>   >  新・海外で働く日本人アーティスト:第15回:箕浦正育(Weta Digital / Roto Artist)
第15回:箕浦正育(Weta Digital / Roto Artist)

第15回:箕浦正育(Weta Digital / Roto Artist)

<2>将来は役者として活動も......?

ーー現在、働いているWeta Digitalはどのような会社ですか?

僕が所属している部署は様々な国の出身アーティストから成る多国籍チームで、オフィス全体がワイワイと賑やかでリラックスできる雰囲気です。好きな時間に休憩がとりやすく、仕事の進み具合により朝早く来たり遅く来たりと、自分で働く時間をコントロールできるフレキシブルな環境です。

ーーRoto Artistとしてお仕事をされているそうですが、どのようなながれで作業を進めていくのでしょうか。

Roto Artistはロトスコープを担当します。メインツールはSilhouette(シルエット)です。Silhouetteで囲ったオブジェクトは、次にペイント・アーティスト、そして、Nukeコンポジットの部署へとながれます。新しいシーンに携わる度に、コンポジット・アーティストと連絡をとり、どの部分をロトスコープする必要があるのかをメールでやり取りします。後で発生する追加作業を未然に減らすためにも、コンポジット・アーティストとのやり取りは重要です。

ーーニュージーランドでの生活はいかがでしょうか?

僕が住んでいる街、ウェリントンはどちらかと言えば小さい街で、様々な場所にアクセスしやすいと思います。日本食レストランもありますし日系スーパーの品揃えも充実していますが、輸入品なので、日本で売られている約2倍くらいの価格ではないでしょうか。

街の規模が小さいと知り合いがあちこちにできやすいですね。たとえば、カフェでコーヒーをつくってもらってる間に店員やお客さんと話をすることがあるのですが、それがキッカケで友達が増えることもあります。そんな僕を受け入れてくれるニュージーランドの方達は、とても心が広いんだろうなといつも思います。

週末が近づくと、まず映画情報を検索します。アニメーションは子供と一緒に鑑賞できるので、最新のアニメーション作品は片っ端から観ています。話がちょっとずれますが、『ゴースト・イン・ザ・シェル』では、エキストラとして出演もしたんですよ。あるシーンで日本人が必要だったそうで、社長のリチャード・テイラー氏が僕を推薦してくれたようです。僕が出演したシーンの尺が割と長くて、多くの同僚や友達が僕だと気づいくれました。この経験以降、演技は自身にとって新しい表現方法だと感じ、今後も続けてみることにしました。ピーター・ジャクソンがプロデューサーを務め、現在制作中の映画『MortalEngines』では、目立たないですが役をもらいました。今後、映画に限らず、CMや様々なメディアにも積極的に出ていきたいと思っています。

ーー英語の習得はどのようにされましたか?

僕の場合は、まず「欲求を伝えること」から勉強しはじめました。具体的に言うと、「~が欲しい」、「~がやりたい」といったことです。はじめのうちは会話をつなげることが難しかったので、まず意思を相手に伝えることを優先したわけです。そこから少しづつ、英語力を高めていきました。

ーー将来、海外で働きたい人へのアドバイスをお願いします。

「あのとき、あれをやっておけば良かった」と思う人生よりも、まずはやってみて、思う通りにいけば最高で、仮に失敗したとしてもスッキリすると思います。なのでもし、将来海外で働きたいと思っているのであれば、絶対に行動に移した方が良いと思いますよ。


Weta Digitalの同僚と

【ビザ取得のキーワード】

1.ロボットに就職
2.ロサンゼルスに語学留学
3.ワーキング・ホリデー制度を利用しニュージーランドへ
4.Weta Workshopに就職、就労ビザを取得

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