>   >  新・海外で働く日本人アーティスト:バイトと勉強漬けの留学時代を経てゲーム会社に就職 第36回:リチャードソン・幸(Double Fine Productions / Senior Animator)
バイトと勉強漬けの留学時代を経てゲーム会社に就職 第36回:リチャードソン・幸(Double Fine Productions / Senior Animator)

バイトと勉強漬けの留学時代を経てゲーム会社に就職 第36回:リチャードソン・幸(Double Fine Productions / Senior Animator)

<2>ユニークなゲーム会社で、アニメーターとして活躍中

――現在の勤務先は、どのような会社でしょうか。

Double Fine Productionsは、かつてルーカスフィルムのゲーム部門だったルーカスアーツで多数のゲームをつくってきたTim Schaferが創立したゲーム会社です。Quarky(奇妙な、風変わりな)なゲームをよくつくる会社と言われることが多いのですが、そのテイストがすごく自分にあっていると感じます。

社風も面白く、数年に1度、仕事のことは忘れて社員全員でゲームのアイデアをピッチし、選ばれた人がプロジェクト・リードとなり、数チームに分かれて2週間でゲームのプロトタイプをつくるAmnesia Fortnightというイベントがあったりします。ちなみにその間も、お給料は出ます(笑)。

しかも、その内容はドキュメンタリーになってYouTubeにアップされ、社内にはそれを撮影するための常駐フィルム・クルーまでいます。このイベントから生まれた自社タイトルもたくさんあります。とてもクリエイティブで楽しいですね。

――現在のポジションの面白いところは、どんな点でしょうか。

現在は、この夏に発売される予定のゲーム『RAD』のアニメーターをしています。小さいチームで、去年まではアニメーター1人でした。現在は2人体制です。

Official RAD Reveal Trailer
 

早いサイクルでゲームを出していくので、この会社に5年いますが、すでに5本のタイトルに携わりました。しかも、どれも毛色の異なるゲームだったのが面白かったです。規模の小さめの開発会社なので、「こんな能力面白いんじゃないか?」と伝えたら本当にゲームに組み込まれたりと、自分の意見がすぐ反映される点も楽しいです。

元々ゲームは大好きだったこともあり、ゲームづくりをしていると想像以上に楽しく、日々ゲームアニメーターの面白みを感じています。

――英語や英会話のスキル習得は、どのようにされましたか?

今でも、英語に関しては日々学ぶことがたくさんありますが、留学するときにTOEFLが必要だったので、最初はその勉強から始めました。しかしTOEFL問題集は当時の私にはレベルが高過ぎ、センター試験の放課後講習を英語だけ受けていました。

勉強を続けるうちに手応えを感じ、TOEFLに戻ったら前より理解することができ、何とか必要点数をとることができました。ただ、留学してからすぐアメリカ人の夫と出会ったので、ニュアンスのわからないときにすぐ聞ける人が、いつも近くにいたという環境はチート(反則)だったかもしれません(笑)。

お陰でだいぶ英語力は伸びた気がします。大切なのは、言語への好奇心を失わないことかもしれません。しかし、やっぱり英語では苦労はしましたし、学ぶコツのようなものもあるので、これから海外を目指すアーティストには「ショートカットをして欲しい!」と思い、アニメーション・エイドで英語のクラスも教えています。

――将来、海外で働きたい人へのアドバイスをお願いします。

「道は1つではない!」というのをいつも心に留めておき「無理かも?」という思いが強くても、いざ「できるかも!」と思ったら、失敗を恐れず前に進むことが重要ではないかと思います。そういう意味では、様々な道を示してくれた、この「海外で働く」の連載やインタビューに私は大変感謝していますし、私の道も、ほかの誰かが自分にあう道を見つける手助けになればいいなと思います。

就労ビザに関する法律はコロコロ変わりますし、業界はどんどん変化していく。そんな中で、自分にとっての最善の選択をするには「様々な道を、できるだけ見聞きしておく」ということが大切だと思います。選択肢の想像力を鍛えるというような感じですね。


Double Fine Productionsで毎年行われるピクニックの集合写真  

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