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第11回:中村俊博 (Tonko House / Animator)

第11回:中村俊博 (Tonko House / Animator)

<2>トンコハウス、そしてサンフランシスコで働くこと


トンコハウスの同僚と

ーートンコハウスは、どんな会社でしょうか。

トンコハウスは「ハウス」というだけあってとてもアットホームな会社です。社員同士の距離が近くスタジオの内装も自分たちで手づくりしていて、暖かな雰囲気があります。会議室がないので上層部の会議が丸聞こえで、トンコハウスでは秘密などいっさいありません(笑)。スタートアップでまだ小さい会社ですが、日本と共同で短編アニメーション映画(『MOOM/ムーム』)をつくったり『ダム・キーパー』のグラフィックノベルをつくったりと、幅広く活動しています。現在進行中の作品は、Hulu向けに『ダム・キーパー』のTVシリーズを制作中です。元ピクサーのエリック・オー監督による2Dアニメーションで、自分の2Dアニメーターとしてのデビュー作品となります。さらにこれから『ダム・キーパー』の長編映画も制作予定なので、ぜひご期待ください。

映画『MOOM/ムーム』ティザー映像
twitter.com/moomthemovie

ーー現在の仕事の面白いところは、どんな点でしょうか。

3Dアニメーションだけではなく2Dアニメーションも制作したり、コンポジションやエディット、グラフィックノベルの絵に色を塗ったりと、様々な仕事に携わることができる点です。

ーー仕事ではどのようなツールを使用されていますか?

3Dアニメーションの制作ではMayaを使用しており、2Dアニメーションの制作ではTVPaintを使っています。レンダリングはアニマさんのお力を借りV-Rayで、コンポジットでは主にAfter Effectsを使用しています。3DアニメーションはトンコハウスのYoutubeチャンネルで見ることができますのでぜひご覧ください。

ーー海外で働くにあたり、英会話のスキルはどのように習得されましたか?

日本ではPodcastを聞いたりNHKの教育番組を見たりと独学で勉強していました。アメリカに渡ってからは大学に入る前に3ヶ月間、語学学校に通い友達をつくりながら勉強していった感じです。海外にいるとリスニングは何もしなくても伸びますが、話す力はやはり人と実際に話さないと伸びないのだと感じました。英語の勉強は教科書だけではなく、海外の人と話すことに慣れるのが近道だと思います。現在も、ネイティブがよく使う単語をメモに取り自分でも使ってみるなど、勉強は続けています。

ーーサンフランシスコの生活はいかですか?

自分がアメリカに来てから約7年の間にサンフランシスコの家賃が高騰(約1.5倍)して一人暮らしは難しくなりましたが、シェアハウスや友達と暮らすことも楽しいですし、治安もそこまで悪くありません。こちらで働きたい人は、ぜひ一度遊びに来てください。


仕事中の中村氏

ーー将来、海外で働きたい人へのアドバイスをお願いします。

海外に行くことを悩んでいる人は、とりあえず飛び込んでみてはどうでしょうか。実際に行ってみて海外が合わないこともあるでしょうし、逆に海外の方が働きやすいと思うこともあると思います。行ってみないとわからないことがたくさんあるので、一度「海外に触れる」という意味でも、まずは飛び込んでみることが大事かもしれません。それと同時に、自分のレジュメやポートフォリオは常に更新して、いつでもアピールできるよう準備しておくことが仕事を勝ち取るために重要かと思います。今は日本からもWebで求人情報を閲覧できますし、恐れることなくどんどん応募したほうが良いと思います。チャンスは誰にでも平等にやってくるので、それを逃さないようにすることが大切ですね。

【ビザ取得のキーワード】

1.福岡デザインコミュニケーション専門学校を卒業
2.国内CGスタジオで経験を積む
3.アカデミー・オブ・アート大学で4年間アニメーションを学ぶ
4.トンコハウスに就職、就労ビザH-1Bを取得

info.

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