2025年度、第1回目の開催となる学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」。テーマは「3DCGを用いた静止画作品」。
今回も「キャラクター部門」「背景・プロップ部門」に分けての募集で、キャラクター部門61点、背景プロップ部門165点の、合わせて226点の作品が集まった。審査は国内外の特別審査員11名+企業審査数18社によって行われた。このページではキャラクター部門の優秀賞&審査員講評コメントをご紹介しよう。
※講評コメントは全て原文ママ
■作品募集ページ
■結果発表イベント

CGWORLD JAM ONLINE 2025
https://cgworld.jp/special/jam/
■背景・プロップ部門結果ページ
■作品応募条件・審査方法について
応募作品テーマは「3DCGを用いた静止画作品」。審査員はいずれも全作品の中からお気に入りの作品を選び、持ち点20の中から配点する。合計得点の高い作品から表彰されるシステムとなっている。参加対象は小・中・高校生から専門学校生、大学、大学院生など教育機関在学中の方が対象だ。通学中でなくても、クリエイティブ分野における就業経験のない方であれば応募OKとしている。AIの利用についてはNG。
キャラクター部門 1~10位(優秀作品)
第1位:『赤い糸』 獲得点数:72点

河野ゆり さん(ASOポップカルチャー専門学校)
キャラクターモデラーを目指しています。セルルックのモデルを作ることが好きで、イラストのような一枚絵に仕上げることをこころがけています。
●作品解説
タイトルの「赤い糸」は、二人が持っているあやとりと運命の赤い糸の二つのことを指しています。あやとりで無邪気に遊ぶ男の子と、男の子のことが気になっている女の子という絵にしたかったので、二人の表情や目線の違いをこだわって制作しました。
●使用ツール
Blender, Photoshop, 背景の木のモデルはpolyhaven様の無料モデルを使わせていただきました。
●審査員コメント 抜粋
▼【秋元純一 氏(トランジスタ・スタジオ/CGディレクター・取締役副社長)】
なんとも甘酸っぱく、微笑ましくもある瞬間をうまく切り取った作品に仕上がっていると思う。キャラクター性をきっちりと画に落とし込んでいる為、パッと見ただけでストーリーを認識できる様な入り込みやすさもこの作品では重要な事だと思う。レイアウトとしてはそこまで悪くないが、少々素直すぎる部分もある。これは客観視としてのレイアウトなので、実は手前の防止やペン立てなどは、もっと大胆気味に被せてもいいかもしれない。手前のオブジェクトから垣間見えるストーリーという所で、それが客観視を増大させ、甘酸っぱさや微笑ましさなど、そういった感情的なものをより膨らませてくれると思う。
▼【伊藤より子 氏(ビジュアルデザイナー・講師)】
とても生き生きとした、可愛らしい二人のキャラクターが完成していますね。2D表現を使いながらも、細部に大きな配慮がなされている作品です。キャラクターのポーズも的確で、背景とのバランスも良く、素晴らしいプレゼンテーションです。ライティングもとても良いと思います。
▼【しいたけデジタル 宮武徹夫 氏(CGプロデューサー)】
幼稚園の一場面を温かみのあるタッチで描いたキャラクターCGで、非常に完成度が高く、見る人にやさしい印象を与えます。キャラクターの表情やしぐさが生き生きとしており、子どもたちの純粋なやり取りが丁寧に表現されています。柔らかなライティングと背景の桜や動物モチーフが春らしい雰囲気を演出し、空気感や時間帯まで感じられる構成になっています。画面構成もバランスがよく、視線誘導が自然であり、観る人の目を飽きさせません。さらに、服の質感や文房具、教室の備品などの小物の描写も細やかで、リアリティと愛らしさを兼ね備えています。今後は影や質感のバリエーションをより工夫することで、さらに深みのある表現が可能になるでしょう。全体として、ストーリー性と技術力を兼ね備えた、心に残る優れた作品です。
▼【白組 小池 学 氏(Producer/CG Supervisor)】
キャラクターの表情やポージング、手の形や指先の繊細な角度、背景と色使いまでとても細かく作り込まれており、状況と感情の表現が素晴らしいと感じました。奥の本の背表紙もボケて見えなくなりますが、ちゃんと違う本が並べられているのが分かるし、幼児向けの本特有の高さや長さがまばらなのもよく気を配って作られているなと感心いたしました。
更に作り込むとすれば、手前のナメものにシンメトリー感があるのでシモテの帽子はもう少しカメラ手前に置いて、ボケがキャラクターに少し被るくらいにすると、瞬間を切り取った感がより出てくると思います。また男の子の顎が首回りと重なってシルエットが潰れがちなので、少し頭か首の角度を調整して紺色の襟もとと重ならないようにすると、シルエットがさらに見やすくなりそうです。
▼【Million Edge 白水正剛 氏(代表取締役)、吉田悠人 氏(アートディレクター)】
心が暖かくなる作品だと思いました。キャラクターに沿った背景や小物類、色使いも上手で、物語性も好感を持てました。それら一つ一つが丁寧に作成されているのも素晴らしいです。また、タイトルに沿った絵づくりがされており、キャラの表情や視線、小指で赤い糸を紡ごうとしているシーンなど、ストーリー性が見え好印象です。構図に関して、強いていうのであれば2人ともに均等に焦点が合っているので、普通な印象になっています。もう少し男の子側からのカメラにして被写界深度で男の子を少しボカし女の子の動作に注目させるなどの調整を行うとさらにドラマチックな演出が出来るかも?しれません。シーンを切り取った一枚絵の場合は、クオリティが高いと言われているアニメ作品などを参考にし、視線誘導を意識出来る様になると更に良くなっていくと思います!
▼【コロッサス デザイナー一同】
絵としてのクオリティはさることながら、キャラクターたちのストーリーなども考えさせられる非常に魅力的な一枚絵です。キラキラした顔の無邪気な男の子と、光と影の比重を見るに女の子の隠したいけど隠し切れない思い、2人の関係性がとにかくかわいいです。この子たちをずっと見守っていたいと思わせられました。構図・表情・仕草・時間・柔らかな空気感・ストーリー性どれをとっても素晴らしく、表情や光の当て方がとても上手で、部位ごとにラインの色を変えて表現している点もクオリティのアップに貢献しています。背景にも丁寧なこだわりが見られ、影の移り変わりからはレンダリングにも工夫を加えていることが伺え、非常に好印象です。近景物のブラーが不自然に切れている点や、髪の毛が一部肌と同化しているように見える点など細かい点に意識されれば更に良い作品になると思います。
▼【プロダクション・アイジー 足立博志 氏(モデリングディレクター)】
キャラクターのデザインや造形がとても良く、ポーズにも躍動感があり、周りの小物など全てがしっかりと作りこまれていて、更に深いストーリー性も描かれていて、二人の将来がここでもう決まってしまうのか、と想像が膨らみます。画面構成も良く、絵作りのクオリティの高さに圧倒されます。
▼【ジェットスタジオ 石井 裕 氏(CGディレクター)】
キャラの表情が活き活きとしていて、見ている人を自然と笑顔にさせる作品だなと感じます!一枚絵だけで感情を刺激できるのは凄いと思います。このまま映像作品も見てみたいなと感じる出来栄えでした。
▼【KASSEN 金谷健太郎 氏(CGアーティスト)、森 康汰 氏(コンポジター)】
画としてのルックがしっかり確立されていて、まず全体的な世界観の統一感がとても良いなと思いました。色味の温度感がちょうどよく、やわらかくて温かみのある空気が伝わってきます。表情やポーズにも個性が出ていて、見ていてすぐにキャラクターの気持ちや関係性が想像できるのがとても魅力的でした。特に、あやとりの仕草や目元、表情のニュアンスなどが細かく表現されていて、生きているキャラクターとして成立しているのが素晴らしいです。光の演出も上手で、ほこりや差し込んだ光などが自然に画の中に溶け込んでいて、空気感や時間の流れのようなものが感じられました。陰影の境界に温かみのある色味が入っているのも印象的で、仕上がりの完成度を高めているポイントだと思います。そのうえで、いくつか気になった点としては、構図に少しもったいなさを感じました。手前のオブジェクトがかぶっているのは良いアクセントになっていると思いますが、ややシンメトリーに近い配置になっているのが少し気になる部分でした。もう少しバランス配置を見直すと画面全体がより引き締まるかもしれません。また、手前のペン立てや帽子などの被写界深度がやや不自然に見える箇所もあったので、ボケ方の調整やエッジの柔らかさに気を配ると、手前の処理がより自然になると思います。光に関しては、ゴッドレイが下手にはしっかり感じられた一方で、中央とのバランスに少し差があったので、全体としてのまとまりを意識して調整してみても良いかもしれません。服の重なり部分については、他の柔らかさに比べると少し固く見える箇所があったので、布の厚みや重なりの自然さをもう少し意識すると、より統一感が出てくると思います。キャラクターの魅力がしっかり出ていて、画としての仕上がりもとても丁寧でした!
▼【サイバーエージェント 山田祐輔 氏、松田 空 氏、香取政人 氏、大井翔太朗 氏(3DCGデザイナー)】
かわいらしくてとても素敵な作品だなと感じました。それぞれの登場人物の感情が伝わってくるようで、ストーリー性が感じられます。絵としての完成度が高く、うまくまとまっていると思います。感情に寄せるなら、もっとFOVを短くして広角にし、思い切ってキャラにフォーカスしても良かったかもしれません。
第2位:『ASTRA NEXUS』 獲得点数:69点

