<2>大手ゲーム会社Blizzardのシネマティック部門で活躍中
ーー現在の勤務先はどんな会社でしょうか。
Blizzardは、今よりも良い環境の職場を想像できないほど、素晴らしい会社です。現在、Irvine本社だけで社員2700人以上が在籍し、26年間もゲーム業界の第一線を走り続けてきているモンスターサイズの会社なのですが、始まりは少数のゲームオタクで構成された小さな会社でした。
設立当初から続いている「社員を大切にする文化」が現在も続き、5年勤続でソード、10年勤続でシールド、15年勤続で高価なリングが贈られるという制度もあります。最初は「奇抜なことをする会社だなぁ」とくらいしか思っていませんでしたが(笑)、これが「優秀な人材が離れていかないように、働く社員が会社を愛し、情熱をもって働けるように」というビジネス的な戦略でもあるということに後から気がつきました。
こういった、目の前の利益だけを追わない姿勢があるからこそ、直接はお金を生まないシネマティックを専門につくる部署が社内に存在していられるのだと思います。シネマティックは売り物ではなく、あくまでゲームの宣伝、そしてファンを変わらず興奮させ続けるためのものです。直接利益につながらず、膨大なコストばかりかかるシネマティック部門を「それでもファンを魅了することが、結果利益を生んでいる」と信じているブリザードは、情熱の塊のような会社です。
小池氏が制作に参加した『オーバーウォッチ』の短編アニメーション『The Last Bastion』
ーー現在の仕事の面白いところは何でしょうか。
Blizzardには"Every Voice Matters"という「全ての意見に意味がある」、「素晴らしいアイディアはどこからでもやってくる」という社訓があります。さらに英語独特の上下関係を感じさせない会話環境があるため、上司とも同じ目線で会話でき、自分の意見をいつでも伝えることができます。遠慮することなく意見を言い合える環境は、結果、素晴らしい作品のアイディアへとつながります。そうして練り上げられたアニメーションは、自力だけではけっしてたどり着けないクオリティとなります。それが、そのまま作品となり、みなさんに提供できるのは大きな喜びです。
ーー英語や英会話のスキル習得はどのようにされましたか?
バカバカしく聞こえるかもしれませんが、最も効果があるのは「ネイティブ・スピーカーと、お付き合いをすること」です。短時間で格段にレベルアップしますよ(笑)。「アメリカに3年間留学した青年が、現地で中国人の彼女をつくり、母国に帰って来たとき英語はまったくなのに中国語がペラペラになっていたという実話があるくらいです(笑)。
ーー将来、海外で働きたい人へのアドバイスをお願いします。
永住であれ一時的であれ、日本国外に出て異文化に触れながら生活をすると、それまでは見えなかった世界がたくさん見えてきます。自分が常識だと思っていたことが、どれだけ他人によってつくられたものかを知り、自分が本当に求めている物が何なのかを見つけるということは、人生においてとても大きな財産となります。それは時として、異文化の中でこそ見えてきたりするものです。
自分は「筋金入りの英語嫌い」でしたが、赤ん坊になったつもりで会話を繰り返して、なんとか喋れるようになりました。みなさんも飛び出せるチャンスと場所があるなら、ぜひチャレンジしてみてください!
キャラクター・アニメーション・チームの集合写真。2016年に撮影
【ビザ取得のキーワード】
1.Academy of Art University在学中グリーンカード申請
2.卒業前に2年の仮グリーンカードを受理し2K Gemesに就職
3.Blizzard Entertainmentに移籍
4.同社在籍中にグリーンカードを取得
info.
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