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第2回:カラーマネジメントの色基準〜カラープロファイル

第2回:カラーマネジメントの色基準〜カラープロファイル

色温度とガンマ値

続けて、プロファイルの 3 要素が分かりやすい角度にしてみましょう。まずは「色空間を横から見たところ」(下・左)です。上の頂点はこのプロファイルが表現することができる最も明るい点「メディア・ホワイトポイント」を表しています。よく聞く言葉の 色温度 と同じです。この点が上に移動するとより明るい白になり、横にずれると青白くなったり(色温度が上がる)、電球色になったりします(色温度が下がる)。そして、下の頂点が最も暗い点「メディア・ブラックポイント」を表しています。マットの紙にプリントすると黒がグレーっぽくなったりした経験がありませんか? これはこの頂点があまり低くないことを表しています。

色空間を横/上から見たところ

色空間を横から見た図(左)と、上から見た図(右)。側面から見た場合、最も明るいメディア・ホワイトポイントが最上部に、最も暗いメディア・ブラックポイントが一番下に来る
 

次に、「色空間を上から見たところ」(上・右)です。真上から見ると Red、Green、Blue の 光の 3 原色 がよく見えます。それぞれの頂点が最も純粋な色を示しています。この場所が中央から離れれば離れるほど、より強烈な色になっていきます。何とも表現しづらく、この表現も厳密には間違っているのですが、「彩度が高くなる」と考えると覚えやすいと思います。

3 つ目の要素「ガンマ」です。ガンマは RGB それぞれに設定されています。3ds Max のレンダリングメニューから設定するガンマは 3 色ともに同じ値で設定をしています。このガンマですが、元々は ブラウン管 というアナログデバイスの特性を打ち消すために設けられたものでした。下の図は、Adobe RGB の Red のガンマカーブで、ガンマ値は 2.2 です。つまり入力値が「0.5」の場合、出力値は「0.22」なるといった具合に、入力値と出力値が一致せずにカーブに沿って変化していくことになります。

Adobe RGBのガンマカーブ(Red)

Adobe RGB・Redのガンマカーブ。
 

ガンマ値が小さくなるとこのカーブは緩やかになっていき、リニア(ガンマ 1.0 )になると直線になり、入力値と出力値が一致します。今回は、モニターをはじめとしたデジタル表示デバイスには必ずガンマがかかっており、おおかたの基準は「2.2」になっているということを覚えておいてください。

最後に、プロファイルに関連した、3DCG にとって大事なことに触れておかないといけません。このプロファイルを使ったカラーマネジメントは、Mac OS や Adobe Photoshop 等のソフトウェアではずいぶん前から搭載されていました。Windows も XP から搭載されています。そして、主要な 3DCG ソフトでは、冒頭で述べた通り Max はバージョン 2009 から、Maya は2011から搭載されました。しかし、Maya は ICCプロファイルによる管理を行いますが、Max は今のところガンマしか管理することができません。つまり、メディア・ホワイトポイントと RGB 各色などの管理は行えないため、正確な色管理ができないのです。
ですが、安心してください、これら 2 点については、他の仕組みで補うことができるのです。具体的な方法もこの連載で順に紹介していきますよ。さて次回は、カラマネに必要な機材について詳しく解説していこうと思います。カラマネ導入が既に進んでいる広告・印刷業界で定評のある機材を対象に、どうしてそれらが選ばれるのか、プロが導入している実際の評価方法などにも触れながら解説していきますので、どうぞご期待ください。

TEXT_長尾健作(パーチ)

▼Profile


長尾健作(ながおけんさく)
広告写真制作会社(株)アマナにて、3DCG 制作などの事業立ち上げを行なった後、(株)パーチ を設立。広告業界・製造メーカーに向けて、3DCG による新しい広告制作手法の導入/制作サポートを手がける。各種セミナーでは、制作業務の効率化・コスト削減を実現するためのノウハウを提供。「3DCGのためのカラーマネジメントセミナー」も定期的に開催している
 
 

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