＜2＞Eight VFXのワークスタイル
ーーEight VFXは、どのようなスタジオですか？
藤井：Eight VFXは主要メンバーのほとんどがフランス人で、彼らも外国人として苦労した過去があるので、こちらの状況を心から理解してくれ、ビザのサポートもしてくれました。本当にこれは運とタイミングだったなあと思います。日本人のアーティストがすでにひとり在籍していたのも大きかったと思います。仕事はＣＭが中心です。少人数なのでひとりがカバーする範囲は広く、モデリングを皮切りにテクスチャ、ライティング、レンダリング、コンポジットまで手がけることができます。とは言え、各スタッフには得意分野があるので、そこをメインにそのほかも作業するながれです。
VFX REEL from eightVFX on Vimeo.
ーー藤井さんの業務について教えてください。
藤井：僕の場合はエフェクトを手がけることが多いです。日本では、3ds MaxとAEをメインに仕事をしていましたが、こちらに来てからは、MayaとNUKEを憶えました。エフェクトがメインなので、ここ2年ほどはHoudiniを習得し、メインツールとして使うようにもなりました。新しいソフトや分野を習得することは、色々と発見もあるし、やればやっただけできることも増えるので楽しいですよ。ただ、その先の尖ったテクニカルなことをできるかできないかでひとつの壁があり、得意分野についてはそれを克服していかなければなりません。勉強しなければいけないことは山ほどあるのですが、時間も限られるので、その中から精査して仕事の合間に新しいことを勉強するようにしています。様々な技能をもつフリーランスの方が頻繁にいらっしゃいますし、スーパーバイザーも優秀なので、上には上がいることを日々見せつけられています。ですが、そうした環境が向上心につながっているのかもしれませんね。
ーーところで、英会話のスキル習得はどのようにされていらっしゃるのですか？
藤井：英語については、今なお苦しんでいます（苦笑）。自分の好きな分野のポッドキャストは、仕事中なども聴けるのでオススメです。僕は、fxguideのようなCG・VFXメイキングもの、科学系のRadiolab、あとはテック系のDaring Fireball: The Talk Show with John Gruberなどを良く聴いてます。同じものを何度も聴き直すのが重要です。それと今は携帯アプリも色々あるので、フラッシュカードを自作できるAnkiAppや、よく出るフレーズをひたすら読み上げてくれるReal英会話などを使っています。CGやVFXは英語の方が得られる情報量が格段に多いので、英語で情報収集ができないのは致命的だと思います。一部のビデオチュートリアルや掲示板などは、非常にレベルの高い話をしているので、それらを日本語と同じくらいのスピードで理解できれば、効率は相当上がるでしょう。会話に関しては、完全に場数なので、積極的に機会をつくることをオススメします。
ーー将来、海外で働きたい人へのアドバイスをお願いします。
藤井：僕は、30歳を過ぎてから海外に出ました。慎重な性格なので何年か海外に出るかどうかを悩んでいました。結局は「やってみなければ、わからない」というシンプルな結論に達し、行くことにしたわけです。長いこと悩まずに、もう少し軽い気持ちで海外に出ていれば良かったなと今では思います。ただ、「自分の売り（強み）」は意識した方が良いですね。得意なことを伸ばすのが一番だと思います。反面、ひとつのことしかできないと将来的に広がりがないので、自分の専門の隣の分野についても勉強することをオススメします。それと、仕事での代表作でも、自分の個人作品でも、CG技術のブログでも、名刺代わりになるものがあると、就職でもビザ取得の際もアドバンテージになると思うので、それらをコツコツと積み上げていくのが良いと思います。
制作現場にはテーブルサッカーゲームもある。作業の合間には、みんなでストレス発散！
【ビザ取得のキーワード】
1．中央大学理工学部を卒業
2．ユーフォニックなど日本のCGプロダクションで10年以上の経験を積む
3．プライベートで作った作品が海外で多数上映される
4．ロサンゼルスのEight VFXに就職、就労ビザO-1を取得
info.
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