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第12回:導入してみよう!

第12回:導入してみよう!

百聞は一見にしかず

私たちが行なっているカラーマネジメントセミナーで、実機を使って効果を見てもらうときは、いつも同じ反応が返ってきます、「おー、本当に色が合ってる!」 。毎回それを聞くと、やはり百聞は一見にしかずなんだなあ、と実感します。ですので、この連載でカラマネに興味を持ったら、次のステップは 実機を見る ことをお勧めします。

あなたの目で効果を確かめてみてください! その方法は、今回のはじめの方に書いた 「STEP 3:適切な機材を導入」 部分の5つになります。

その1:メーカーショールームへ行く
その2:実機が展示してあるイベントに行く
その3:すでに導入しているプロダクションを訪問する
その4:メーカーから機材を一時的に借りる
その5:実機を使ったセミナーに参加する

その1:メーカーショールーム では、ナナオの運営する EIZOガレリア銀座 がお勧めです。ハードウェア・キャリブレーションモニタを複数見ることができます。その2:イベント は、すでにカラーマネジメントの導入が進んでいる写真・印刷関連のイベントのモニタメーカーブースをお勧めします。
私が先日参加した 「page2012」 というイベントでは、iPad の色をモニタ上に色を疑似再現するデモンストレーションを見ることができました。スマホでも可能だそうなので、スマホ向けゲーム開発・サイト制作に役立ちそうです。

その3:導入しているプロダクションを訪問 については、もし知り合いのプロダクションで導入しているところがあれば、ぜひ見せてもらってください。そのような知り合いが思い当たらないという方は私たちの会社で良ければお越しください。そして、その4:メーカーから機材を借りる 。モニタメーカーによっては機材を試験的に貸し出してくれることがあります。ぜひコンタクトしてみてください。その場合、測色器については自分で購入する必要がありますが、ColorEdge CG275W 等のモニタは測色器を内蔵しているので、購入しなくて済みます。ソフトウェアの調整方法や試験運用については、この連載を見ながら行なってください。

その5:実機を使った 3DCG のカラーマネジメントを解説するセミナー に参加すると、必要な情報がまとめて分かる上、色が合うことを体感できますので、非常に効率的です。当社でも、企業に訪問して 「3DCG のためのカラーマネジメントセミナー」 を実施していますので、ご関心のある方はお気軽にお問い合わせください。ただ、こちらに関しては「自社は少人数のため受けづらい」等のご相談をいただくこともあり、申し訳なく思っています。
そこで今回、より多くの方がカラーマネジメントの導入をスムーズに進められるよう、「CG de カラマネ! 総括セミナー」 を実施することにしました! ナナオさんのご協力があって実現できる、スペシャル企画です。この連載の内容を、実機を見ながらまとめて確認できるセミナーですので、皆様お誘い合わせの上、是非ご活用ください(※先着順ですので、お申し込みはお早めに!)。

「CG de カラマネ! 総括セミナー」
日時:5月18日(金)14:00~16:00
場所:EIZOガレリア銀座
受講料:2,100円(税込)
詳細は こちら
http://www.eizo.co.jp/event/seminar/place_3dcg/index.html

モニタのちがい

セミナーなどを行なっていて一番多く質問されるのは、「今持っているモニタを調整するのと、ハードウェア・キャリブレーション モニタの違い」 です。
しかし、実際に購入して利用してみないとわからないことなので、なかなか言葉で説明するのが難しくて苦労しています。複数台購入するコストと手間を減らせるように、実際に導入してわかることをまとめて解説したのが、第10回 でしたが、複数のモニタを測定したデータが手に入ったので紹介します。

測色器で調整すれば、色が合う と思いがちですが、3つの理由から調整後も色が合わないことが多くあります。

理由1:元々のモニタ特性が悪いため調整しきれない
理由2:測色器の調整では、中間を正確に補正しきれない
※測色器の調整は、RGB 各色ごとに行われるが、0~100までの出力の数カ所で行われ、中間部分は前後の測定結果を基に補われる。そのため中間を正確に補正しきれない
理由3:モニタ自体の調整が雑なため、明るさやコントラストを最適な状態にできない

では、モニタの特性はどの程度ずれているのか、複数のモニタを測定した結果を見てみます。下図は、4台のモニタ特性を分光式の測色器で測定した結果です。

図版6「元の特性が悪いモニタは、測色器で調整しきれない」

「元の特性が悪いモニタは、測色器で調整しきれない」
制作スタッフの教育内容です。この項目とポイントに沿って教育を行うと効果的です

図版7「モニタの出力特性比較」

「モニタの出力特性比較」
ハードウェア・キャリブレーション モニタと、一般的なモニタを測定した結果です。特性がバラバラで、ずれ方に特徴がないので、調整が難しいことがわかります(※悪い印象を与えるためメーカー名は伏せています