DINH VAN KIET さん(ECCコンピュータ専門学校)
私は専門学校の3年生で、リアルなキャラクター表現に力を入れて学んでいます。将来は、ゲーム業界で幅広いスタイルに対応できるキャラクターモデラーになることを目指しています。制作においては、キャラクターのデザインやポーズ、表情を通して、その人物の物語や性格、世界観をどう表現するかを常に意識しながら取り組んでいます。
●作品解説
未来的なダークな世界観を持つ女性サイボーグ暗殺者をデザインしました。人間の身体と機械の融合により、冷たく無機質でありながらもどこか人間らしさを感じさせるキャラクターです。光沢のあるボディスーツは戦闘力とテクノロジーを強調しつつ、身体のラインも際立たせています。生命と機械の対比をテーマに制作しました。
●使用ツール
Photoshop, Maya, Substance 3D Painter, ZBrush
●審査員コメント 抜粋
▼【鈴木卓矢 氏(SAFEHOUSE/取締役・背景モデリングSV)】
とにかくメカデザイン、ポージングなど今回の作品の中で際立ってカッコ良かったです。肉感のある部分と金属の冷たい感じのコントラストがとても良くキャラクターとして魅力的です。
テーマである生命と機械の対比という部分がうまく表現できているのではないでしょうか。メカの細かいデザインや口周りや手の複雑な構造も良くできています。残念な点として金属の造形がポリゴンが足りない部分やぬるい部分がある事です。もうすこしハードサーフェイスのエッジの処理に気を使ってあげるともっといいですね。テクスチャーの解像度ももう2段くらい高解像度でも良いと思います。
▼【伊藤より子 氏(ビジュアルデザイナー・講師)】
ダークな暗殺者というテーマ、そして生命と機械の対比という深いキャラクター性を上手く表現していると思います。女性らしいボディラインと、鋭利な武器や金属パーツとの対比が美しく、バランスよく配置されています。色彩のバランスも素晴らしく、反射を使って色の美しさを引き立てています。ショートヘアは活発的な印象を加え、個性的なプラスとなっています。また、背景の線で動きを与えるプレゼンテーションも効果的です。ポーズ、アングル、ライティングともに完成度が高く、文句なしですね。今後がますます楽しみです!
▼【トゥエンティイレブン 尾関昭宏 氏(CGディレクター)】
純粋にカッコいいです。人体とメカが融合したサイボーグ女性のデザインは、細部まで緻密。関節や装甲の質感などがちゃんと表現できていて、色数のあるライティングも雰囲気をよく出してくれています。またポーズや視線の演出は迫力があり、攻撃性と美しさを両立した造形が目を引きます。ただ、感情や背景に物語性が乏しく、"かっこよさ"一辺倒に見えてしまう点は惜しいところ。
▼【exsa 制作本部モデリング担当】
全体的にクオリティが非常に高く、素晴らしい作品です。肌と無機質な外装の差もよく表現されていますし、ポージングにも動きがあって格好良いです。生え際に一部違和感があるように見えますが、モデル、ライティング、画面構成ともにハイレベルだと感じました。
▼【Spooky graphic ハヤシヒロミ 氏(ディレクター)】
レイアウトやポーズ、質感、色調も上手くまとめられているのが良かったです!メカ部分がもう少し目を惹くデザインだったら、もっと良くなると思います!
▼【トリサン 小谷征史 氏(クリエイティブマネージャー)】
質感や空気感、構図に至るまで丁寧に作り込まれており、完成度の高い作品だと感じました。全体のバランスも良く、制作者の確かな観察力と表現力が伝わってきます。
▼【グラフィニカ 後藤 岳 氏(札幌スタジオ CGテクニカルコーディネーター)】
金属質感を際立たせるライティングとレイアウトが作品の良さを引き立ててます。オーバーペイントされた?ハイライトも面白くていいです。腕のメカギミックは変形を連想させるとより面白いかもしれませんし、握ったらどうなるみたいな形が左手にあったりすると設定としては分かりやすいのかもしれません。メカのギミックデザインの部分で可能性を感じました。
▼【ジェットスタジオ 石井 裕 氏(CGディレクター)】
隅々までデザインされていて抜かりない作品だと感じます!顔の造形やポーズ、色使いなどから恐怖をヒシヒシと感じる絵になっていますね。カッコよくて美しくて少し怖い、色々な感情を刺激してくれる素敵な一枚でした。
第3位:『宇宙服の少女』 獲得点数:59点

