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VFX知識ゼロで留学しマーベル作品を多数手がけるアーティストに 第41回:上原勇樹(Lola Visual Effects / Senior Flame Artist)

VFX知識ゼロで留学しマーベル作品を多数手がけるアーティストに 第41回:上原勇樹(Lola Visual Effects / Senior Flame Artist)

<2>シニア・アーティストとして、マーベル作品を数多く担当

――現在の勤務先は、どんな会社でしょうか。

現在のスタジオはLola Visual Effects(以下、Lola)という会社で、主に映画やテレビ番組に出てくる、人物を若返らせたり(ディエイジング)、逆に老けさせる(エイジング)といったスペシャルエフェクトで有名な会社です。

中でも特に有名な作品としては、マーベル作品を多数手がけています。マーベルはトップレベルのクオリティが求められるので、携わった映画のほとんどは締め切りギリギリまで、夜遅くまで仕事をやっていました。そんな中で、ストレスレベルも頂点に達するのですが、職場の同僚はとても親切で教えあったり、助けあったりと、とても働きやすい環境でありがたく思っています。

忙しくなるとフードトラックによるケータリングがあったり、クリスマス前には会社主催のディナーイベントが開かれたり、同僚とカラオケ大会やビーチバレーなどのイベントに参加したりと、仕事以外でも社外で同僚と楽しくやっています。

また、時折本業の職場で余裕があるときには、副業としてTechnicolor、CBS Digital、Skulley FXなどの会社でミュージックビデオやテレビ番組のプロジェクト制作に週末や夜勤で働くなどしてネットワークの幅を広げるようにしています。

――最近参加された作品についてお聞かせください。

やはりマーベル作品などが印象的でどれも苦労したんですが、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』で登場するキャラクター、ペギー・カーターのエイジング、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のヴィジョンのハイブリッドCGコンポジット、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のキャプテン・アメリカのエイジングを担当したときが一番大変だったと思います。

というのは、マーベルの作品はどれもVFXにおいて質の高い作品ばかりで、クライアントが求めるクオリティが非常に高く、納期ギリギリまで夜遅くまで残って作業していたからです。その苦労の甲斐あって、毎回、映画のエンドロールに自分の名前を見つけたときの達成感は、最高です。

また、最近『キャプテン・マーベル』での仕事をLolaからVFXアワードに応募することが決まり、4名の代表者の1人として名前を入れていただけることになりました。まだエントリーの段階なので、ノミネートまで辿り着けるかどうか分かりませんが、こういう機会をいただけるだけでも嬉しいですね。

――現在のポジションの面白いところは何でしょうか。

Lolaに入りたての頃は、簡単なディエイジンやクリーンプレートの作成などを担当していましたが、年数を重ねるごとにレベルの高い仕事を任されるようになりました。

現在はシニア・アーティストとして、幅広いプロジェクトを手がけています。このLolaとういう会社での高度なスキルを要する仕事としては、エイジング/ディエイジンがそれにあたるのですが、その登場人物のキャストの現年齢からプラスマイナス30歳から40歳程変化させるプロジェクトがとても大変で、しかも非常にテクニカルなため、かなりの大仕事になってきます。

クライアントがどういうルックを求めるかにもよるのですが、2~5歳若返えらせたり、老けさせる簡単なプロジェクトとは異なり、「数十歳以上の歳の変化を、いかにリアルなクオリティで見せられるか」というセンスが必要になってきます。時間がかかる大変な作業ですが、楽しい仕事です。

――英語の習得は、どのようにされましたか?

やはり現地の方と友達になって会話をすることが、一番上達につながりました。

英語は、中高の頃得意分野だったのですが、アメリカに初めて留学したときは会話に全くついていけないず、何度も挫折しそうになりました。

大学を通してある程度上達はしたのですが、就職後も英語の力不足に何度も苦労しました。今ではほぼ問題なく喋れるのですが、やはり英語は自分にとっては第2言語なので、今でも友達との会話、本や記事、ポッドキャスト、映画などをうまく使って、できるだけ勉強するようにしています。

――将来、海外で働きたい人へのアドバイスをお願いします。

最近はトランプ政権の影響で、アメリカでのビザ取得も難しくなっていますが、アメリカの映画産業はアウトソーシングが多くなってきているので海外、ハリウッド映画に関わりたいというのであれば、これからは他国でも携わる機会が増えていくかもしれません。

それも視野に入れて、様々なスタジオで経験を積んでいけば、ネットワークも広がると思います。自分もこの先、アメリカに居続けるかどうかわかりませんが、もしも今後、この記事をお読みの読者の皆さんと一緒に働く機会があれば、ぜひよろしくお願いします。


Lolaの同僚と

【ビザ取得のキーワード】

1.カリフォルニア州ノースリッジ大学を卒業
2.yU+co、Skulley FX、Method Studio、Hydraulxなどのスタジオでフリーランスとして経験を積む
3.自分で個人会社Octavizを設立、そこを通じて就労ビザO-1を取得
4.ロサンゼルスのLola Visual Effectsに就職、アメリカ永住権取得

info.

  • 『アベンジャーズ/エンドゲーム』
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    MovieNEX(4,200円+税)発売中、デジタル配信中
    marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html
    『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』など、その他のマーベル作品はディズニーデラックスで配信中
    disneydeluxe.jp

  • 【Kindle版】海外で働く映像クリエーター
    ーハリウッドを支える日本人 [プリント・レプリカ]
    日本を飛び出し、海外で職を得、さらに高みを目指す。個性あふれる海外在住日本人クリエーターたちは何を考え、誰と出会い、どのような生活をしているのだろうか? ハリウッドの著名スタジオに所属する映像クリエーター、開発・サポートスタッフとして映像制作を支える現地スタッフなど、総勢48人に、自らも映像クリエーターである著者がインタビュー。実際の制作現場での裏話、海外へ出たきっかけ、就労ビザ取得での苦労、海外での就職を目指す人へのアドバイスなど、将来海外で働きたいと思っている人たちへのメッセージが凝縮されている。
    価格:1,296円(税込)
    総ページ数:368ページ
    発行・発売:ボーンデジタル
    www.amazon.co.jp/exec/
    obidos/ASIN/B07SZRQFWY

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