ハードウェア・キャリブレーション モニタは非常に優れた特性を示していますが、この形が私たちが期待している(頭に思い描いている)モニタ特性だと思います。入力信号が 50 なら出力は 50、100 なら 100、となってくれていると信じていましたが、実は多くのモニタが他の3つのような特性になっているようです。
最大出力は白の色(色温度)と輝度を決める要素です。測色器で調整すると多くの場合は、一番低い色(RGB のいずれか)に合わせて他の出力を下げることをします。そのため輝度が下がったり、色温度に関しても補正しきれない場合は不自然になります。最大出力から 0 に向けて直線になるのが当然ですが、実際にはクネクネと上下に蛇行しています。しかも RGB の3色がそれぞれに曲がり方が違う場合は、明るい色では R が強く、中間では G が強く、暗い色では B が強い、といった現象が起きます。
また、測色はたくさんのステップで行われず、0~100 の間で数回です(測色器とソフトウェアによって異なります)。その間の測定されなかった箇所は前後の測定結果に基づき推測して補正されます。しかし、この測定結果のように蛇行している場合は、数カ所の測定では調整は正確に行うことができません。

なぜこのような特性のモニタが多いのかというと、単純に 調整には"手間"と"コスト"がかかる からです。
優れた発色特性を持つ液晶パネルは高価で、そのパネルを細かく調整できる専用回路を組み込むには技術とノウハウが必要で、その調整にも時間がかかります。ハードウェア・キャリブレーション モニタの特性が優れているのがわかりましたが、それでも長時間使用すると徐々に特性が劣化する 経年劣化 は起こります。それを補正するために定期的な測色をして色管理することが必要です。
とは言え、もともとちゃんと調整された高品位モニタのためか、安価なモニタより長期に渡り表示性能を保てる(色ムラが出たり、画面が暗くなったりしにくい)ことが多いようです。通常のモニタより交換期間を長く設定したり、リース期間を長く設定できれば費用対効果がより高くなりますね。

カラマネは、作業の高品質化と効率化に欠かせない仕組みです。クリエイティブの現場がより良くなる、ストレスなくクリエイティブに集中できる、仕事が楽になる、ためのカラーマネジメントです! クリエイティブ業務には必須の仕組みですので、いずれ導入することになると思いますが、僕としてはこの連載を機会に導入してくれると嬉しいです......スミマセン、とっても個人的な発言でしたね。
カラマネに興味が湧いた、導入方法がわかった、導入した、という方が少しでも増えたら、この連載も成功でした。今後もパーチからカラーマネジメントに関する情報を発信し続けていきます。皆さんも 段階的導入 がんばってください! 応援してます。

いかがでしたでしょうか? 最後に具体的な応援策のひとつとして、私たちパーチでは連載終了を記念して、"スペシャルキャンペーン" を実施することにしました。カラーマネジメントシステムの導入にあたり不可欠な 「関係者教育(訪問型セミナー)」「運用ルール作り」 を特別価格にてご提供して、皆さんの導入をサポートします!

本連載をお読みになって、

「早くカラマネを導入して、仕事を効率化したい!」
「負担を最小限に抑えて、確実に導入したい!」

......と思われている方は、この機会をぜひ活用してください。詳細は こちら からご確認ください(キャンペーン期間:2012年3月26日~2013年3月31日まで)。
http://www.perch-up.jp/design-viz/colorManagement_specialcampaign.html

皆さんのカラマネ導入がスムーズに進むことを祈っています! それでは、また。

TEXT_長尾健作(パーチ)

▼Profile


長尾健作(ながおけんさく)

広告写真制作会社(株)アマナにて、3DCG 制作などの事業立ち上げを行なった後、(株)パーチ を設立。広告業界・製造メーカーに向けて、3DCG による新しい広告制作手法の導入/制作サポートを手がける。各種セミナーでは、制作業務の効率化・コスト削減を実現するためのノウハウを提供。「3DCGのためのカラーマネジメントセミナー」も実施している
 
 

▼ Powered by EIZO

この連載は、株式会社ナナオ の協賛でお送りしています。

・EIZOがお届けする「カラーマネジメントに関する基礎知識」
http://www.eizo.co.jp/
products/eizolibrary/index.html#tab04

・モニタを快適に使うための情報提供セミナーを、無料で受講できます
http://www.eizo.co.jp/event/seminar/

・直営ショップ「ガレリア銀座」では、実機でカラーマネージメントを体感できます。また、セミナーや写真展などのイベントも随時開催しています
http://direct.eizo.co.jp/shop/c/cGinza/?tab=0

・全国にショップやショールームを展開しています
http://www.eizo.co.jp/products/exhibit/

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