篠田隼人 さん(ASOポップカルチャー専門学校)
幅広い業務に対応できるキャラクターモデラーを目指しています。アニメ調のかわいいキャラクターを作るのが好きです。
●作品解説
SF感のある宇宙服の少女をデザインしました。実際の宇宙服のダボっとした感じと、SF作品にみられるピタッとしたスーツの要素を混在させたメリハリのあるデザインを目指しました。
●使用ツール
Blender, Photoshop, Substance 3D Painter
●審査員コメント 抜粋
▼【秋元純一 氏(トランジスタ・スタジオ/CGディレクター・取締役副社長)】
キャラクターデザイン、ポージング、設定、構図や背景のバランスなど、全体的に非常に完成度の高い作品だと思う。見ていて楽しいし、記憶に残る作品に仕上がっている。キャラクター性も豊かで、どういった人物かもなんとなく想像がつくし、シチュエーションも理解しやすい。キャラクターの頭部のポージングに少々の違和感を感じるが、全体的にはバランスが取れている為、そこまで問題ではないと思う。最終的な仕上げまで手を抜いておらず、一枚としてのクオリティは非常に高くまとまっている。
▼【ヒダヤト リアンティ 氏(コンセプトアーティスト・キャラクターデザイナー・イラストレーター)】
キャラクターデザインを見せるうえで、ポージングはとても大事ですが、この作品はそれをしっかり活かせていました。手のポーズと背景の光の位置が視線をうまく誘導していて、「宇宙の冒険に誘ってくれている」ような演出がとても素敵でした。
▼【exsa 制作本部モデリング担当】
セルルックの表現が上手で、この作品をもっと細かくいろいろ見てみたいと感じさせる作品です。キャラクターデザインは白が基調のシンプルな見た目なので、シルエットに派手さやパーツにディティールの細かさはそこまで多くはありませんが、服のしわの陰影や素材ごとに質感を分けることで被写体の単調さを感じさせない仕上がりになっています。ライティングも美しく演出されており、奥から照らす強い光に加えてキャラクターの輪郭にぼんやりとした光があり、より存在感が際立っています。
▼【ボンズ 安東容太 氏(3DCGディレクター)】
非常に高解像度で自信の表れを感じました、、。造形が良く出来ていて、構図も良く綺麗にまとまっていると思います。ラインの無いハイライトの髪の毛やわざと途切れさせたアウトラインなど、セオリーをおさえた表現が随所にあり、ちゃんと色々と観察しているなと思いとても好感を持ちました。これはたまたまでしたら申し訳ないのですが、衣服のローポリっぽさが宇宙服のゴワゴワ感を感じさせ上手くはまっていました。狙ってやっているとしたら凄いです。
一点だけ惜しいなと感じたのが背景です。宇宙と地球、星と電気の明かりがそれぞれ似通ってしまっていて全面宇宙にも見えてしまうのが勿体ないです。もう少し表現に差をつけてあげても良いのかなと思いました。
▼【ニエイチ CGチーム一同】
一枚絵としての完成度が非常に高く、画面を見た瞬間にこの少女のストーリーが自然と浮かび上がってきました!構図や明暗のバランスも抜群で、視線誘導と背景との整合性がしっかり取られており、説得力ある画作りになっています。発想力とスキルが噛み合った作品で、この後どう動くか想像できるほどに世界観がしっかり立っていると思います!
▼【Million Edge 白水正剛 氏(代表取締役)、吉田悠人 氏(アートディレクター)】
宇宙の空気感が伝わってきて、良いと思いました。キレイな色使いや、ポーズ等もしっかり意識できており、完成度が高いです。宇宙服の細かいパーツなども良く作成されており丁寧な点も好感を持てます。親指の付け根のボリューム感や、ポーズにもう少し外連味があると更にクオリティが上がると思います。
▼【コロッサス デザイナー一同】
一枚絵としての完成度がとても高く、視線誘導までしっかりと考慮された構図だと感じました。パーティクルの配置やグロー感も絶妙で、いたるところに格子模様が重ねられているのも絵の見みごたえを底上げしています。画面構成とコンポジットも美しくまとまっており、ベースとなるモデリングも丁寧に仕上げられているため、影の表現が非常に綺麗です。衣装の情報量は適切で、背景にも強いこだわりが感じられ好印象でした。完成度が高い分、一部影のがたつきが悪目立ちしているため、レタッチなどで整えてもよいと思いました。
▼【東映株式会社ツークン研究所 小野寺 恵 氏(CGデザイナー)】
非常に完成度が高いです。絵作りという点でも、モデルという点でも良くできていると思います。一枚の絵として見せるためにモデリングやシェーディングを何度も調整されたであろうことが伝わってきて、アニメ調のモデルでありがちな、「ネガティブなCGっぽさ」が少なく、引っ掛かりなく見れるのがよいです。是非メイキングを見てみたいと思いました。
第4位:『Sausy』 獲得点数:55点

横田涼雅さん(国際アート&デザイン大学校)
一年間いろいろなソフトに挑戦しました。これからはその知識や技術を活かして作品制作に励んでいこうと思います。映像業界への就職を目標にリアル系のキャラクターの制作に力を入れています。見た人が引き込まれるような作品を作りたいです。
●作品解説
暗い雰囲気の中にある優しさをテーマに好きな雰囲気の女性を作りました。髪の毛や表情をできるだけ自然にしてリアリティを出し、この女性の魅力が引き立つようにメイクと造形を工夫しました。
●使用ツール
ZBrush, Maya, Substance 3D Painter, Photoshop
●審査員コメント 抜粋
▼【山本原太郎 氏(DreamWorks Animation/Character Lookdev Lead)】
総合的に完成度の高い作品だと思います。技術力、美術力ともに優秀であると評価します。鋭く見つめる瞳、コントラストのある陰影の演出など、よくできています。顔と指の接触など、モデリングもよく作り込まれています。肌や髪の毛の質感やライティングなど良く作り込まれています。左目の瞳が暗いので、ハイライトを追加するとよいでしょう。目にリフレクションを追加すると、見つめる先を想像させてより深い作品になるのでは。肌にもっとタイトなスペックを追加してウエット感を出すと、もっと立体感が出て、リアリティもマスでしょう。指の爪の黒がフラットなので、ハイライトを追加するとよいでしょう。今後の成長が楽しみです。頑張ってください。
1)総合評価 技術: 良、美術: 優
2)アイディア コンセプト: 優、デザイン: 優
3)構図 レイアウト: 良、ポージング: 良
4)モデリング シルエット: 良、ディテール: 優
5)サーフェシング シェーダー質感: 優、テキスチャ: 良
6)ライティング ハイライト: 優、シャドー: 優
7_グルーミング シルエット: 良、ディテール: 優
▼【東條あずさ 氏(コンセプトアーティスト、Blender講師)】
作品提出おつかれさまでした! :D 目の表情と肌の質感、めちゃくちゃ良いですね…!見た瞬間「うおおおお!」って思わされる一枚でした。ライティングも構図もバッチリ決まってて、雰囲気しっかり作れてるな〜って感じました!だからこそ、ちょっともったいないなと思ったのが手や指先、髪まわりの質感。全体がリアルで説得力ある分、そこだけちょっと“CGっぽさ”が残っちゃってて浮いてこう引き戻されちゃう感が・・・。とくに爪まわりの処理や皮膚のサブサーフェス、マイクロディテールで皮膚の柔らかさとかの詰めがさらに進めば、表現により深みが出てくるかと思います。とはいえ、インパクトも世界観もすごく伝わってくる力作でした。次回作も楽しみにしてます^^
▼【トゥエンティイレブン 尾関昭宏 氏(CGディレクター)】
キャラクターの感情がひしひしと伝わってくる、完成度の高い作品だと感じました。肌やシワ感だったり、手のタトゥーやアクセサリーの細かい表現がとても丁寧で、見入ってしまいます。構図も独特で、思わず「何を考えているんだろう?」と想像させられました。肌にもう少し透過感(SSS感)、瞳につや感(潤い感)が出るともっとリアリティが出てくると思いまが、作者の世界観と技術力がしっかり伝わる、印象に残る一枚だと思います。
▼【白組 小池 学 氏(Producer/CG Supervisor)】
ポージングでキャラの性格を表そうとしているのが良かったです。目つきから、特に繊細な心情が汲み取れます。目元に指を持ってきたり(ここの指のポーズも綺麗です)目じりのタトゥーがより目元への印象を引き立てていると感じます。顔周りの指のポーズが綺麗な分、腕の角度が窮屈な印象でした。また、爪の形状のポリゴン感が気になりました。ネイルの質感ももう少しこだわっても良さそうです。セルフネイルならもう少し甘皮の部分に余白を持たせたり、少し利き手の先っぽが剥げていてもキャラの個性が出て良いかもしれないですね。ハイライトが入った左目の立体感に対して右目のフラット感が気になるので、暗いなりに眼球のディテールのリッチさを追求したいです。
▼【ジェットスタジオ 石井 裕 氏(CGディレクター)】
魅力的の一言に尽きます!全ての要素が高いレベルで融合していて目が離せなくなりました。レイアウト/構図も素晴らしいのでサムネで見ても一際目立っていますね。素晴らしい。
▼【KASSEN 金谷健太郎 氏(CGアーティスト)、森 康汰 氏(コンポジター)】
ポートレートとしてのインパクトがとても強くて、最初に見たときに自然と目を引かれる画でした。構図やレンズ感がしっかりしていて、顔まわりに集中させた見せ方がとても上手だなと思いました。左右の目で印象を変えていたり、目元や唇、手元のタトゥーなどがアクセントになっていて、画としての強さとバランスが取れているのも良かったです。全体的に仕上がりがかっこよく、血色感や肌のトーンも自然で、生きているような温度感が伝わってきました。一方で細かい調整の余地もいくつか感じたので、そこを詰めていけるとさらに完成度が上がりそうです。まず、指の長さや太さにばらつきがあるのはリアルで良いのですが、小指が少し細すぎてしまっていて、そこだけやや目立ってしまっている印象でした。自然な違いは残しつつ、少しだけ整えるとバランスが取りやすいと思います。髪の毛に関しては、方向のランダムさはリアルで良いのですが、特におでこより上の部分がやや透け気味で、地肌が見えすぎてしまっているように感じました。構図的に難しい部分もあると思いますが、もう少し密度を調整すると、髪型全体の印象も分かりやすくなると思います。髪の流れが均一気味なので、不揃いな束感を加えてあげると、より自然さが増すかもしれません。目まわりでは、まぶたの上の縁部分にハイライトが少しだけ入ると、より立体感が出て説得力が増すと感じました。虹彩や網膜の表現はとても綺麗なので、細部を少し強調するだけで全体の密度感がグッと上がると思います。唇については、全体の色味や血色感はすごく良かったのですが、ほんの少しだけ解像度が低く見えてしまっていたので、テクスチャの密度をもう少し詰めてみてもいいかもしれません。逆に、タトゥーに関しては少し粗さは感じるものの、画全体の雰囲気にはマッチしていて、それが画の強さとして働いていたのが良かったです。あとは手のポーズや腕の角度が少しだけ不自然に見えてしまったので、より自然な流れのあるポーズにすることで、違和感が減って視線が顔に集中しやすくなるかもしれません。ネイルも今のままだと少し浮いて見えるので、ほんのりマットにするか、グラデーションなどで質感を調整すると全体となじみやすくなると思いました。とても引きのある作品で、顔の造形や表情のコントロールも丁寧にされていて素敵な作品でした!
第5位:『オリジナルクリーチャー「サドラ」』 獲得点数:43点

