<2>フリーランスのエディターとして、映画・TVシリーズなど、様々な作品に携わる
――現在は、どのようなプロジェクトに参加されているのですか?
フリーランスとして長編映画、TVシリーズ、コマーシャル問わず様々な作品に携わっています。現在進行形のプロジェクトとしては、ワーナー・ブラザーズ出資作で、オーソン・ウェルズの若かりし頃を描いた長編映画『Voodoo Macbeth』のエディターとして忙しい日々を過ごしています。
『Voodoo Macbeth』は、前述の『Actors Anonymous』と同じプロデューサーの作品だったので、コミュニケーションがスムーズで、クリエイティブな部分でいつも以上に集中できて良かったなと思います。
――映画エディターの面白い部分は?
「映像制作そのものの面白さ」に尽きます。YouTubeなどで映像コンテンツが氾濫し、映像業界が変革していく中で、映像のあり方も日々変わっているのを感じます。「日々変化するフォーマットの中で、如何に映像を面白くするか」が当面の課題で、試行錯誤と発見に満ちた刺激の多い毎日を過ごしています。
――どのようなソフトで編集していますか?
映画や動画編集ではAvidを主に使っていますが、Premiereによる編集の依頼も増えていて、時代のながれを感じます。今はソフトウェアのアップデートの頻度が早く、常に勉強してキャッチアップしておく必要があります。それに加えて、Twitter動画のように動画そのもののフォーマットも日々変わっていきます。ただその分、そういった動画技術に関する正確な知識をもつプロフェッショナルとしての映像編集者は、今後も必要性を増していくと思います。
――英語や英会話のスキル習得はどのようにされましたか?
自分の中で英語のブレイク・スルーは、留学3年目の春学期でした。その頃、大学の授業で自分の研究成果をスピーチする機会があって、このとき、何の気なしにスピーチ原稿を全文暗記してみようと思いついたのです。それまでは、要点を箇条書きにまとめて発表していました。それでも充分でしたが、「暗記した方が、実は楽なんじゃないか」という理由で試したら、暗記自体もそこまで大変じゃないし、スピーチの言葉にも力が入って、結果的には良いことづくめでした。
ただ、この方法が期待以上に効果を発揮したのは、授業の外での友達との会話においてでした。それまでは言葉に詰まっていた内容が、スラスラと出てくるようになったんです。これはつまり、頭の中に「センテンスのストックができた」ということなのかなと思います。単語をたくさん覚えるのも大切ですが、頭の中に文章の型がたくさんあるというのが、コミュニケーションにおいて、本当に大事だなとそのとき気付いたわけです。
――将来、海外で働きたい人へのアドバイスをお願いします。
USC在学中、先輩達がよく「この業界は本当に人それぞれで、決められたキャリアパスなんてない。僕は、周りの人に恵まれてた」と言っていて、当時は「全然使えないアドバイスだな~」などと悲しく思ったものですが、今の僕は全く同じことを思っています(笑)。
ただ、O-1ビザ取得などの経験を経て、先輩方のアドバイスを僕なりに咀嚼すると「あまりに色々なことが起こりすぎる業界で、遠い未来まで想定して行動するなんて無理。だから、目の前のことを精一杯やればいい。そうすれば、自然と人にも恵まれる」ということなのかなと思います。これは、「自分にも今一度言い聞かせないといけないな」と、自戒の念も込めて。
フィルムスクールでは「35mmフィルムからデジタルへ、手法は変わってもストーリーの本質は変わらない」と、先人の編集者達から学んだという
【ビザ取得のキーワード】
1.南カリフォルニア大学 映画芸術学部、TV/Film Productionを卒業
2.OTP期間を利用し、数々の短編&長編映画のエディターを担当
3.移民弁護士のアドバイスを受け、OPT期間中はひたすら映画編集の仕事を取るように集中する
4.担当した映画作品のクレジットをベースに申請書類を準備、エージェンシーを介してO-1ビザを取得
info.
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