp/article/autodesk-202304.html

●オートデスク製品の進化、USDやMaterialXへの適応とBifrostの機能とは? ~ Autodesk Day 2023(4)

CGWORLDとオートデスクのオンラインフェス「Autodesk Day 2023」内のセッション「オートデスクのオープンスタンダード対応とBifrostテクノロジーアップデート」のレポート記事。オートデスク製品の最新情報を、同社M&E テクニカルセールス マネージャの渡辺揮之氏が詳説した。
https://cgworld.jp/special-feature/202309-autodesk-day-bifrost.html