松本拓巳さん(大阪成蹊大学)
5歳頃からアナログ造形をしていました。約1年半前からZBrushを触り始め、ほぼ独学で3DCG制作をしています。生き物やクリーチャーが大好きで多く制作しており、幅広いジャンルに対応できるよう日々技術を磨いています。
●作品解説
実際に存在していそうな可愛さと凶暴さの両立をテーマにしたオリジナルクリーチャー。本作は、「凶暴さ」と「可愛さのあるフォルム」を併せ持つ存在としてデザインしました。可愛さの演出は、舌をペロッと出した表情や、ムチムチとした肉付きの良い体で表現。一方で、頭部に生えた複数の角、長く鋭い爪、なんでも噛み砕けそうな太い顎、さらに上下に分裂したくちばしといったディテールで、圧倒的な凶暴性を加えました。
●使用ツール
ZBrush, Maya, Substance 3D Painter, Photoshop, 岩3DモデルRock Face 03, 岩テクスチャ Rock Boulder Cracked
●審査員コメント 抜粋
▼【宮川英久 氏(シニアコンセプトアーティスト)】
ゲーム向けのディフォルメの利いたデザインと生物としての説得力のあるフォルムの双方の間で絶妙なバランスを保った良いデザインになっていると思いました。きちんと背景を用意し適切なライティングをセッティングする事で一枚絵としての完成度を高めている点も素晴らしいです。全体的に完成度の高い作品だと思いますが地面の岩の質感が妙な一体感があり、ざらついた質感だったり別体の石や岩が存在していない事に違和感を感じました。自然環境であるにしては妙に摩耗した地面に見えてしまっています。爬虫類の歩行モーションとしても多少違和感があります。右後ろ脚はもう少し引いていて良いはずですし、多少浮いているくらいの方が説得力があります。
▼【しいたけデジタル 宮武徹夫 氏(CGプロデューサー)】
岩場に佇むオリジナルのクリーチャー「サドラ」をテーマに、非常に迫力ある構図と高い質感表現で仕上げられています。特に皮膚のディテールや質感、光の反射によるマテリアルの違いなどが丁寧に作り込まれており、自然光の演出も相まってリアリティのある存在感を放っています。岩場との色調の調和もよく、背景とキャラクターの一体感がしっかりと演出されています。デザイン面でも、二重に開いた口や重量感のあるフォルムが独自性を生み、印象に残る造形となっています。一方で、今後の課題としては、モデルそのもののディテールや形状の完成度をさらに高め、骨格構造や表面のバリエーションに一層の工夫を加えることで、さらに説得力と説話性を持つキャラクターに進化していけるでしょう。全体として非常に高水準の作品です。
▼【インテグラル・ヴィジョン・グラフィックス 映像チーム一同】
乾いた岩場と、うろこの硬い質感がよく表現されています。画面全体のドライな印象との対比として、口内の湿った質感やよだれはもっとウェットに表現されても良いのではないかと思います。
▼【トリサン 小谷征史 氏(クリエイティブマネージャー)】
しっかりと骨格が作り込まれており、全体に重厚感が感じられる点が非常に印象的でした。実際の爬虫類をよく観察されており、また、部位ごとに異なる鱗の質感表現も細やかで、作品に深みを与えています。オリジナリティの中にも説得力があり、設定や世界観への想像を掻き立てられる完成度の高い一作だと感じました。名前もかわいいです。
▼【グラフィニカ 後藤 岳 氏(札幌スタジオ CGテクニカルコーディネーター)】
ウロコの密度が自然で良いです。出来れば「目」や「口の中のヨダレ」など粘液系は、クリーチャーの見せ所なので、もう少しマテリアルにバリエーションを足して、ツヤ感がある部分を増やすと良いかもしれません。キャラは特に顔の表情で演技ができるので、情報量は多く盛り込めた方が良いです。ライティングとレイアウトも現状だと、背景の岩のほうに目が行ってしまうので、顔に焦点が当たるようにライティングし、構図上部を切ると、クリーチャーに視線誘導できる絵になると思います。
▼【サイバーエージェント 山田祐輔 氏、松田 空 氏、香取政人 氏、大井翔太朗 氏(3DCGデザイナー)】
口から垂れている唾液が野性味あふれていていいですね。オリジナルとは思えないモンスターの造形もしっかりイメージ出来ていていいと思いました。シチュエーションがわかりづらいので、このモンスターが今どんな状況にあるのか、もっと絵の中で説明できると画に没入感が生まれてくると思います。
第6位:『Clown Knight』 獲得点数:38点

