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No.13(後編)>>グラフィニカ

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グラフィニカには3回応募して、3回目でようやく採用

C:学生時代のお話も聞かせてください。近藤さんの母校の吉田学園情報ビジネス専門学校は、モックスの代表取締役で、同校の卒業生でもある住岡義和さんがカリキュラム監修などを担当し、アニメーション教育に力を入れているという話を以前の取材で伺っています。加えてグラフィニカ 札幌スタジオの田熊 健さん(スタジオマネージャー)も、同校で長年講師をなさっていますね。

近藤:私が在学していたのは住岡さんがカリキュラム監修を担当する以前の時代なので、アニメーションに特化した授業はありませんでした。ただ、2年次から田熊の担当授業の中でアニメーションを教えてもらい、アニメーターを志すようになりました。グラフィニカには3回応募して、1回目と2回目は落ちてしまい、3回目でようやく採用してもらえました。

C:グラフィニカに限らず「何度でも応募してください」という会社は多いですが、本当に何度も応募したんですね。応募時の作品は、毎回ちがうものだったのでしょうか?

近藤:1回目は卒業年度の秋頃にポートフォリオを提出し、2回目は12月くらいに未完成のデモリールを提出し、3回目は3月の卒業式直後に完成したデモリールを提出しました。本当に後がなかったので、必死にしがみついていましたね。私は大島や田口と同期なので、やはり『楽園追放 -Expelled From Paradise- 』(2014)の存在は大きかったです。これをつくった会社に入りたいと思いましたし、そもそもアニメーション制作に携われる札幌のCGプロダクションはほとんどなかったので、グラフィニカに絞って何度も応募しました。


▲近藤氏が学校の卒業年度に3名のチームで制作した、3分のCGアニメーション作品。企画から完成までに約半年を要しており、近藤氏は主にアニメーションを担当している。『SCAMPER』(「疾走」の意)というタイトルの通り、4本足の小動物が、海中・火山・雲海などを駆け回る作品に仕上がっている。「企画から始まり、キャラクターデザイン、絵コンテ、CG、コンポジットにいたるまで、一連の作業を自分たちで実践できたので、大変ではありましたが、良い勉強にもなりました。制作中はアニメーションだけに注目してしまい、後半で講師としてチェックしてくれた田熊からカメラワークに対するリテイクを大量に受け、ようやくカメラの重要さに気付きました。もっと早い時期から意識できていたら良かったなと、後になって感じましたね」(近藤氏)

4〜5年目でリードを経験し、早ければ6年目でディレクター

C:インタビューの最後に、皆さんの今後のキャリアパスについてお聞かせください。『SSSS.GRIDMAN』では田口さんが若手モデラー2名に対して背景制作の指示出しをなさっていますが、入社4年目くらいになると、そういう役割も担い始めるのでしょうか?

田口 愛氏:はい。入社2〜3年目で新人のトレーナーをやりながら自分が教わってきたことを再確認し、4〜5年目でリードモデラーやリードアニメーター、サブディレクターを経験しながらCGディレクターの補佐を経験し、早ければ6年目くらいでディレクターになるというのが基本的なキャリアパスです。私の場合は、今は別の案件でディレクターの補佐をしつつ、チェックや管理を勉強しています。ただ、自分の技術力がまだまだ足りないので、ディレクションの経験を積みつつ、モデリングの技術も磨きたいとすごく思っています。

長濵夏海氏(以下、長濵):私の場合は、去年、新人のトレーナーを担当しました。これまでに多くの方々から知識を伝えてもらってきたので、自分も後進の方々に伝えていけると良いなと思っています。ディレクションにも興味があるので、ディレクターを目指して徐々にキャリアアップしていきたいです。

C:ディレクターの道に進まず、現場でモデリングやカット制作のスキルを磨いていくという選択肢もあるのでしょうか?

長濵:そういう道もあります。試しにサブディレクターなどを経験してみて、ディレクションをメインでやっていきたいのか、現場で制作を続けたいのか、将来の方向性を考えることもできます。一方で最初から方向性が明確な人は、その道に進めるようになっています。グラフィニカでは、年に3回面談の機会があり、本人の方向性や足りないスキルを話し合いながら目標を設定し、ステップアップできるようになっています。

近藤:それとは別に、チーム単位でスタッフをまとめるリーダーがいるので、本人が不安に感じていることや、やりたいことを伝えられるようにもなっています。長濵と同様、私も今後はディレクションを経験していきたいという気持ちがあり、去年は新人のトレーナーをやらせてもらいました。ただ、まだまだ絵コンテに忠実につくり過ぎだとも感じているので、もっと自分で工夫して格好良い画づくりができるようになりたいです。

大島渓太郎氏:私の場合は、今はリグを任される機会が多いのですが、今後はよりテクニカルな部分も視野に入れ、効率よく良いものをつくる仕組みを構築したいという思いがあり、自分の方向性を考えている最中です。

及川恭平氏:初めてリードやディレクターを担当するときは誰でも不安を感じるので、事前にその職種のシニアと面談したり、案件がスタートした後もシニアに全体の調整役を担ってもらったりして、少しずつ負担を増やし、仕事に慣れていけるようになっています。私の場合は、現在ほかの案件でディレクターをやっており、スタッフやスケジュールの管理や、先方との打ち合わせなどを担当しています。今後は社内のスタッフが働きやすい環境の構築を目指したいと思ってます。アニメ業界はブラックだと言われがちなので、しっかり地盤を整え、人間らしい生活をしながら良いものをつくれる環境を模索していきたいです。

C:『SSSS.GRIDMAN』を終えた後、各々が次の方向性を考えたり、新しいことに挑戦しているわけですね。次は新作のスタッフロールで、皆さんのお名前を拝見できるのを楽しみにしています。お話いただき、ありがとうございました。


  • 写真提供:グラフィニカ

▲取材の最後に、全員でグリッドビームを放っていただいた


©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

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