>   >  どこに行けば、キャラクターをつくれますか?:No.02(前編)>>コロプラ
No.02(前編)>>コロプラ

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男性受けする要素と、女性受けする要素はちがう

C:デザイナーに委ねられている裁量がすごく大きいですね。

N.T:そうなんです。詳細まで完全に決まっていることはほとんどありません。デザイナーから発信する機会が非常に多い点は、大きなやりがいになっています。モバイルゲーム開発は決めるペース、つくるペースが速いですから、それだけチャンスの数も多いです。今回の場合だと「テーマは現パロで、メインキャラクターはツキミ、レイン、オスクロルにしましょう」という大枠だけが決まっていたので、そこから先はデザイナーたちで考えていきました。

Y.A:ファッション誌を買ってきて、どんな服が似合うかほかのデザイナーたちと話し合いながら、かなりのパターンをデザインしました。

N.T:「レインの私服はいかつい感じだから、漫画を描いているときは真逆の印象にしたい」「髪を下ろして、やわらかいニットを着せるといい」などなど......。女性デザイナーが集まって、熱心に話し合っていました。私なんかは圧倒されてしまい、「いいんじゃないかな」としか言いませんでした。ただ「オスクロル」に眼鏡をかけさせてほしいというのは、男性デザイナーからのリクエストでした。

C:光景が目に浮かびます(笑)。男性デザイナーと女性デザイナー、両方の意見が混ざり合い、デザインが仕上がっていくわけですね。デザイン画を描くときには、どんな風に作業を進めるのでしょう?

Y.A:雑誌を見たりインターネットで検索したりしながら、色々なパターンの服を組み合わせ、合いそうなものを探っていきます。『白猫シェアハウス Season2』のときは、1ヶ月くらいの間に何十枚ものデザイン画を描きました。特に「レイン」は数が多く、30枚は描きましたね。「オスクロル」も結構描いたように思います。

▲Y.A氏がデザインの初期段階で描いたラフ。「ツキミ」は大きな方向性の変化がない一方で、「レイン」と「オスクロル」のバイト服は決定稿と大きく印象が異なる


▲【左】従来の「オスクロル」のコスチューム/【右】新たにデザインされた「オスクロル」の「バイト服」


▲【左】同じく「オスクロル」の「私服」のボツデザイン/【右】「オスクロル」の「私服」の決定稿。「仕事はオフィスでしっかり働き、オフでは皆から甘えられる優しいお姉さん的なイメージを出すため、「バイト服」は黒い衣装、「私服」は白い衣装にしています。当初の「私服」は上下セパレートで、大人な印象のデザインにしていました。このデザインは女性には好評だったのですが、男性から見ても、もう少しとっつきやすく、やわらかい印象になるよう白いワンピースに変更しました。装飾の少ないシンプルなデザインなので、女性から見ても好印象なラインだと思います」(Y.A氏)


C:デザインをする中で、どんなことを難しいと感じますか?

Y.A:女性のキャラクターをデザインするとき、女性から見たら可愛いけれど、男性から見たらそれほど可愛くないというケースが結構あります。男性受けする要素と、女性受けする要素はちがうので、それをすり合わせ、両方に喜んでもらえるデザインにすることが難しいですね。

C:それほどはっきり男女で意見が分かれるものですか?

Y.A:分かれる場合が多いです。だからN.Tをはじめ、社内の男性デザイナーに意見を聞くようにしています。

N.T:『白猫プロジェクト』は男性のユーザーさまが多いので、男性が見て共感がもてるデザインにすることは非常に大切です。女性デザイナーには理解しきれない部分もあると思うので、そこは男性デザイナーがフォローするようにしています。

C:自分の好みや価値観だけで判断せず、ターゲットが喜んでくれるデザインにする必要があるわけですね。

N.T:Y.Aにはデザイン画に加え、スチル絵や背景画も担当してもらいました。スチル絵では、キャラクターたちが花火を見たり、シェアハウスで共同生活したりする様子を描いています。

Y.A:スチル絵は10枚くらい担当したと思います。ストーリーと密接に絡み合うので、シナリオライターと話しながら「こういうシーンなら、こんな絵にしよう」という具合に方向性を決め、ほかのデザイナーと一緒に仕上げていきました。

C:キャラクターの暮らしぶりまで考えてデザインしているからこそ、スチル絵の具体的な提案もできるわけですね。

▲Y.A氏が担当したスチル絵


▲【左】同じくスチル絵/【右】同じく背景画


C:Y.Aさんの今後の抱負を聞かせていただけますか?

Y.A:先々では、最初に施策の内容を考える段階から関われるようになりたいです。

N.T:Y.Aはデザインに対して真摯な考え方をもっており、わかりやすさや、ユーザーさまがどう思うかという点にすごく思いを馳せて仕事をしてくれます。加えて絶対に手を抜かず、自分が納得するまでやり続ける粘り強さをもっています。欲を言うと、受け取り手のことを考えるだけでなく、そろそろ自分の主観や地も出していいのではと思いますね。「こういう世界観の、こういうルックの、こういうゲームにしてみたい」と意見を上げてくれれば、われわれはそれをキャッチして、一緒に新しいものをつくっていきたいと思っています。



前編は以上です。後編では、キャラクターデザインが完成した後、それを3D化するモデリングの仕事を紹介します。ぜひお付き合いください。
(後編の公開は、2018年2月15日を予定しております)

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