石橋 陸さん(バンタンゲームアカデミー大阪校)
CGを使っていろいろな世界を表現したく、日々たのしく精進しております!もっといろんなことを学んで、レベルアップしていきたいです!
●作品解説
ピエロの騎士という、あまり他にないものを制作しました。騎士とピエロの不気味さを両立するデザインを考えるのにこだわりました。
●使用ツール
Photoshop , CLIP STUDIO , ZBrush, Maya, Substance 3D Painter, Arnold
●審査員コメント 抜粋
▼【山本原太郎 氏(DreamWorks Animation/Character Lookdev Lead)】
デザインもよくCGも完成度の高い作品だと思います。モデリングの作り込み、各部位の質感やテキスチャーもよく出来ています。構図やポージングも良いです。ライティングも雰囲気が出て良い演出になっています。槍の先にある人面が取ってつけたようで、サイズも大きくてバランスが悪いかもしれません。背後のカーテンが完全な左右対称なので調整すると良いかもしれません。
1)総合評価 技術:良、美術:良
2)アイディア コンセプト:優、デザイン:優
3)構図 レイアウト:可、ポージング:良
4)モデリング シルエット:良、ディテール:優
5)サーフェシング シェーダー質感:良、テキスチャ:良
6)ライティング ハイライト:良、シャドー:良
7)グルーミング シルエット:なし、ディテール:なし
▼【伊藤より子 氏(ビジュアルデザイナー・講師)】
他の人がやっていないことにチャレンジするのは素晴らしいと思います。この作品はプレゼンテーションやストーリーテリングにも力を入れており、とても目を引きます。色デザインや細かな衣装にも気配りがあり、不気味な人殺しをするピエロという存在が際立っていますね。劇場的なプレゼンテーションも良いアイデアです。改善点としては、槍の頭に描かれた顔が浮いて見える点です。頭部が非常に明るいため、もう少し影を施して全体のライティングに統一感を出すと良いかもしれません。上からのライティングを強調すると、さらに舞台っぽくなるのではと思います。
▼【Spooky graphic ハヤシヒロミ 氏(ディレクター)】
独特なデザインや世界観が良かったです!質感やライティングにこだわることが出来ればもっと良くなると思います!
▼【インテグラル・ヴィジョン・グラフィックス 映像チーム一同】
独特の世界観と強いコンセプトが際立つ作品です。衣装のストライプ柄をケージ状の鎧に組み合わせるなど、ピエロ×騎士の要素の融合のさせ方が面白いです。口元がめくれた被り物や、人の指のような頭部の装飾など、この世界観ならではの要素を細かい箇所まで具体的に想定して作成されてると感じました。血の表現も、付着する素材ごとに使い分けられており、リアリティと迫力を高めています。背景とキャラのライティングにやや違和感はありますが、全体として力強く魅力的な仕上がりです。
第7位:『Rhacodactylus Lives』 獲得点数:29点

木村光希さん(名古屋国際工科専門職大学)
現在大学3回生です。3DCGを中心に学びながら、2Dデザインやエディトリアルにも興味を持っています。幅広い視点で表現力を磨き、将来は3DCGを強みとして多様なクリエイティブ領域で活躍したいと考えています。
X:https://x.com/kimuraharau
●作品解説
かつて絶滅したとされていたニューカレドニア固有種の野性と愛らしさのギャップを表現しました。果実にかぶりつこうとする瞬間を捉え、自然のありのままの姿を追求しました。
●使用ツール
ZBrush, Maya, Substance 3D Painter, Photoshop, Illustrator
●審査員コメント 抜粋
▼【秋元純一 氏(トランジスタ・スタジオ/CGディレクター・取締役副社長)】
自然光の美しさと、動き、湿度など、うまく表現できていると思う。構図も見やすく、背景と馴染むのが当然であるモチーフに対して、赤い実からの誘導も巧みで、素晴らしいと思う。全体的にもう少しディテールを丁寧に詰めることが出来れば、、と思う点も見受けられた。特に、キャラクターと接地するメインの木の枝と苔は、もう少し頑張りたい。
▼【鈴木卓矢 氏(SAFEHOUSE/取締役・背景モデリングSV)】
全体的によくできています。トカゲへの愛が感じられますね笑 キャラクターの造形も良いのですがそれ以外の葉や木の実にもスケール感を感じられて一枚絵としても完成度の高さを感じました。ただトカゲのクオリティーをもう少し頑張りたいです。木の実に存在感が負けてしまっているのでもっとトカゲにディティールをいれて存在感を際立たせたいですね。例えば皮膚の鱗感ももう少しコントラストがあっても良いと思うし、何よりも口の中のぬめり感などももっと表現したいです。そこに気を付けるともっとトカゲの存在感が絵の中で際立って見えると思います。
▼【ニエイチ CGチーム一同】
生き物と果実の細部描写が見事です!特に筋肉の流れや茎をつかむ手の造形には生命感が宿り、作品に強い説得力を感じました。色彩のコントラストも絶妙で、背景の柔らかなトーンが主役をぐっと浮かび上がらせることができています。今後の作品も楽しみにしております!
▼【白組 小池 学 氏(Producer/CG Supervisor)】
ヤモリの食事風景でしょうか、とてもかわいい雰囲気が出ています。レイアウトが平面的なので手前や奥に立体構造が感じられる追加アセットを配置すると、よりキャラクターにフォーカスした絵になると思います。また、葉の緑の彩度が高くヤモリより目を引く感じに見えるので、少し抑えめにして、さらに空気感を粒子的なもので表現するともっと奥行き感が増して良いでしょう。
第8位:『GDN-01β/Meteorite』 獲得点数:15点

古川跳悟さん(国際アート&デザイン大学校)
ゲーム業界のキャラクターモデラーを目指しています。メカが好きなので、よくメカの制作をしています。
●作品解説
スペースコロニーの守衛機体をイメージして制作しました。 腕そのものが武器になっていたり、発光部分を多く取り入れることで、高出力・高火力な印象を持たせています。また、ポージングによって威圧感とミステリアスな雰囲気が際立つよう工夫しました。
●使用ツール
Blender, Maya, Substance 3D Painter, Photoshop
●審査員コメント 抜粋
▼【東條あずさ 氏(コンセプトアーティスト、Blender講師)】
作品提出おつかれさまでした!全体のデザインや色のまとめ方にセンスがあって、とても目を引く一枚でした✨特に中央に引きつける構図と、背景がマッチしていて、画面のまとまりがしっかり感じられます。機体のディテールも作り込まれていて、かっこよさが伝わってきました!あえて言うなら、部分的にもう少しマテリアルの違いや情報の緩急が出てくると、より視線の導線が明確になるかも?でも全体としてとても完成度高く、楽しく拝見しました!:Dこれからも応援してます~!!
▼【ヒダヤト リアンティ 氏(コンセプトアーティスト・キャラクターデザイナー・イラストレーター)】
キャラクターのシルエットが分かりやすくて、かこおいいキャラクターと思います。また、一部のデザインのディテールが背景に溶け込んでしまっている箇所があったので、要素のコントラストや配置にも少し意識したらもっと良いと思います。
▼【プロダクション・アイジー 足立博志 氏(モデリングディレクター)】
今流行りのかっこイイロボットの色々な要素が混じって見えますがバランス良くまとまっていてかっこイイロボットです。背景がよく分かりませんが、そこにも立体感が出ていればもっといい味付けになったかもです。
▼【KASSEN 金谷健太郎 氏(CGアーティスト)、森 康汰 氏(コンポジター)】
全体の構成がとてもスタイリッシュで、ポスターのようなかっこよさがある一枚だと感じました。中央に機体を据えた構図や、背景の演出がしっかりと効いていて、視線が自然に主役に集まる見せ方がうまいなと思いました。両手の武器が左右で違っていたり、細身のシルエットや肉抜きの表現から、機体の特徴や動き方が想像できるのも面白かったです。メタルの質感にも重みがあり、全体として説得力のあるデザインに仕上がっていました。背景に関しても、ロボットと同系色でまとめられているのは良い方向だと思いますが、やや主役が埋もれがちに見える部分もあるので、彩度や明るさを少し抑えることで、ロボットの輪郭や存在感がより際立つかもしれません。背景に入っているエフェクトは効果的で、機体を盛り立てる演出になっている点はとても良かったです。そのうえで、もう少し調整できそうなポイントとしては、破片に遠近感を加えることで空間の奥行きの説得力が増しそうです。リムライトの赤が少し強めに出ていたので、背景のトーンと馴染むように色味を調整すると、全体のなじみが良くなると思いました。また、ライトラップやグローを軽く加えるだけでも馴染みが良くなり、より機体をかっこよく見せれそうです。また、傷や汚れのスケールが少し大きく感じたので、この機体がどれくらいの大きさなのかを意識しながらディテールのサイズを調整していくと、さらに説得力が増すと思います。ベベルの処理も少し目立っていたので、そこも少し繊細にしていくとリアルさが一段上がりそうです。
第8位:『リコリス』 獲得点数:15点

