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#重力猫『GRAVITY CAT / 重力的眩暈子猫編』PV(VFX制作:オムニバス・ジャパンほか)

#重力猫『GRAVITY CAT / 重力的眩暈子猫編』PV(VFX制作:オムニバス・ジャパンほか)

フォトグラメトリーによる3D環境の構築と緻密なインビジブルエフェクトを駆使して"3つの難題"を克服した渾身プロジェクト

※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 224(2017年4月号)からの転載となります

TEXT_福井隆弘
EDIT_沼倉有人 / Arihito Numakura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

#重力猫『GRAVITY CAT / 重力的眩暈子猫編』PV
presented by GRAVITY DAZE 2
監督:柳沢 翔/企画制作:博報堂、東北新社〈ポストプロダクション〉
オフライン編集:木村悦子、田端華子/オンライン編集:佐々木賢一/CGディレクター:松本哲明/コンポジター:加藤泰裕/デジタルアーティスト:市川 悟、三須聡之、中江昌彰、荒田大輔、松尾勇佑、田原史章、牧野由典/CGテクニカルサポート:亀村文彦/CGプロデューサー:城戸久倫/CG制作進行:池部 宙/CGプロダクション:オムニバス・ジャパン
©2017 Sony Interactive Entertainment Inc.

主観ワンカット長回し、子猫の撮影、重力変化という3つの挑戦

#重力猫『GRAVITY CAT / 重力的眩暈子猫編』(以下、#重力猫)は、今年1月19日(木)に発売されたPS4タイトル『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』のWeb向けプロモーションとして、1月12日(木)にYouTubeで公開されたバイラル動画だ。大学の卒業論文に四苦八苦する1人暮らしの姉(高田静流)、そこへ遊びに来た妹(乃木坂46 伊藤万理華)のふたりが、突如壁や天井を走りまわりはじめた子猫を捕まえようと触れたことをきっかけに、部屋自体の重力変化に翻弄される様を、VFXを駆使して描き出している。姉の主観(POV)によるワンカット長回し、生身の子猫に芝居をさせる、そして重力変化という、3つの難易度の高い表現を巧みに融合させているのだが、その優れた出来映えから公開後すぐに240万回以上の視聴を達成した。


右から、佐々木賢一氏(DEFENSE)、亀村文彦氏(ロゴスコープ)、中江昌彰氏、松本哲明氏、池部 宙氏、城戸久倫氏、市川 悟氏(以上、オムニバス・ジャパン)、加藤泰裕氏(フリーランス)
www.omnibusjp.com

そんな本作のCG・VFXワークをリードしたのは、オムニバス・ジャパン(以下、OJ)だ。「柳沢 翔監督とご一緒させていただくのは今回が2度目になります。当初は、子猫をCGアニメーションで表現できないかと、ご相談いただいたのですが、監督の『バズらせるためにも限界までリアルにやりたい』という意向から、ワンカットにみせるためのCG環境の構築や反重力表現のエフェクト作業が主となりました」と、城戸久倫CGプロデューサーはふり返る。CG環境の構築は、撮影セットと屋外の街並みに大別された。どちらもフォトグラメトリーによるリアリティキャプチャという作戦が採られたが、子猫という非常にコントロールが難しい動物の撮影、なおかつそれを4分ちかくのワンカットPOVに仕上げる上では、膨大なカメラトラッキングと細密なマスク処理が求められた。近年は、柳沢作品のほぼ全てのオンライン編集を手がけている佐々木賢一氏(DEFENSE)は、次のように総括してくれた。「柳沢さんは企画から完成までいっさいの妥協をゆるしません。VFXチェックの際は、ひとフレームずつコマ送りで確認するのが常なのですが、今回ほど『終わらないかも』と思った作品は初めてでした(笑)。だけど、プリプロの段階から深く関われる案件は貴重ですし、これほどの規模の撮影に関われることも滅多にありません。おかげさまで公開後は大きな反響をあつめることができ、今後にも活かせるとても良い経験ができました」。

