ドラゴンライダー → バイクライダー → 2人乗り
C:ちなみに、できあがったモデルをアニメーターに引き継いだ後、調整を依頼されることはありますか?
T.M:ありますよ。
C:やっぱりあるんですか。
N.T:デザイナーまで戻されることはほぼないですね。
T.M:大抵の場合は3D側で何とかします。激しいアクションをするキャラクターの場合は、めり込みが発生して見栄えがよくないといった問題が起こりがちです。そういうときは、ちょっとしたウエイトの調整、位置や大きさの変更などで不具合を解消するケースが多いです。例えばスカートの形をちょっと広げて可動域を増やすといったことはよくやります。その場合も「ちょっとシルエットが崩れちゃうけど、可動域を優先しよう」といった優先順位の話をすることになります。
C:モデラーとアニメーターの間でも、意見のすり合わせが行われているわけですね。
T.M:『白猫シェアハウス Season2』では、「レイン」のバイクの調整に時間がかかりました。もともと『白猫プロジェクト』には数多くのジョブがあり、ジョブごとに共通のボーン構造やモーションを使っています。その中の1つに「ドラゴンライダー」というドラゴンに乗って戦うジョブがあるのですが、「レインには、ドラゴンではなくバイクに乗って戦わせよう」という話になりました。
C:ドラゴン用のボーンとモーションでバイクを動かすのは無理がありそうですね。
T.M:モデラーだけではどうしようもなかったので、アニメーターに依頼して、新しいボーンとリグを組み、調整してもらいました。
N.T:最初はバイクの前輪が生き物のように動いていたので、調整がすごく大変だったみたいです。ほぼ新規に開発することになったのですが、ユーザーさまには喜んでもらえましたね。
C:「バイクに乗って戦う」というアイデアを聞いた時点で、T.Mさんは準備を始めていたのでしょうか?
T.M:時間がかかることは予想できたので、デザイン画の完成を待たずに仮モデルをつくり、検証を始めました。ドラゴンがバイクになったことで、プランナーからは「2人乗りできるスキルを追加しよう」というアイデアも出たりして、大変ではありましたが、いい方向に進展していったと思います。
▲【左】「レイン(私服)」とドラゴンのリグを表示したMayaの画面/【右】同じく「レイン(私服)」とバイクのリグを表示したMayaの画面。ドラゴンのリグを流用すると不自然なモーションになるため、バイク専用のリグが新規に開発された
▲【左】ゲームのバトル画面における「レイン(私服)」とバイク/【右】バイクに2人乗りできるスキルも追加された
▲ゲームのバトル画面における「レイン(私服)」と2人乗りのバイク
N.T:モバイルゲームはユーザーさまの反応がダイレクトに返ってくるので、施策が成功したときの喜びは大きいですね。新しいキャラクターが魅力的だったときには、すごくユーザーの皆さまが喜んでくれて、SNSやWebサイトに書き込みをしてくれます。グッズを販売したり、期間限定のカフェをやったりした際にも、たくさんの反響をいただきました。最近はキャラクター宛のファンレターをくださる方までいます。そういうユーザーの皆さまの期待に応えるべく、今後も感情を揺さぶる施策を展開していきたいです。