増田翔真さん(OCA大阪デザイン&テクノロジー専門学校)
普段はセミリアルなキャラクターをよくモデリングしています。アニメーションやVFXなどにも興味があり、将来的にはゼネラリストを目指しています。
●作品解説
彼岸花をコンセプトに、ゲームで使われることを想定したキャラクターデザインとモデリングを行いました。ゲームで使用できるようにトポロジーを整え、最低限のテクスチャとポリゴンで構成しました。特に顔と髪の毛をこだわっており、セミリアルの良さを引き出すようなデザインを意識しました。
●使用ツール
Maya, ZBrush, Substance 3D Painter, Photoshop
●審査員コメント 抜粋
▼【宮川英久 氏(シニアコンセプトアーティスト)】
しっかりと良く練られたデザインが光るキャラクターですね。それを支える高いクオリティの作り込みとキャラクターの魅力を引き出すライティングが素晴らしいです。背景をしっかりと用意した構図も良い感じでは有るのですがキャラクターの後ろにあるヒガンバナは絵的な構成だったりエフェクト的な物だろうと思うのですが、どうにも実体感があり違和感のある仕上がりになっているように感じました。コントラストを下げるなり、現実感の無い演出にするなり、一工夫が必要なように感じました。また、地面に生えているヒガンバナは配置がどうにも人工的な雰囲気に感じてしまいます。程よいランダム感やばらけた印象があると良いと感じました。左右対称な背景にする必要も無かったように思います。
▼【ボンズ 安東容太 氏(3DCGディレクター)】
雰囲気がとても良いです。個人的な感想ですが、色味のバランス的に緑は彩度を少し落とし、逆に赤はもう少し鮮やかにする、という方向性で調整するのも良いのではないかなと思いました。
▼【サイバーエージェント 山田祐輔 氏、松田 空 氏、香取政人 氏、大井翔太朗 氏(3DCGデザイナー)】
キャラのコンセプトが一目で分かり、布やブーツの皺もきちんと細かいディテールが表現されていて良く出来ていると思いました。キャラクターが良く出来ている分、武器が少しシンプルに感じてしまいます。剣の割れ方を実際のクリスタルが割れている写真を参考に造形を詰めてみたり、柄もディテールのスケール感をもう少し調整してあげると、よりリアリティが増すと思います。
▼【東映株式会社ツークン研究所 小野寺 恵 氏(CGデザイナー)】
ゲームのジャケット画像のようにまとまりがあって素敵な作品です。衣装の情報量も十分でキャラクターとしても魅力があります。ただそれにより衣装の方に目が引っ張られがちなので、顔の方にも少し陰影やメリハリがあると良いかもしれません。キャラがよいため背景とのバランスが気になってしまう部分もあるので、足元の花のランダム感なども調整してみるとよいと思いました。
第10位:『SLAYER』 獲得点数:12点

望月 平さん(個人)
本職とは別で、3dを独学で勉強しています。今回は2度目の応募で以前指摘していただいた部分を改良して出させていただきました。日々たくさんの方の作品を見てたくさんの刺激をいただいています。これからは自分の世界観を固めて自分の作品をSNSなどにあげて見たいと思っています。
●作品解説
顔の表情を作るのに苦労しました。普通の笑顔とは違って、少し狂気を感じる風なコンセプトだったのでその違いを感じ取っていただけるような表情にしました。
●使用ツール
Blender, ZBrush, Substance 3D Painter, Procreate
●審査員コメント 抜粋
▼【ヒダヤト リアンティ 氏(コンセプトアーティスト・キャラクターデザイナー・イラストレーター)】
面白い構図ですが、背景と手前の明るさが同じくらいで、少し邪魔になっている印象です。手前のキャラクターをもっと目立たせるために、背景を少しぼかしたり、影をつけるなどで良いかもしれません。また、手の大きさに注目すると、顔と比べてかなり大きく見えるので、バランスを調整するとより自然になると思います。
▼【プロダクション・アイジー 足立博志 氏(モデリングディレクター)】
ワイルドで凶悪そうな戦士の表情がとてもイイです。二方面の構成にしたならきりっとした顔も見てみたかったです。髪と服の色が暗く混じっているのでライティングか質感設定で差別化出来れば体のシルエットが見えてもっと良いかもしれません。
▼【東映株式会社ツークン研究所 小野寺 恵 氏(CGデザイナー)】
あまり人のやりたがらない崩した表情に挑戦しているのがポイント高いです!この表情と衣装、ポーズを見ただけでどのようなタイプのキャラクターかがよく分かり、コンセプトがしっかりあるのがよいですね。強いて言うならば肌の質感がCGっぽいので、SSSや質感のディテールを追加してあげるともっと格好良くなるのではないでしょうか。
▼審査参加企業・アーティスト
<<特別審査員>>

秋元純一 氏
トランジスタ・スタジオ/取締役副社長
http://www.transistorstudio.co.jp
【総評】
今回も非常に意欲的な作品に出会えた。オリジナリティが高いもの、クオリティが高いもの、その両方が高いもの。それぞれ評価が非常に難しいと感じた。そういった中で、やはり頭一つ抜けた作品というのは出てくるもので、講評をさせてもらっている身として、非常に関心するし、勉強にもなると、毎度の様に感じている。ただそれと同時に、やはり流行りというものも存在するのか、同じ様な作品が多いのも事実である。流行りの表現、似通った表現というのは、それこそ競争率も高い。人とは被らないモチーフや表現方法を見出すのも、コンテストとしては重要な能力であると思う。当然好きなものを作ることが重要ではある。その中で如何に人より目立つか、抜きん出るかを考えるのも実践としては非常に重要で、現実として、周囲を出し抜く能力は傍から見れば小狡いとも言えるが、実はそういった狡猾さも競争としては重要だったりもすると思う。ただし、老獪な能力を真っ先に磨くより、事実としての実力が有ってこそというのも前提ではあるのが辛い所。そんな事を考えながら講評をさせてもらっている。
【採点結果】
河野ゆり 4点 篠田 隼人 5点 横田涼雅 1点 松本拓巳 1点 石橋 陸1点 木村光希 2点 望月 平 1点 小原将光 1点 謝花佑太 3点 徐 浩錤 1点

伊藤より子 氏
blue gradation/blue gradation 代表
【総評】
今回も素晴らしい作品が多数集まりましたね。なかでも、初めての ZBrush 制作でここまで仕上げられている作品があるとは驚きでした。キャラクター部門には個性豊かな作品が多く、採点していて本当に感嘆しました。自分らしさを表現した作品は、作者の思い入れが深くなり、より印象に残るものになるので、今後ももっと積極的に“個性”を出してほしいと感じました。
【採点結果】
DINH VAN KIET 4点 河野ゆり 3点 横田涼雅 3点 石橋 陸 3点 増田翔真 3点 古川跳悟 2点 望月 平 1点 伊藤理央 1点

鈴木卓矢 氏
SAFEHOUSE/取締役・背景モデリングSV
https://safehouse.co.jp/
【総評】
みなさんお疲れさまでした。200作品以上の応募の中から背景・キャラクター部門から幾つか点数を付けさせて貰いました。毎回審査員をやらせて頂いているのでその都度その回の作品の方向性などがあるのですが今回はもっと勢いが欲しかったです。見せ方も同じものが多く学校の課題を提出しているような感じもしました。「ここはすごく良くできているのに、ここがすごく惜しいよね。」という作品が少なくどの作品もそつなくある程度できているよねというクオリティーだったかなと思います。それが悪いわけではありませんが「自分のこだわりを見てほしい!」っていうフェチズムな作品がもっとあってもよかったのかなと。タイミングや時間的な問題もあるかもしれませんが突出したこだわりのある作品がみたいです。そういう意味では点数に差が付けれずに横一列になってしまいましたが、その中でもこだわりを感じるものに今回点数をつけさせてもらいました。
【採点結果】
DINH VAN KIET 4点 河野ゆり 3点 横田涼雅 3点 松本拓巳 3点 石橋 陸 3点 木村光希 3点 大場史斗 1点

