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No.05(前編)>>小学館ミュージック&デジタル エンタテイメント

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「新幹線から変形できる」という点をしっかり検証

服部:タカラトミーさんのデザインの方向性でいくにしても、プラレールとまったく同じデザインにすると、アニメ化の際に不都合が起こります。そのため、タカラトミーさんのデザインをベースにしつつ、アニメ化を念頭に置いたリデザインとモデリングを行うという作業を僕が担当しました。

C:つまりは、プラレールの「シンカリオン」も、アニメの「シンカリオン」も、誰か1人のデザイナーがデザインしたわけではなく、複数のデザイナーのデザインが集められ、取捨選択やアレンジ、ブラッシュアップを経てつくられているわけですね。

▲【左】タカラトミーによるプラレール「シンカリオン E5はやぶさ」のデザイン/【右】同じく、プラレール「シンカリオン E6こまち」のデザイン


  • タカラトミーによるプラレール「シンカリオン E5はやぶさ」のCADデータ。玩具の製造工程では金型を必要とするため、金型用のCADデータが制作されている


▲服部氏による「シンカリオン E5はやぶさ」のデザインのドラフト。既に最終形のデザインに近い仕上がりとなっている


▲前述のドラフトの補足。新幹線からロボットに変形すると、胴体や四肢の長さが約1/2まで縮むよう、各所に伸縮ギミックが仕込まれていることがわかる。「縮んで横幅が増すことで、剛性感が強調され、極力、肉感的なシルエット、ボリュームが出るようにしています」(服部氏)。「シンカリオン E5はやぶさ」は全長約25メートルの「E5系はやぶさ」2両が変形するという設定だが、伸縮ギミックにより、変形後の全長も約25メートルのままという設定になっている


▲服部氏による「シンカリオン E6こまち」のデザインのドラフト


▲前述のドラフトの補足


C:プラレール用とアニメ用のデザインを比較すると、基本のデザインは同じでも、用途に応じたアレンジが細かく施されていることがわかりますね。

服部:アニメ用のデザインでは「ポーズを取れるか」「アクションができるか」といったことが非常に重要です。一方で、今回はプラレールをつくっているタカラトミーさんの思いと、実際の新幹線を運行するJR各社の思いも汲み取る必要がありました。そのため過去の紆余曲折を俯瞰しつつ、関係者全員が納得しやすい最適解を考えることにしました。

C:服部さんは、デザインの段階から3DCGを使っているのでしょうか?

服部:2Dでデザインする場合もありますが、今回は「新幹線から変形できる」という点をしっかり検証し、説得力のあるプレゼンテーションをすることが必要だと思ったので、最初から3DCGを使ってデザインしました。先ほどお見せしたように、本来の「E5系はやぶさ」の縦横比のままではロボットとして成立しづらいということも、実際に3DCGで画をつくって見せた方が、口頭で説明するよりも何倍も説得力があります。

C:デザインのドラフトは既に最終形に近い仕上がりとなっていますが、最初からこれらを提示なさったのでしょうか?

服部:はい。さらに説得力を加えるため、プレビューレベルではありますが、変形シーンの動画もつくりました。これが通らなかったら、以降の僕の出番はないと思っていましたね。本作の醍醐味は「実在する新幹線が変形し、ロボットになる」という点にあるので、プラレールではなく、本来の新幹線に近いデザインにしています。とはいえ基本的な分割方法や、肩部分の窓の数などはプラレールと同じにして、プラレールのイメージを残すアレンジも施してあります。



前編は以上です。後編では、服部氏のデザインの仕事をさらに詳しく紐解いていきます。ぜひお付き合いください。
(後編の公開は、2018年3月22日を予定しております)

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