01 プリプロダクション

実写のテスト撮影とプリビズによる綿密な検証

2016年9月末からプロジェクトがスタート。10月後半に絵コンテが出来上がると、それを基に各種検証が進められた。実は、昨夏に公開された資生堂「スノービューティー2016『逆さに降る雪』」、昨秋から放送されたDODA CM『綾野剛 キミだけのゴール』篇の2作品も柳沢監督によるディレクションだが、これらにも重力変化の表現が登場する。「ですが、どちらも90度ほどの回転でした。そうした経緯もあり、柳沢監督は制作当初から『#重力猫』では、姉の部屋(セット)を"実際に360度回転させる"ことにこだわっていましたね」(佐々木氏)。そこで「重力変化装置」という、その名の通りセット自体を回転させる大道具(油圧式で回転速度を多段階で変速可能)が制作された。また、企画当初は猫はCGアニメーションで作成することが検討されていたが、とにかくバズらせるものを、そのためには猫好きの人たちの心を射止める必要があるとの判断から、苦労を承知で本物の子猫を撮ることが決まった。重力変化と子猫の演技を実写で撮る、なおかつほぼ全編を姉の主観のワンカット長回しで、という課題をクリアするにあたっては、猫のグリーンバック撮影や ミニチュアを用いた検証など、5~6度にわたるテスト撮影を実施。実写でやれることがみえてきて、コンテも修正していくうちに、猫は本物でいけるのではないかという手応えつかむことができたそうだ。

「撮影カメラについては、GoProDJI Osmoも候補に挙がっていたのですが、ジンバルの具合(POVに仕上げる上ではなめらかすぎてもNG)、臨場感のある画が撮れる、なおかつ4Kの動画撮影が行えることからソニーα7Sが採用されました」(城戸氏)。「ワンカット風に仕上げるにあたっては、当初から完パケのサイズ(フルHD)よりも120%ほど大きなサイズで各ショットを作成しておくことで、オンライン編集の段階でトリミングやブローアップによる調整が行えるように計画していました。そうした意味でも4Kで撮影する必要がありましたね」(松本哲明CGディレクター)。

VFXまわりの検証にあたっては、ミニチュアセットのテスト撮影素材を使ったビデオコンテをたたき台として、より正確な検証を行うためのプリビズも作成された。「さすがにミニチュア撮影のビデオコンテだけでは、曖昧な要素が多くリスクが高すぎると思い、プリビズを作成することを提案させてもらいました。窓抜けの街並みがどのような見え方になるのか? ワンカットに仕立てるために各シーンをどのように撮り分けるのが効果的か? そうした不安要素を検証するために、実際のカメラの画角や動きなどにできるだけ合わせたプリビズをOJさんに作成していただきました」(佐々木氏)。プリビズは、最初にCGベースで作成する必要のある窓抜けの環境がどれくらいフレームインするかを検証するものを作成。続けて、ライティングの変化の検証を目的としたもの。そしてキャメラマンや動物トレーナーの影やしかけなどのバレものの映り込み度合いの検証を目的としたものという、3段階にわたって作成していったという。

柳沢監督が描いた演出コンテより。当初は総尺2分程度で考えられていたそうだが、最終的に4分ちかくに達した

複数回にわたり行われたテスト撮影より

初回のテスト撮影は成猫で行われたが、成猫に演技をつけるのは困難であることがわかり、子猫を起用することに

ミニチュア模型を用いたテスト撮影。こちらを基にビデオコンテが作成された

実際に猫を使用した撮影前最終テスト撮影。この時点では猫を誘導するためのレーザーポインター、猫トレーナーの映り込み消し等が予想された

実写のテスト撮影後に作成されたプリビズ

テイク1。ビデオコンテの尺感に合わせて窓外に都市モデル等を配置して作成。これをベースに2回目のオールスタッフが行われた

テイク2。第2回オールスタッフ時に出た撮影部ならびに照明部からの意見を取り入れライティングを検証。これを基に第3回オールスタッフが行われた

テイク3。亀村氏が撮影したHDRIを窓外に配置し、背景の見え方(ルックや視認性など)が検証された

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02 オブジェクトトラッキング&フォトグラメトリー

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