東條 あずさ 氏
コンセプトアーティスト、Blender講師
https://www.azusatojo.com/
【総評】
全体を通して、造形や質感、キャラクターの表現など、とても丁寧に作られていて、作品に込められた情熱が伝わってきました。特にモデリングやディテールへのこだわりはレベルが高く、惹きつけられる作品がたくさんありました。一方で、構図やライティング、カメラワークといった見せ方やストーリーの面で少しもったいないと感じる部分もありました。どの要素を主役として見せたいか、視線をどこに導きたいかを意識して、フレーミングや明暗のバランスを調整すると、さらに説得力のある画面になると思います。基礎の技術はしっかりと身についているので、今後は画作りの視点を磨くことで、より魅力的な表現ができるようになると思います。応援しています。
【採点結果】
横田涼雅 3点 古川跳悟 3点 河野ゆり 2点 篠田隼人 2点 松本拓巳 2点 木村光希 2点 皆川大樹 2点 DINH VAN KIET1点 石橋 陸 1点 増田翔真 1点 望月 平 1点

Rianti Hidayat (ヒダヤト リアンティ) 氏
コンセプトアーティスト・キャラクターデザイナー・イラストレーター
【総評】
今年、審査員を務めさせていただけたことを光栄に思います。たくさんの素晴らしい学生作品を見ることができて、とても嬉しかったです。中には今回が初めてそのソフトを使ったという方もいて、とても驚きました。それでも挑戦し、作品を仕上げてこのコンペに応募したその勇気は本当に素晴らしいと思います。アイデアがとてもユニークで、プロレベルのクオリティを持つ作品もたくさんありました。皆さんの今後の作品も楽しみにしています!
【採点結果】
河野ゆり 5点 篠田隼人 5点 古川跳悟 4点 DINH VAN KIET 2点 豊崎朝妃 2点 松本拓巳 1点 増田翔真 1点

宮川英久 氏
シニアコンセプトアーティスト
https://www.artstation.com/supratio
https://twitter.com/HidehisaM
【総評】
キャラクター、背景・プロップ共に作品のトレンドのような物が有るのだろうな、と感じました。一方でそのトレンドに流されず自身のやりたい事を突き進む方もいらっしゃって、作品を拝見していてとても面白く学びになりました。この様な貴重な機会をくださいまして本当にありがとうございます。力作ばかりで見ごたえがありました。一方で「どこで差がつくのだろう?」と考えてみたのですが、ライティングと構図によるものが大きいように感じました。単純にライティングにリアリティが欠けていたり、やたらと強すぎたり弱すぎたり…
或いは構図で言えば特に理由もなくシンメトリな構図になってしまっていたり、バランスが悪い…という解り易い難点を抱えた作品も散見されましたが、その先には「どの様に物語を語るのか」という領域に集約されていくのでは無いか、と考えています。丁寧に作ったオブジェクトを彩る最後の瞬間の繊細な作業が差を生み出しているのかも知れません。
【採点結果】
河野ゆり 3点 松本拓巳 3点 増田翔真 3点 篠田隼人 2点 中山澄乃 2点 石橋 陸 1点 木村光希 1点 望月 平 1点 小原将光 1点 市川凜太郎 1点 大成龍聖 1点 上窪胡桃 1点

山本原太郎 氏
DreamWorks Animation/Character Lookdev Lead
https://www.dreamworks.com/
【総評】
一つの作品を作り上げたということは大変なエネルギーと時間を費やしたという事。それを乗り越えて応募してくださった皆様に敬意を評したいと思います。応募していただいた作品はどれもすばらしい力作ばかりで、大変感銘を受けました。出品された皆様がこれからも作品を作り続け、活躍されることを期待しています。
【採点結果】
横田涼雅 5点 石橋 陸 3点 DINH VAN KIET 2点 松本拓巳 2点 謝花佑太 2点 市川凜太郎 2点 中山澄乃 2点 徐 浩錤 2点
<<企業審査員>>

トゥエンティイレブン
https://cgworld.jp/jobs/30481.html
【総評】尾関昭宏 氏(CGディレクター)
リアルに「見える」だけでなく、リアルに「感じる」CG。それぞれが独立した世界観を持ちながら、共通して「目に見えない何かをCGで表現しようとしている」ことに、今後の可能性を強く感じました。今のままでも十分魅力的だけど、あと一歩の「崩し」や「遊び」が加われば、見る人の心をもっと深く動かす作品になるはずです。どれも本当に素晴らしいので、今後の進化も楽しみです!
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用
【総評】制作本部モデリング担当
応募作品それぞれから、制作者のこだわりや熱意が強く伝わってきて、審査に非常に悩みました。模様だけでなく、ひび割れなどの質感まで緻密に描き込まれた背景や、対象物を真摯に観察したからこそ生まれたリアリティと説得力を持つキャラクターなど、バリエーション豊かな作品の数々は、拝見していて大変楽しく、刺激を受けるものばかりでした。皆さまと一緒に働ける日を、心より楽しみにしております。ともに業界を盛り上げてまいりましょう。
【採用対象】
2026年度採用/2027年度採用/アルバイト募集
【総評】宮武徹夫 氏(CGプロデューサー)
今回拝見した数々の作品はいずれも個性に富み、作者それぞれの発想力や表現したい世界観が強く伝わってくるものでした。モデルの精度や構図、質感表現など、まだまだ磨くべき部分も多く見受けられましたが、それ以上に、作品に込められた熱量や挑戦心、そして「自分の表現を形にしたい」という情熱には大いに心を打たれました。テクニックは今後の学びと経験の中で確実に伸びていくものです。このまま手を止めず、作品を作り続けることで、必ず次のステージへと進めるはずです。
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用
【総評】安東容太 氏(3DCGディレクター)
みなさま制作お疲れ様でした。毎回のことながらレベルの高さに驚かされます。作品のコンセプトやこだわりのポイントもしっかり考えられていて素晴らしかったです。向上心の高いコメントが多かったのも印象的で、クリエイターとはこうあるべきだなと、とても良い刺激をいただきました。今回も貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
【採用対象】
2027年度採用

Spooky graphic
https://cgworld.jp/jobs/10054.html
【総評】ハヤシヒロミ 氏(ディレクター)
3DCGはあくまで絵を描く一つのツールに過ぎません。そのツールを利用してどんな絵を描きたいのかが重要です!ツールを習得するのも簡単ではありませんが、3DCGというツールは面白いツールです。受賞された方もそうでない方も、どんどん魅力的な絵を描いていただきたいと思います!
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用/アルバイト募集/インターン募集
【総評】CGチーム一同
今回のコンテストは本当にレベルが高く驚かされました。細部まで丁寧に作り込まれた作品が多く、見ごたえがありました。中でも印象に残ったのはレイアウトの工夫やデザイン性、そして「その人らしさ」がしっかりと表れている作品です。CGのスキルももちろん大事ですが「何を見せたいのか」「どんな世界を届けたいのか」が伝わってくる表現は、見る側の心に強く残ります。これからも挑戦を重ねながら、自分ならではの表現を育てていってください。皆さんのこれからの活躍を、心から楽しみにしています!!
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用/アルバイト募集
【総評】小池 学 氏(Producer/CG Supervisor)
初めての参加でしたが、どれも個性的な作品ばかりで楽しく拝見いたしました。
レベル感は本当に様々で、非常に完成度の高いものから、荒っぽいけど大好きな世界観が炸裂しているものまで幅広く、出来るなら全ての作品に一言コメントを添えたくなるくらい夢中になりました。仕事でも趣味でも、作品づくりはとても楽しく充実した時間を与えてくれると思います。これからプロを目指す方々には、今のその気持ちを大切に素晴らしいアーティストになっていただきたいと思います。

