ZBrushマスターとして独特の存在感を放つVillard・岡田恵太が、ZBrushを用いた勢いのある造形テクニックを毎月紹介していく本連載。今回は、リアル寄りの「ドラゴン」をイメージして制作しました。
TEXT_岡田恵太 / Keita Okada(Villard Inc.)
EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(@UNIKO_LITTLE)
どっしりとした存在感を表現する
今回は、これまでの連載でも何度か制作している「ドラゴン」がモチーフです。どちらかというと、ファンタジーというより「リアルめ」なドラゴンのイメージに振ってみました。筆者の荒々しいテイストで短時間に制作するのを意識して進めました。ドラゴン全体を制作するのではなくバストアップに絞って作業を行いました。
●過去のドラゴン作品
・Vol.22 Dragon phantom beast[ドラゴン]~Concept Model
・Vol.16 Dragon and Beauty [ドラゴンと美]~Concept Model
・Vol.15 Dragon phantom beast[ドラゴン 幻獣]~Concept Model(2/2)
・Vol.14 Dragon phantom beast[ドラゴン 幻獣]~Concept Model(1/2)
・Vol.11:Dragon phantom beast[ドラゴン 幻獣]~Concept Model
主要な制作アプリケーション
・ZBrush 2021
・KeyShot 8
STEP 01:上半身のラフモデルを作成
頭部から詰めてイメージを固めていくのですが、まずはベースとなる上半身をざっくりと作成しましょう。あくまでもベースなので、かなりざっくりとした感じで大丈夫です。
▲【1】頭部まわりを作成していきます
▲【2】ざっくりと身体を作成します
▲【3】少しずつ頭部を整えていきます
▲【4】身体も少し整えます
STEP 02:頭部の造形を進めていく
上半身のラフができてきたら、頭部から造形を整えつつデザインを詰めていきます。「雰囲気重視」なので、荒く盛る感じでザクザクと造形していきます。
▲【1】眼と歯を追加しつつ頭部を整えていきます
▲【2】狂暴そうな雰囲気を探っていきます
▲【3】アルファとSnakeHookブラシを頻繁に使いながらディテールを入れていきます
▲【4】造形の流れに合うようにディテールを入れていきます。細かいトゲも追加します
▲【5】背中にも大きめのトゲを作成します
▲【6】顔のディテールを詰めていきましょう
▲【7】いかつさを出すため、さらに頭部を中心に全体的にトゲを追加していきます
STEP 03:身体の造形を進める
頭部の造形がだいたい整ってきたので、身体にもディテールを入れていきます。完成イメージとして身体部分は被写界深度によりボケる上、あまり多くを見せる予定ではないのでざっくりとした雰囲気でディテールを入れていきます。
▲【1】身体の造形を整えます
▲【2】アルファをメインに身体にディテールを入れていきます
▲【3】よりいかつさを出すため、身体にもトゲトゲしさを追加していきます
▲【4】全体を見ながらディテールを見直します
STEP 04:ポーズを付けてレンダリング
造形が完成したら、軽くポーズをつけてKeyShotでレンダリングします。今回のポージングは、少し首から頭を横に振るくらいです。
▲【1】頭を軽く横に振ります
▲【2】モデルは完成です
▲【3】最後にレンダリングを行なって完成です
やはりドラゴンは何度作っても楽しいものですね。「ドラゴン」という同じモチーフですが雰囲気は少しずつ異なり、同じモチーフでも様々な色を出せるのはドラゴンの魅力の1つでもあります。
Profile.
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岡田恵太/Keita Okada(Villard Inc.)
デジタルスカルプター、3Dコンセプトアーティスト。1991年7月生まれ、広島県出身。2012年大阪の専門学校を卒業後、大阪のゲーム会社に就職。2013年に退職し上京した後、1年ほど建設現場の作業員(荷揚げ屋)などをしながらZBrushを独学で習得し東京のゲーム会社へ就職。2015年からフリーランスとなり、PS4用ゲームのDLC『Bloodborne The Old Hunters』をはじめ主にクリーチャーなどのコンセプトモデルを手がける。2017年3月、新会社「Villard」を設立
www.artstation.com/artist/yuzuki
www.villard.co.jp