ポーズ、特に両手を使ったしぐさなどをつくるときには、たとえそのキャラクターが設定上喋っていなかったとしても「何を言っているのか?」と考え「言葉」を決めると良いです。これは実際に喋る言葉ではなく、ポーズから伝わってくる言葉のことです。
今回のポーズは、全体的に言い訳しているような印象が出ているので、その部分では100点だと思います。ただし、このしぐさからどういう言葉を伝えたいのか? という部分に関しては少しだけ不明瞭だったので、もう少し具体的な言葉を考えると良いかなと思いました。
ドローオーバー今回の添削ではそのあたりを中心に考えてみました。まずはどういう言葉を伝えたいか考えましょう。今回は「いや、ちがうの、ちょっと聞いて......」というような言葉をイメージしてポーズを直してみました。必死で言い訳をしているような言葉ですね。必死に言い訳をしているときには、相手に訴えかけているようなしぐさになりますので、両手のひらを相手に開くようなしぐさの方が合うかなと思いました。
ちなみにどうすれば言葉が伝わる自然なしぐさがつくれるかというと、とても簡単な方法があります。それは、実際に言葉を口に出してポーズを取ってみることです。やってみるとわかるのですが、焦っている言葉を言いながら冷静な動きをするのは難しいのです。なので、実際に言葉を口に出しながらポーズを取ると、伝わるポーズが自然に取れるというわけです。
実はこの方法は、アニメーションで演技を考えるときにも使えたりします。また、このしぐさから伝わってくる言葉のことを「サブテキスト」と呼びます。サブテキストはポーズをつくるときにとても大事な要素のひとつなので、また別の機会に詳しく解説しようと思います。
または、ブログの方にもサブテキストの記事がありますので、どうしても早く具体的に知りたいという方がいらっしゃいましたら、よろしければそちらも参考にしてみてください。
今回の添削はこんな感じです。最後に、いつもエイド宿題に参加してくださってありがとうございます! 皆さん本当に素晴らしいポーズを作ってくださるので、僕も勉強させていただいています。ぜひまた今後も参加してくださると嬉しいです!
「エイド宿題」とは?
「エイド宿題」はTwitterで始めたクリエイターの皆さんへ向けた新しい企画です。オンラインスクールAnimationAidのクラス内で出している「ポーズを作る」という課題を、Twitterでみんなでやってみようというとってもシンプルな企画です。
●参加方法とやり方
・毎週月曜日にTwitter(@ryowaks)でその週のお題を発表するので、そのお題に沿ったポーズを作ってみましょう。
・CGで作った、もしくは絵で描いたポーズにハッシュタグ(#エイド宿題)をつけてTwitterに上げましょう。
・ぜひハッシュタグで検索して、他の人が作ったポーズも見てみましょう。
・エイド宿題とは?
https://ryowaks.com/what-is-aidshukudai/
・エイド宿題 これまでのお題
https://ryowaks.com/category/aidshukudai/
Profile.
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若杉 遼/Ryo Wakasugi
2012年にサンフランシスコの美術大学Academy of Art Universityを卒業後、Pixar Animation StudiosにてCGアニメーターとしてキャリアを始める。2015年にサンフランシスコからカナダのバンクーバーに移り、現在はSony Pictures Imageworksに所属。CGアニメーターとしての仕事の傍ら、CGアニメーションに特化したオンラインスクール「AnimationAid」を創設、現在も運営のほか講師としてクラスも教えている。これまでに参加した作品は『アングリーバード』(2016)、『コウノトリ大作戦!』(2016)、『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』(2017)、『絵文字の国のジーン』(2018)、『スモールフット』(2018)など
●若杉遼 ブログ わかすぎものがたり
ryowaks.com
●AnimationAid
animation-aid.com