Million Edge
https://cgworld.jp/jobs/30430.html
【総評】白水正剛 氏(代表取締役)、吉田悠人 氏(アートディレクター)
数多くの作品を拝見し、本当に良い刺激を受けました!社内での評価では意見が分かれることもあり、私たちにとっても学びの多い時間でした。どの作品もフレッシュで力強く、私たちの原点回帰にもなりました。CG業界の進化は目覚ましいですが、これほど多くの若い才能がいることに喜びと同時に身が引き締まる思いです。作品からは皆さんの個性や熱意が伝わってきて、評価に悩むほど見応えがありました。最近のソフトウェア進化で一定のクオリティが出せるのは素晴らしいことですが、そこに皆さんの伝えたい意図や表現をしっかり込めて、見る人を納得させる「魅せる絵」を目指してほしいです。これからも技術を磨き、自信を持てるクリエイターになっていくことを応援しています。将来CG業界を牽引するであろう皆さんと、一緒に仕事ができることを楽しみにしています!!
【採用対象】
2026年度採用/2027年度採用/CG未経験可

インテグラル・ヴィジョン・グラフィックス
https://cgworld.jp/jobs/30125.html
【総評】映像チーム一同
今回も多くの応募作品を拝見し、その数と熱量に圧倒されました。魅力的な作品が多く、配点には本当に悩みましたが、その過程すら楽しませていただきました。背景部門でも風景に人物を配置した表現が徐々に増えており、デジタルヒューマンなどの新技術による表現の自由度の高まりも感じています。ただ、あくまでCGは表現の手段ですので、「見る人に何を伝えたいか」「どんな感情を呼び起こしたいか」という問いには、これからも真摯に向き合ってほしいと思います。多くの力作を拝見でき、私自身も大いに刺激を受けました。今後も素晴らしい作品に出会えることを楽しみにしています。
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用
【総評】小谷征史 氏(クリエイティブマネージャー)
今回の審査会では、全体的に非常にレベルの高い作品が多く、応募総数も多かったことから、選考に大変苦慮いたしました。特に印象的だったのは、それぞれの作品において独自の世界観がしっかりと構築されており、ストーリー性を感じさせる画づくりがなされていた点です。見る者の想像力を掻き立てるような魅力にあふれた作品が多く、審査員一同、大変見ごたえのある時間を過ごすことができました。
【採用対象】
2026年度採用/2027年度採用/アルバイト募集
【総評】コロッサスデザイナー一同
今年の応募作品は個々の作品が持つ独創性、技術力、そして熱意が際立っていました。そのため、点数を割り振る際には甲乙つけがたいと感じる作品が本当に多く、作品の採点には頭を悩ませました。目を見張るような華やかで鮮烈な表現から、作品の機微を読み取ろうとさせる繊細な筆致まで沢山の魅力にあふれていました。結果として、多くの作品に高い評価をつけさせていただいたため、特定の作品に群を抜いた最高点を与えることが難しかったというのが正直なところです。私たちの書いた講評や点数が皆様の今後の創作活動の大きな原動力となれば幸いです。
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用/CG未経験可

プロダクション・アイジー
https://cgworld.jp/stdatabase/10098.html
【総評】足立博志 氏(モデリングディレクター)
自分はキャラクターが大好きなのでキャラに挑戦している人につい興味がいってしまいますが、背景を作るにしても、そこに僅かでも人物や生物を置くことで絵に表現力やストーリー性が加わり、より人の興味や感性を刺激するいい絵になると思います。キャラクターを作りたがる人は近年減っていますが、やはりCGの登竜門であり、到達点でもあるので、背景好きの人にも是非チャレンジをおススメします。CG制作を仕事として目指すならあって損はない武器になります。皆さんと現場でお会いできる日を楽しみにしています。
【採用対象】
2026年度採用/2027年度採用
【総評】後藤 岳 氏(札幌スタジオ CGテクニカルコーディネーター)
全体的にアニメを意識した作品が増えてきていると感じました。また、今回の作品ではキャラクターデザインや世界観のデザインなど、新しいテイストも多く見られとても新鮮でした。オリジナルや架空のものであっても、現実にあるもの(ドラゴンを作るのであれば、トカゲや蛇などの造形や質感など)を意識して反映させることが出来れば、より具体性と説得力を持った作品になります。「想像性」と「現実をとらえる」この両方のスキルのそれぞれの良い部分を伸ばして、業界に新鮮な刺激を与えるクリエイターになって欲しいと思います!
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用/インターン募集

ジェットスタジオ
https://cgworld.jp/jobs/46.html
【総評】石井 裕 氏(CGディレクター)
毎回素晴らしい作品が多い印象ですが今回はいつも以上に空気感やライティングなどの演出が良くできていて、レイアウト/構図もしっかり取れている作品が多かったように感じます。それにプラスして物語性がより感じられる作品を今回も評価させていただきました。見た瞬間に楽しそう、怖そう、ゾクゾクする、ワクワクくするといったような、感情に訴えかけてくる作品をこれからも期待したいと思います。皆さんの今後のご活躍楽しみにしております!
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用
【総評】金谷健太郎 氏(CGアーティスト)、森 康汰 氏(コンポジター)
今回、まず応募作品の多さに驚きました。それ以上に、どの作品も全体的にクオリティが高く、優劣をつけるのが非常に難しい審査となりました。画としてかっこよく仕上がっているものも多かったのですが、最終的には「何を見せたいのか」「どんな世界を作りたいのか」といったストーリー性や熱量の強さを重視して選ばせていただきました。また、見たことのあるチュートリアルに寄せた構成だと、少し評価が下がる場合もあります。自分が作りたい主題を明確に定めることが、画の説得力を高める鍵になると感じました。作品を通して気づかされることも多く、他の方の表現から得られる発見や視点の違いが自分自身も勉強になりました。細部まで丁寧に作り込むことで、世界観が一段と引き立つと改めて感じました。カメラアングルや構図もさらに意識して、実写写真などを参考に取り組んでいけるとより深みのある作品になると思います。今後もぜひ、自分らしい視点や表現を大切に、より自由に作品づくりを楽しんでいただけたら嬉しいです。
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用/インターン募集

サイバーエージェント
https://cgworld.jp/jobs/45004.html
【総評】山田祐輔 氏、松田 空 氏、香取政人 氏、大井翔太朗 氏(3DCGデザイナー)
エネルギー溢れる作品をたくさん拝見させていただき、とても楽しく審査させていただきました。ひとえにCG作品とは言っても、皆さん独自の技術とアイディアを以て、自分の作品としてしっかり形にできていることが素晴らしいなと感じました。背景部門の作品にキャラがいたり、キャラ部門でもしっかり背景を作り込んでいたり、主役を引きたてるための努力が伺えてよかったです。こうして何もないところから一つの作品を作り上げ、評価の場に立った経験は、必ず今後の皆さんの財産になると思います。今後の皆さんのご活躍をお祈りしております。
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用/インターン募集/CG未経験可

東映株式会社ツークン研究所
https://cgworld.jp/jobs/21107.html
【総評】小野寺 恵 氏(CGデザイナー)
今回初めて審査員を務めさせていただきました。意欲のある魅力的な作品が多く、クオリティの高さだけでなく個性にも大変刺激を受けると同時に、自身の作品に対しても振り返るよい機会となりました。アドバイスとしましては、全体的にはモデリングはもちろん皆様頑張られていましたので、マテリアルの方にも目を向けていけると一段とクオリティアップが狙えるのではないかと感じます。今回の講評では皆様の熱意ある作品に触れることができ、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。皆様と将来お仕事でご一緒できる日を楽しみにしております。
【採用対象】
2025年度採用/2026年度採用/2027年度採用